118《告白しちゃった!》
10月15日(火)atブルームーンスタジオ
いつも通りチラシの撮影を終えると猫田が七郎を呼び止めた。
「七郎ちょい付き合え!バンドコンの打ち上げ会やろーぜ!」
っても場所は川の堤防で、二人で猫田おごりの缶ジュースピーチを飲むだけ。
だが七郎は初めての猫田の愛車、フィットにドキドキ。
「でもお前よくやったな~練習はスティックだけなんだろ?そんで本番間違えないでやりきったんだから、天才だ!」
頭ワシャワシャ。
七郎はドラムを所持しておらず、しかもスティックはマックストーンの格安スティックです。
「そんな事無いですよー」
「いーや、天才だ!
いいか、お前はいつかあの輝く星達の1つになるのだー!ニャハハ」
「それだとなんか死ぬみたいでしょ(笑)」
「そうか?気にすんなって。他に言い様も無いしっ
七郎っ!必ずスターになろうな!俺の腕でスターにならせてやるぜ!」
腰に手を当て空を指差して笑う無邪気な猫田の様子に、七郎は胸がキュン、となるのを感じた。
(あ、僕…)
つい自然につぶやくように。
「猫田さん…僕猫田さんのこと好き」
「おーサンキュな!」
カアッと赤面する七郎。
(ヤバ!僕ってば何て事!)
「ん?…え、マジ?」
アワアワしてる七郎、ペコ…と猫田の缶が小さく鳴った。
無言になり、真面目な顔で最後の一口をすすった猫田。
「さーて帰るか。ほいっ乗れよ」
助手席のドアを開けてくれた。
短い帰りの間、猫田は無言で真剣に何かを考えているようだった。
七郎んちのアパート前に着き。
「じゃあ七郎、明日また仕事で会おーな。それと俺、バイじゃねーからよ」
ズキン、と七郎の胸が痛んだ。
「ハイ…」
うつむいて七郎は手を振った。
(ホントに何で僕あんな事…!)
七郎はドツボにはまってしまった。
翌日10月16日(水)PM5時40分
今日の七郎の仕事は“イチオシ新人モデル特集”で今回7COが選ばれたのだ。
カメラマンが猫田だという事で前々から七郎は楽しみにしてきたのだが…撮影中全然集中出来ない七郎。
「うーん、表情が使えねーな…」
「スミマセン」
猫田と目が合うとうつむいてしまう。カメラと目が合わせられない。
猫田は片手を上げて言った。
「ちょっと休憩入れる!15分休憩な!」
「スミマセン…」
「ちょっと来い」
ぐいっと手を引いてズンズン歩いていき、誰も来ない非常口前へ。そしてそのまま七郎を壁ドンする。
「ね…猫田さ…」
「…」
その状態で真剣な眼差しが七郎を射る。七郎の心臓は高鳴る。
フッとまばたきをして猫田が顔をゆっくり近づけた。
「!?」
(えっえっ?キス!?)
鼻先が触れると猫田は首をちょっと傾けて七郎の唇の横、右頬にキスした。
ちゅ…
かすかなその音を聴いて。
(どうしよ…震えが…)
チラッと一瞬七郎を見て猫田はそれこそ猫みたく口を少し開けると七郎の首の右側を唇でハムッとした。
「…っ!?」
(何この展開!)
ハムハムしながらスイカを食べるみたく位置をずらされて。
ちゅ…
「ね、猫田さん…っ」
(鼻息がゾワゾワする!)
首をすくめた七郎。
「七郎」
顔を上げた猫田は透明な目でなぜか泣きそうに見えた。
「今何か感じたか?」
「僕…」
「胸に手を当てて考えろ。自分に正直にな」
壁ドンのままです。
言われた通り胸に両手を当てる七郎。
「…ドキドキしてる。僕猫田さんになら何されても」
「それは嘘だ!」
荒げた強い語気。真剣な厳しい眼差しに怯む七郎、それを見て猫田はなぜか泣き笑いみたいな表情で言った。
「お前はホモじゃない。俺がたぶらかしてたなら謝る。
ゴメンな?気の迷いなんだよ」
諭すように言った。
「そんな事無…わ」
七郎の頭を少し乱暴にワシワシっと撫でる猫田。そしていつもの顔でニャハっとした。
「俺イケメンだからよくお前みたく惑わせちまうんだー♪」
そしてすごく大人っぽい色香のある目つきを一瞬した。
七郎は涙がこぼれた。
「でも俺らはずっとダチのままだから。そうだよな?
じゃあ戻るぞ」
先に歩きだし、
「…ゴメンな」
「えっ」
「泣くなよ?まだ仕事終わってねーし」
「あ、ハイ」
七郎は目を拭いた。
スタッフが戻った猫田に笑って言う。
「猫田さん7COに何言ったんスか?元気ないっスよ?」
「ちょっと指導をな。…ったく仕方ねーな」
パンパン!手を叩いて
「悪いけどちょい方針変えるー!センチメンタルなイメージでいくわ!」
・・・・・
その後なんとか撮影を終えた猫田は…
佐藤錦之助に泣きついていた。
「七郎俺のこと嫌いになってねーよなぁっ!?なあ!?オーイオイ(泣!)」




