プロローグ
「……ここで散れ、ルーク」
女が俺に向かって銃を突きつける。それが普通の銃なら問題ない。問題なのは……。
俺の頬に光が掠める。その炎の出所はたった今彼女が引鉄を引いた銃から。そう、あの銃はただの銃じゃない。魔力の込められた銃だ。
「どうしてもやるっていうのか?」
俺は両手を上げて戦う意思はないと示す。
「愚問だな」
だが女はそんな俺を一笑に付す。
「ルーク……私と貴様は敵同士だ。敵同士であるなら分かり合うことなど出来ないっ!!」
力強く女は言う。
まるで全てを拒絶するかのように。
「ならなんで……。さっさと殺そうとしない?」
俺はそれでも一縷の望みに賭けてみたいと思った。
「……それはっ」
女が突き出していた銃を下げて言い淀む。俺はその隙を見逃さなかった。
「……っ」
俺は5メートルくらいの女との間隔を一瞬で縮め、女を押し倒す。
「なっなにをっ!!」
俺は女の上に覆いかぶさりながら告げる。
「俺は、フレイ……君を殺したくなんてないっ!!」
女……フレイはその言葉に目を見開く。その目には涙が溜まっていた。
「そんなのっ、私だって嫌よっ!! でもどうしようもないじゃないっ!! 他に方法なんて……んっ」
俺はフレイの唇に俺の唇を押し当てる。
彼女の唇は柔らかくもっと堪能したいという欲が出てくるが、俺は我慢する。合わさっていた唇を外し離れると、トロンと蕩けたような表情で俺を見つめるフレイ。
「……どういうつもり?」
俺はフレイの問いかけに微笑む。
「なに……。昔約束した事を実行するだけさ」
「昔約束したって……。まさかっ」
「ギルス・ザズの娘っていう肩書がどこまでも付き纏うって言うなら……俺とフレイでこの戦争を止めるんだっ!! それまでは俺がお前を全力で守るからっ!!」
そう。
こうする事はもう決まっていたんだ。
『約束……。俺は君を守るよ。たとえ、国を裏切る事になっても』
君と……フレイ・ザズと再会したときから――。




