世界の仕組み説明
こうして、晴れて入隊した訳だが。
「なんで入隊初日が座学とかマジ萎えるわ……」
「昔から座学嫌いだったもんなルークは」
ニヤニヤと含み笑いで言うサイ。
コイツとは学校に通ってからの付き合いだからもう10年の付き合いになる。
「別に……。座学なんかどうでもいいだろ。それより体動かしてえ」
「相変わらず脳筋なんだな、お前は」
やれやれといった感じでサイは首を竦める。
「そこ、静かになさいっ!!」
座学担当の女教師、名前はアリア・ホークって名前だったか?
真紅の髪を肩までストレートに卸している。
顔の造形は綺麗に整っていて彼女が歩けば、道行く男共が振り返る事間違いなしといった美人さんだ。
「す、すみませんっ」
サイはアリアに頭を下げる。
「貴方も謝罪したらどうですか?」
アリアが俺を睨み付けてくる。
「なんで俺が謝んなきゃならねえ」
俺は机に両足を乗せふんぞり返る。
「っ……おいルークっ!!」
「サイは黙ってろ」
俺は声を掛けてきたサイを一蹴する。
「何故貴方のような人がこの軍に入隊出来たのか疑問ですね」
右手で横髪を抑えながらアリアが言う。
「それはほら……俺が特別だから……かな?」
アリアは殺気を増幅させたかと思うとすぐ様静まる。
「もういいです。では、お二人にはこの世界ボルカノについて説明してもらいましょう」
俺はその言葉を聞いて嫌な気分になる。
「ルーク……。あからさまに嫌な顔をするなよ」
苦笑いを浮かべながらサイは言う。
「ではまず、ボルカノの歴史について……。今から700年前、人類はとある1つの発見により大きく飛躍した。それはなにかしらヴァンス?」
「……魔法だよ」
「正解……。ま、こんなの誰でも知ってて当然の事ですね」
くっそ、コイツ一々ムカつくな。
「では次にその魔法を独占しようとする者が現れ、それはやがて1つの国家にまでなった。ブラント、その国の名前は?」
「ザズ帝国です」
自信満々に答えるサイ。
アリアがパチパチと拍手を送る。
あれ、俺と大分扱い違くない?
「その通り。なおザズ帝国では、魔法の研究がその時から今もなお続けられている……。これを見なさい」
そう言ってアリアは懐から一丁の拳銃を取り出す。
生徒達の間でキャーと悲鳴が上がる。
「安心しろ。玉は抜かれている。……いえ違いますね。これは普通の銃ではありません。見ていてください」
そう言うと彼女は自身の手を銃に翳す。
すると彼女の手のひらが赤く発光し、その赤い光が銃に吸い込まれていく。暫くしてその光が消えるとアリアは銃口を真上に向け引鉄を引く。
「な、なんだよ……。これは?」
俺はその光景に驚く。
銃口から放たれたのは弾丸などではなく炎だった。
それもただの炎ではない。
「これは……魔法か?」
サイはその炎を驚愕の表情で見つめる。
アリアが教卓に置いてあるチョークを一本取ると踵を返し、彼女の目の前にある黒板にチョークを走らせる。
「サイ・ブラント……。貴方の言うとおり今のは魔法です。ザズ帝国の間ではこの武器は、魔の銃と書いて魔銃と呼ばれています」
そう言ってその銃の名前を黒板に書き終えると再びこちらを向く。
「しかも厄介な事にこの魔銃は、相手の魔力を増幅させる事が出来る」
その言葉を聞いて生徒達の間でどよめきが起きる。
「ハッキリ言って魔法の研究はあちらの方がかなり進んでいると言える……。ですが何故彼等がそれに特出するようになったか……。それは彼等には魔力が少ない物が多かったからです」
そう言うとアリアは前に手を突き出し目を閉じる。
「彼の者、契約に従いその姿を我の前に現われ給え。いでよっインフェルノッ!!」
そう唱えると彼女の目の前に、幾何学的模様の赤い陣が展開されるとそこから強い光が発せられる。
暫くすると陣の中央から大型犬のような風体の生き物が出てくる。
だがそれは普通の犬ではない。その大型犬のような生き物は…灼熱のように燃え盛る炎を纏っていた。
「このように魔法を使いこなせれば魔獣と契約をし、いつでも呼び出せます」
「うわあ、凄いよルークっ。あれ、上級の魔獣……インフェルノだよっ」
「……分かったから落ち着けって」
サイは昔から魔法、特に魔獣に興味があって昔から魔獣に関する文献を読み漁っていた。
確か、目には見えないけど存在を微弱ながら感知できる魔獣が低級。ぼんやりとだけど姿を認識できるのが中級。で、今ホークが呼び出した大型犬が上級クラス。
要するに存在感によって等級は振り分けられる。低級は存在が微弱な為攻撃をしてもあまり効果がない。中級でやっと攻撃が出来るレベルだ。上級は自分の属性を自由自在に操り、しかも自分の実態を可視状態、不可視状態と自分の切り替えることが出来る。
「貴方達もここでしっかり修練を積めば、上級の魔物と契約を結ぶ事が可能です」
その言葉にこの場にいる全員が歓声を上げる。
「ふわ~っ。サイ……。終わったら起こしてくれ」
「ちょっルークっ!?」
俺は机に顔を突っ伏すと目を瞑る。
周りは今も魔獣の件に関して歓声を上げている。
俺には関係ねえよ……俺にはな。
俺は暫くすると睡魔が襲ってきて眠りへと誘われる――。




