116《反省会》
西山堂バンドコンテストで賞を取れなかった帰り、お肌の手入れをしなければならない七郎と別れ、秋&健は寄り道して金剛川の堤防に座り星を眺めながら…
まず秋が語り出す。
「曲作り始めた頃はさ、俺スゲー!って思ってたけどさ、なんか今は…それを普通に感じるってゆうか…別に特別じゃなくね?って思ってて…
(笑)なんか言葉にすると悲しく聞こえるけど、でもそれは悪い変化じゃないと思うんだよ。ああ、先に進んだんだ、って。なら更に先に進んだら、どんな考えになんのかなって。分かる?」
「なんとなく分かるよ」
「うん。ならさ、先、目指そうぜ。一緒にどんどん進んでこうぜ。その時見える景色を一緒に感じようぜ。
その時は俺らどんな曲作るのかな?」
「…きっと苦しい事もあるよ。もう曲作らなくなるかもしれないし」
「いや、それは無い。だって俺やっぱり音楽好きだし、結局やめないと思うんだよね、例えどうなろうと」
「ふふ、ならいっか。一生一緒にやれたら最高だね」
「約束だ」
「そゆのを趣味って言うんだよ」
「単なる趣味でもいいもん…」
「あっ、イジケんなよ」
「健ぅ~」
「あーもう、はいはい本当は悲しいんだよね?分かるよ分かる」
「シクシク、慰めてくれー」
健は横を向いてボソッとこぼした。
「さっきはカッコいいと思ったのに」
途端にパッと顔がキラめく秋。
「えっ、もう1度ゆって!」
「イーヤーだ!」
「ぷ、アハハ…」
「秋ちゃん?」
「アハハ、ハアハア、やべー腹いて。
よ~しんじゃこれから反省と今後についての為にミーティングすっか!」
「…うんいいよ。どっちんちにする?」
「俺んちでいい?」
「いいよ。じゃあ行こっか」
健ははにかんだ。
(やっぱ秋ちゃんはカッコいいよ。面倒だから今は言わないけど)
秋が凹んだらどう慰めるべきか思案していた健はとりあえず大丈夫そうなのでホッとした。
at水上家、秋の部屋でミニちゃぶ台で向き合う二人。
「そりゃ曲を作り始めたばっかの頃は夢見たりもしたよ、でもね…!?」
「健」
顔を上げると秋が身を乗りだしてどアップでいた。
「そんな顔面近付けないでよびっくりするでしょ!」
「ああ悪い、でもお前にもそんな時期あったんだな。ちょっと意外だった」
「過去の話だよ?」
「うん。でもそれならさ、俺とつるんで良かっただろ?」
「まあね。ちょっと恥ずかしいけど、本音はさ、秋ちゃんに引っ張ってもらってすごい感謝してるよ。
ちょっと強引だったりするけど、俺一人じゃ路上なんかも絶対する事無かったから…
誰かに聴いて貰う事の楽しさを教えてくれたのは秋ちゃんなんだよ。
反応が思ったようじゃないとか厳しい事もあるけどね。
ほんと、ありがとう」
「なんか照れくさいな。
でもそれならこれからも行けるとこまで行こうな。じゃあ飲むか!」
「うん。て、えっそれカクテルじゃん!」
「さっき下行ってカルピスとってこようとしたら爺ちゃんが今日は飲んでいいからってくれたんだ♪」
「マジか」
「うん。だから半分こしよーぜ」
「俺らまだ未成年…」
※19歳
「いんじゃね?実際みんな18から飲んでるっしょ」
「でもカクテルは割と度数高くない?」
「いいんだよ俺今日バイト無いし。飲ませてくれー!(泣)」
「まぁいいかな?じゃあ」
すんなり一口飲んだ健。
「お前あっさり飲んだな」
「甘い~ほんとジュースだよ」
「マジ?」
15分後
「だから、だから俺…ひっく、どうしたらいいですかぁー(泣)えぐえぐ」
「知らないよぉ…ムニャムニャ(寝)」
「健ぅ~お前聞いてんのか!」
「うぅ~うるさいよぉ…ぐー(寝)」
泣き上戸?の秋と酔うと寝ちゃう?健。二人共酒に弱いと判明…そして――――――
チュンチュン…秋は雀の声で目覚めた。
「…!(あれ、なんで健が)おわっ」
ドサッ
「いてて」
目の前のどアップ健に驚いてベッドから落下。そして思い出した。
――回想――
「健ぅ?も~寝んなよ!俺の話を聞けよ!」
「ムニャムニャ」
「はぁ?何ゆってんのっ」
揺さぶり。
「んぅー」
ブッ
「うわ!こんにゃろ!くっせ!」
「○▽▲◎~」
「寝るならちゃんとベッドで寝ろっ」
自分のベッドを指さす秋。
「…分かりました!」
起きた健は言われたとおりベッドに入り、秋も自分のベッドなのでシングルに男二人で狭い中、健を壁がわに押して入りこみ…
(思い出した…にしても健、意外にチョロい奴。これじゃ襲い放題じゃん)
秋は健を揺さぶった。
「健♥起きて♥ねぇってば♥」
「ん…あれ?」
「おはよ健♥二人っきりの朝だよ♥」
んー、とタコ口を近付けると。
ゴチッ
よけて壁に後頭部をぶつける健。
「ってぇ。何?俺昨夜泊まったの?」
「覚えてないなんてひどいっあたしの事は遊びなのっ?」
「悪ノリやめてよ、うっそ全然記憶無いよ」
芝居終了の秋。
「全然?どこまでなら記憶あんの?」
「えっと…お酒飲み始めて少しして眠くなって、ちょっと目閉じて…後分かんない!」
ショックを受けてる健。
「秋ちゃん俺変な事してない!?」
「多分大丈夫だけどー、俺も自信無いし、でもお前デカイ屁こいたぜ」
「うっそごめん」
「けど昨夜俺らが飲んだのってたかが缶1本半分こじゃん?これヤバくね?」
「うわ、俺もうお酒飲まない」
「少なくとも外じゃ駄目だな」
「今何時?…6時15分?ごめん秋ちゃん俺帰るよ、今日バイトだし」
「あ、なら朝飯食ってけよ」
「いいよ悪いって」
「いいよ遠慮すんな、なんなら風呂も使うか?」
「ほんといいよ、悪いよ」
「今更、天ぷらはいつも食ってるだろ!卵かけご飯でも食ってけ!」
「でもさ」
「酒飲ましたのこっちだし」
「そう?ごめんねほんと」
下に降りると留美子が笑って
「あら健君お泊まり?」
「なんか寝ちゃって、すいません」
「母ちゃん今すぐなんか食える?」
「卵と納豆あるわよ」
「あんがと」
そこに乾布摩擦後の爺ちゃんが。
「お前ら昨夜あれっぽちで潰れたのか?弱いなーガハハ」
「なあにお酒?」
「うんカクテル」
「も~爺ちゃんたら、でもこれでよそでの失敗は無いわね」
「弱っ」
徳右衛門に言われ秋は口を尖らせる。
「ぶー、仕方ないじゃん」
その間に急いで卵かけご飯をかっこんだ健は箸を置き
「ご馳走さまでした、ほんとすいません」
料理中の留美子は
「ごめんねおかず無くて」
「いえ、助かりました、じゃあ俺帰ります」
「おう、じゃあな」
あわただしく健は出ていきました。そんな朝でした。




