幕間その2 さゆりちゃんと仕事と我が家
気が付いたら、次の日の朝だったわ。朝食を作る間も、食べてるときも誰も何も言ってこなかったから、昨日は何事もなかったのだろう。
それにしても、昨日のあれは夢かなにか・・・・じゃないといいなぁ・・・・。さゆりちゃんが私のことかわいいって言ってくれたんだもん。
「ふむん、和音、今日は出かけるぞ。妖怪が出たようだ。もしかしたら、強いかもしれない。」
ふーん、強い妖怪、ね。まあ、倒せるでしょ。
「ふむん、それはそうだろう。あ、光弘、塩を取ってくれ。」
「ほい。」
まあ、警戒は怠らないことね。
「そうだな。お、これおいしいな。このウインナー、この前作ってたやつか?」
うん、そうだよ、いいひき肉だったから、腕によりをかけて作ったの。どう、おいしい?
「おいしいかって。」
「うん、本当においしいよ。よく手作りできるね、こんなの。」
そりゃまあね。みんながおいしそうに食べてくれると嬉しいもん。
「みんながおいしそうに食べてくれると嬉しいもん、だって。よし、ごちそうさま。和音、僕は先に準備してるからな。」
あ、うん。
「タイミング悪くない?敬明。」
「ふむん、そうか?」
「そうね。」
「まあ、そうね。」
「悪い。」
私も悪いと思うわ。
「ふむん、そうか、気を付ける。」
そう言って敬明はリビングを出ていった。
それからみんなが食べ終え、食器を洗ってからそのまま敬明の部屋に入った。準備は財布や携帯くらいなので、敬明が私の分も持っているの。だから私はなにも準備がいらないのよ。
「ふむん、来たか、では行こう。」
敬明が言うには、妖怪は隣町のショッピングセンター近くにいるらしい。私たちだと電車に乗るより走った方が速いのよね。この距離だと。
やがて、隣町のショッピングセンターに着いた。辺りを探す・・・・。
いた。ん?遠くで見る限りそこまで強くない?
「ふむん、どうやらそのようだね。強そうなのは気のせいだったのか。うーん、先に腹ごしらえするか。腹が減ってはなんとやら、だ。何が食べたい?」
そうね。じゃあ、うどん、にしよう?
「ふむん、わかった。この辺のうどん屋は・・・・。あそこだな、よし、行こうか。」
うん、私はかけうどん。
「そうか、じゃあ、僕もそれにしようかな。」
む、じゃあ、ざるうどんにする。
「ん、わかった。」
うん。
私たちはうどん屋を出て妖怪のいる場所に向かう・・・・あれ、気付かれた!?妖怪が移動してる。走る?
「ああ、走ろう。気付かれたのは偶然だが、何かあっては困る。」
私たちが走ると、すぐに妖怪に追い付くことが出来た。妖怪はそこそこの大きさの赤いトカゲだった。元になったのはサラマンダー、みたいなものだろうか。サラマンダーは精霊だけど。その妖怪の尻尾の付け根を掴んで持ち上げる。
「うーん、そのようだね。よっと。」
敬明が妖怪の核を引き抜く。すぐに妖怪は消え、核だけが残った。
「ふむん、残念だ。こんなに雑魚だったとは・・。」
そうね。
「も、燃えてる・・・・?」
「ふむん、上白石君か。まさかこんなところで会うとはね。」
え、さゆりちゃん?なんでここに・・・・。
「はあ、やっと追い付いた。」
「もう、待ってって言ったのに・・・・!?」
「え、なんで、燃えて・・・・!?」
さらに、あの2人も来てしまった。ああ、見られちゃったね。敬明、どうするの?
「ふむん、見られたか。まあ仕方ない。君達、すぐにここを離れてもらえるか?今日はまだすることがあるんだ。だから、明日話そう。いいね?」
敬明が威圧をする。あ、怖がってるさゆりちゃんかわいいなぁ。こういうさゆりちゃんもいいなぁ・・・・。
3人が走り去ってから、敬明は威圧をやめたわ。
「ふむん、明日、用事が出来てしまったな。まあいい、これの処理をしよう。」
明日どうせなにも用事は無かったし、さゆりちゃんに会えるならいいけどね。ほいっと。核を冷やして火を消す。
「うん、上出来だ。よし、じゃあ帰るか。」
うん、明日のことも考えたいしね。
「ただいま帰ったぞ。」
ただいま。
「おかえり。2人とも、怪我はない?」
「ああ、もちろん。」
「それはよかった。」
「うん、これ、今回の核だ。預かってくれ。」
「うん、じゃあ、いつも通り大きさ計って教会に売り付けるね。」
「ああ、よろしく」
妖怪は本来教会が退治するのだが、私たちのような対魔の力を持つ一般人達が退治した場合、教会は退治した証である核を買う義務があるらしいの。それは、討ち漏らしたことへの謝罪などのためだそう。今回の核だと、だいたい10万くらいかな?私たちはこれと先生達の給料で生活しているの。そこそこのお金は入ってくるから豊かな生活を送ってるわ。ただ、核が本物であるという証拠やその書類が1度にたくさん必要で、先生達がとても苦労しているわ。ちょっと申し訳ないけど、しょうがないよね?
さて、明日のさゆりちゃん達せのおもてなし、だけど・・・・。
「和音、明日は上白石君達は緊張してるだろうから、お土産、としてなにか作るといいと思うぞ。」
うーん、じゃあ、カップケーキかな。
次の日、朝ごはんを食べてすぐに、敬明が出ていった。それから15分くらいして3人を連れて帰ってきた。3人との昨日の恐怖からか、ややうつむいて、縮こまっていた。家の中だから、表情とか出せる!楽しい!さゆりちゃん好き!って顔に出しながら3人を迎えるけど、見えてないのかな。
私は、ソファに座ったさゆりちゃんの上に座る。ここは私の席なのよ!
「えっあっ・・・・。」
筋肉質なのに、所々柔らかくて、気持ちいい・・・・。そのまま話が始まったようだけど、私はさゆりちゃんを堪能しておくわ。勝手に進めてね。
「あー・・・・和音、その、上白石君も困っている。降りてこっちに来てくれるか?」
いやだ!ここは私の楽園なの!
「あー、和音、本当に困って・・・・困ってるの?君。いや、話が進まない。降りてくれ。」
むう・・・・しかたない、降りてあげる。じゃあ、敬明の隣に座ってるわね。さゆりちゃんをこっそりと見てるから。話は適当に進めててね。
どうやら話が終わったらしく、さゆりちゃん達と光弘が立ち上がった。よし、カップケーキを渡しに行こっと。
「「「おじゃましました。」」」
「うん、また明日・・・・とと。」
間に合ったわね。私はカップケーキを入れた紙袋を差し出す。
「これ、くれるの?ありがとう!」
さゆりちゃんはとても嬉しそうに受け取ってくれた。この笑顔のためだけに生きていきたい・・・・。
「じゃあ、また明日ね、和音ちゃん。」
!さゆりちゃんが、手を、振ってくれてる!私も降り返さないと!
「ほら、帰るよ、さゆりちゃん。」
幼方さんがさゆりちゃんの手を引いて帰るのを促す。それによってさゆりちゃんも歩き出した。うう。
「ふふ。和音ちゃん、そんな残念がらなくても、明日、学校でも、放課後に家でも会えるんだから。」
うう、そうだけど・・・・。だってさゆりちゃんがかっこよすぎるんだもん。
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