107《ムーンリバーみたいに》
9月9日(月)は台風15号の後だったので路上を休んだ。
11日(水)秋のスマホにソニーからデモ不採用メールが入る。
PM9時。不採用報告とバンドコン練習のミーティング後秋が2階の窓から外の七郎&健と話していると、光&ひよりが通りかかった。
「あれ~光ちゃんひよりちゃん」
「た、健君こんばんわ」
「奇遇だね」
はにかみ合う健&ひより。
「どこ行ってきたの?」
七郎が自然な感じに聞いて
「自販機に」
光がC.C.Lemonを見せた。
「今夜も練習してるから帰りにちょっと下で聴いてこって話してたんだよね」
「そっかぁ~ごめん丁度終わりだったね」
「じゃあちょい待てよ、今から弾いちゃるわ」
「えっ」
アコギを手に秋が窓辺に腰かけて、かっこつける。
「オードリーヘプバーンのムーンリバーみたいに」
「歌ってくれるの!?きゃーん嬉しい!」
「ひよりも聴けよ?」
頷き、髪を耳にかけるひより。
秋は2階から笑いかけ、軽い感じに純情恋歌を歌った。
♪今宵は誰の~腕の中っ忘れ~ないで~…
ボトルを胸で握って目を輝かせて聴く光に、秋が歌いながら微笑みかける。
(きゃー!!!もぉカッコいいカッコいいカッコいい!!!)
ひよりも楽しそうに聴いてる。健はそれを見て
(どうしよ、何かひよりちゃんと話したいな)
秋は歌い終えて笑顔でピース
「どうだ!新曲純情恋歌だぜ!」
「最高!超カッコいいよ!」
「良かったーお前らが次いつ来るかって路上の時はいつも待ってんのに全然来ねーし、もぉ何やってんのっ?」
頬膨らまし。光はバツが悪そうに
「ごめん、だって女友達がいつも居たらお客さんが減っちゃわないかなぁって」
「はぁ?んな事ある?」
七郎は
「僕女子だと思われてるけどちゃんとお客さん付いたよ?」
「うんまぁ、行けたらね」
そう言ったひよりに健はニコッとして
「いつでも来てよ」
「う、うん」
メロメロのひより。秋は上からガン見。
「じゃあ僕もう帰ってお肌の手入れしなきゃないから」
「おっ、そか。あ、じゃあ健はそいつら送ってけよ。もう9時過ぎだし」
ひよりがポッと赤くなる。
「分かった。じゃあ行こっか」
(秋ちゃん気がきく!)
光は嬉しくなり笑顔が弾ける。
「じゃあ秋ちゃんまたね!」
「おう」
窓が閉まりカーテンが閉まった。
「バンドコンもうすぐだねー、あ、あたしんちここだから」
光の家は斜向かいです。
「近くていいね」
「うん。じゃあひよりを宜しくね健君。ひよりもじゃあね♪」
さっさと家に入る光。
ほんの50m程を、二人で帰る健&ひより。ひよりがドキドキしながら話しかけた。
「健君もプロ目指してるの?」
「俺は最初は…なれる訳無いからって全然考えてなかった。
だけど秋ちゃんと一緒にいると、ほら秋ちゃんてずっとプロプロ言ってるじゃん、だから今はなんか、もし本当になれたらそれはそれでいっかなて思うんだ」
「へーそっかぁ」
「秋ちゃんの夢に乗っかってる(笑)」
「健君て、かっ…かっこいいからプロになれたら女の子にモテまくりそうだよね」
カアア。
ひよりの変化を見て健も頬を染め、はにかみ、
「でも俺は…女の子にあまり興味無いから」
(だってひよりちゃんが好きだし)
「え!?そうなの!?」
「うん」
(健君てホモなの?でもそれならライバルいないっ)
二人共赤面だが、夜だから分からない。
「あ、じゃああたしんちここなんだ」
「うん…あのさ!」
「?」
「うん…また恵比寿屋寄るね」
「!うん…待ってるね」
笑顔で手を振り家に入るひより。
健はため息をついた。
(はぁ…メアド…聞きたい)
自転車をゆっくり立ちこぎ。
(でも短かったけど二人で話せて良かった!ありがと秋ちゃん!)
だが健は、ひよりにホモと勘違いされた事に気付いていなかった。
健っ!頑張れや!
今夜は食パン1枚とコップ1杯のリンゴジュースを食べて寝ます。




