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天地旅人の世界渡り  作者: 黒クジラ
1/1

不思議な出会い


ある小さな1つの世界でのお話



「ミラ〜!今日はセラの成人祭見に行くんでしょ?早くしないと遅れるわよ!」

「大丈夫よ ラピスの森から行ったら間に合うから 行ってきます」


今日は妹の成人祭 私達の地域では隣村で

18歳になった子達を祝う祭りがある


「私も成人してからもう3年か…ってもうこんな時間少し急ぎましょうか

天人様みたいに羽があれば急がなくていいのに」


天人 それは小さな頃に見た御伽話の登場人物

「なんとか間に合いそう 懐かしいわねこの場所も」

ラピスの森 とても綺麗で癒されるそんな幻想的な場所

川の流れる音 木々の騒めき 間から差し込む日差し 小鳥達の鳴き声 男の悲鳴 ーー

「……男の悲鳴……?」



「ァぁあぁぁぁぁぁあぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁあぁぁあ!!!!!」


「空から…男…?」


体が地面に叩きつけられる音がした

普通の人間なら死んでいる

そう普通の人間なら ーー


「この人 まだ息がある どうして……?

それにこれは…羽……?」



5時間前 天上都市ケルトス

朝 決して寝心地がいいとは言えないいつもの寝床で目が覚める

「朝か どうにかならんもんかねこの暮らしも…」

ここは天上都市ケルトス ラムベルク区

上の世界では1番貧困が激しい区域だ

「今日こそ何か成果がありゃいいんだけどな」

1年ほど前から俺は外の世界に興味を持ち

調べ尽くして今は遺跡で手がかりを探している進展はここ半年程ない

「グダグダするより行動だな!行くか!」


俺は顔を洗い服を着替えて外へ出る

ここに住み始めて5年 この景色も見慣れたものだ

「あ!ノアお兄ちゃん!おはよ〜!」

「ニアか 今日も元気そうだなおはよう」

「おうノア!相変わらず目付きが悪ぃな!

今日もまた遺跡か!?」

「ガラムのオッサン 目付きは生まれつきだっての……」

近所の子供に酒場のオッサン家族のいない俺にとってここラムベルク区のみんなは家族みたいなもんだ

都市を離れ端の方に歩くと遺跡がある

「さぁ今日はどの辺を探索するか」


貧困地域の更に端など自分以外に立ち入る者がいるはずもなく遺跡はとてもさびれていて

風化も激しい

「ん?あんな所に階段なんてあったか?」

ほとんど調べ尽くした遺跡の見覚えのない階段を降りる事にした

「地下があるのは知らなかったな…今日は何か進展があるかも…って ヴァ!?」

俺は足を滑らせ豪快に階段を転げ落ちる

床に体が叩きつけられる 骨が軋む

このようにコケるのは日常茶飯事だ

「痛……幸先いいと思ったらこれだよ……

ん…?人の歩いた跡があるな…誰かここに来てたのか…?」


痛みも引き体を起こし周りを調べる

どうやら自分ではない誰かがここを訪れたようだ

少し先へ進むとちょっと開けた場所に出た

隅々まで調べてみる


「上とは少し雰囲気が違うな…なんだあの石…何かの封印か?調べてみるか…」

石を手に取る すると目の前が光で包まれた

後小さな妖精の様な物が姿を表した

「ん〜!久しぶりに石から出られたよ〜!

君が出してくれたんだね!?ありがとう!」

「なななななななんだお前!?妖精か!?本で見た魔物か!?理解が追いつかねぇ!!!」

とても驚き後ろに下がる

「メキッ」

嫌な音がしたと同時に床が抜けた

「嘘だろおいぃぃい…!」

声は虚しく穴の奥に消えた

「あ…落ちちゃった……」

上では妖精がそう呟く 男にはもう聞こえない




「ァぁあぁぁぁぁぁあぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁあぁぁあ!!!!!」

どれだけの時間落ちただろうか

これまでの思い出が走馬灯のように駆け巡る

「俺……落ちてる…アハハ…

あぁ…短い人生だったな……って死んでたまるかよ!まだ外の世界も見てない可愛い彼女にも出会ってない美味しい物も食べてない!

だからまだ…死ねないんだよ!」

もうすぐ地面俺は力を振り絞りこう叫ぶ

「衝撃軽減魔法!"プロテクト"!」

目前に魔法陣が浮かぶ 目には見えない何かが身体を包む

体が強く地面に叩きつけられる

魔法とはいえ所詮は軽減魔法 空から落ちて痛くないはずがない 痛い もちろん痛いすごく痛い

遠のく意識の中誰かが俺の元に走り寄る

俺は目を閉じた

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