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ドリームアイランド  作者: スピカ
プロを目指すぜ!
106/314

106《ワンダーランドとったどー!》

 9月7日(土)

 朝7時佐藤さんが愛車の白いカローラで迎えに来てくれて、七郎&ミルクはドキドキしつつ大阪西淀区歌島のワンダーランド本社へgo!


 今日の七郎は、ウキウキオレンジの五分袖裾ドレープのボートネック・つぎはぎデニムサルエル。

 ミルクは、後ろリボンの白いシンプルなワンピースで、青いカラコンを装着。

 佐藤は、いつもの黄色Yシャツにクリーム色のネクタイ。


「二人ともそんなに緊張しないで、自然に行こうね。っても緊張しちゃうか(笑)

先方は写真で気に入ってくれてるからきっと大丈夫だと思うよ」


 そして到着。


「自宅…ですか?」

 住宅街の一軒家。

「自宅が本社なんだね。ここでサンプル作りまでやって後は工場に発注」

 ミルクが拳で口を隠して小声で言った。

「なる程…」

「ではいざ」


 ピンポーン

「はい…」


 ドアを開けて出てきたのは…前髪で鼻まで隠してるマスクの派手なスウェットの、いかにも神経過敏そうな人だった!


「初めまして、(わたくし)、イチゴモデル事務所社長の佐藤錦之助と申します」

 ペコリ。七郎&ミルクもペコリ。

「お待ちしてました…どうぞ中へ」

 3人は思った。

(人づきあい苦手そう…)


 居間はミシン等が隅によけられていた。

「どうも、新井戸です…新井戸風太郎(にいとふうたろう)…私がワンダーランド社長…社員も私一人ですけどね…」

(シャイ…よくこれでセルフブランドなんて作ったなぁ)

 緊張している二人の前で佐藤はニコニコして話しかける。

「でも全部一人でって、実は毎日お忙しいのでは?」

「そう…ですね、多忙な方…と言えなくもないですが、普段はサンプル作りとweb管理と発送が主なのでそれ程でもないです…」

「メールで新井戸さんはこだわりを持ってやってらっしゃるんだと分かりましたよ?」

 そう聞いた途端に新井戸は目をキラッと輝かせ急にガラッと喋り方を変えた。

「!そう!そうなんですよ!発注先の工場も、色々回って吟味し尽くして決めたんです!

素材もいつも吟味し尽くしてから選ぶし実は!超こだわってんです!」

 七郎は多少面食らったが、日浦という前例がいるので逆にホッとして

「だからいつもこんないいんですね~デザインも手抜きが無いし~」

「分かる!?自信はあったけどユーザーの感想は聞いた事無かったから今超嬉しいし!君しかもその服うちのだよね!

…グッジョブ!」

 大きなアクションで両手の親指を立てた。七郎は完全に緊張が溶け自然な笑顔で

「僕いつもワンダーランドにお世話になってます」

「うちとの出会いは?」

「僕服はネットで探す事が多いんですけど~一昨年偶然“中性的”で検索して見つけて~それからよく」

「!…!、検索ワードに指定して良かったぁー!

しかも一昨年か、うち出来たの丁度3年前で最初は商品少なかったから、だから君はほぼ最初からのユーザーだね!」

挿絵(By みてみん)


(これは好感触だ)

 だが佐藤は表面上落ち着いて

「実際うちの二人と会ってみてどうですか?」

「…うん、僕シャイだから写真で見てこういうコならいいかなと思ったけど、実際本物も間違い無かったね、ミルクちゃんもシャイだね?」

 ミルクはドキッとしてシャンと背を伸ばす。

「はい…シャイですっ」

「良かったぁー!モデル別にいなくてもマネキンだけでも間に合ってるんだけど、君らなら使ってもいいわ~。タダでやってくれるんですよねー?」

「はい、うちの二人の知名度を上げる為に利用する訳ですし!」

「知名度ねぇーうちで上がるんか不明な気するけどな。まあええわ。

あのなぁ、タダて冗談やからな?まさか仕事させんのにタダなんて、駄目やろ~(笑)」

 七郎は

(もう普通に喋ろうっと♥)

「あの、新井戸さんてシャイなのは最初だけでしたね(笑)」

「いーや、僕はモノホンのシャイ。君らなら心を開けるって感じるんや、ビビビとな。誰とでも喋れる訳やあらへんよ?」

 ミルクは俯いてぎゅ、と小さく拳を握る。

「嘘…あたし…シャイの人で同じだって、親近感が湧きそうだったのに…」

 うろたえる新井戸。

「ミルクちゃん失望せんといてー?仲良くなろ?」

 ミルクは頬を染めてコクリ。

「二人は合格ですかね?」

「せやなぁ…」

 顎に手を当てて二人を眺める新井戸。

(えっ決まったんじゃなかった?)

 七郎&ミルクはドキッ。

「うーん…」

(ドキドキ)

「なんてなっ、合格♥」

「良かったぁ!」

 手を取り合ってはしゃいじゃった二人。

 ハッとして頬を染めるミルク。慌てて手を離す七郎。

「ははっ、二人共これから宜しく!」



 それから今後の仕事のやり方を話し合って、すっかり仲良くなりました。


「ほなこちらで撮って欲しい服をそちらのオフィスに宅急便で送りますから、撮影終わったら送り返して頂くっちゅーことで」

(どうしよ~僕がワンダーランドのモデル!ミルクちゃんともはしゃいじゃったし、今日は最高の日だな~♥)

「分かりました」

「今次のサンプルが縫製中やから来週工場から完成品がきたら早速送りますね」

 佐藤はキリッ。

「お待ちしております」

 するとミルクが俯いてフルフルしながら小声で言った。

「なんだ…もう会えないんだ…」

 うろたえる新井戸。

「あっ、ミルクちゃんちゃうで!?そのうちまた用があり次第呼び出すよー?」

 でもミルクは俯いたまま小声で

「用が無きゃ会えないんだ…」

「だって交通費かかるし~困ったなあ、ならミルクちゃん今夜うち泊まる?」

 それには顔を上げ首を横に振るミルク。七郎&佐藤は驚き。

(おおっあのミルクちゃんが新井戸さんに食いついてる!)

 極度にシャイなミルクは普段はなかなか人に馴れられないのだ。


 結局新井戸は名刺をくれた。マスクのままピースの写真入りの…

「寂しいなったらこれ見てな、にしてもミルクちゃんはホンマ可愛いなぁ♥いつでもメールOKやからな~♥」

 と言って…




 PM8:30、東松阪に凱旋の七郎は…

「おめでとー七郎ー!」

「ありがとぉ~♥」

 先に連絡を受けて待ってた皆(秋・律・周・孝)に迎えられ、周んちに連行され、カルピス&ポテチで祝って貰ったのですが…


 七郎がカローラから降りる際にその奥でシャイな感じで小さくピョコと頭を下げたミルクを見た一堂は。

「おいおいおい七郎ー、何あれ本物めっちゃ可愛いじゃん!」

「シャイなの分かったけど有り余る可愛さ!うらやま!」

 いつもは控え目な律さえ

「ほんと可愛かったよね、七郎めっちゃラッキーじゃん」

 ノン気な秋だけは

「七郎っこいつらからミルクを守ってやれよ!?この悪い虫達から!」

「なんだとー!?」

「悪い虫って俺もなの?」

 美形の律がユラリと腕を組み、秋は負けじと

「俺は女の子の味方だぜ!」

 七郎はミルクを皆が歓迎している事で笑顔が止まらず

「うん♥今はまだまだ紹介無理だけど、僕自身ももっとちゃんと仲良くなりたいな~って♥」

 律は微笑み、

「七郎頑張」

「早く仲良くなって紹介して!♥」

「お話してみたーい!♥」

 まだ言い募る周&孝に秋は

「いい加減にせんかっこの悪い虫達めっ」

 フライングチョップを食らわせた――



今夜は、食パンにカスタードクリームをたっぷり塗ったのを食べました。父がクリームを作ります。

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