4話 決戦とさゆりの遊び
ユニーク、100突破しました!みなさん、ありがとうございます!
今日の授業はさゆりちゃん、ちゃんと聞いてるわね。よかった、昨日はまだ授業内容の説明だったからフォローできたけど、今日からは少しずつ学習内容に入っていくから、本人が聞いてないと教えるのも大変だもの。それにしても、分かりやすい授業ばかりで、とても楽しいわ。これならさゆりちゃんもよく分かるでしょうね。
「えーと、じゃあ、この問題を・・・・上白石さん、解いてみてください。」
「は、はい。ええと、あれが、ああだから・・・・x=1です。」
「うん、正解です。よくわかりましたね。」
うん、さゆりちゃん、ちゃんとやってるわね。穂高ちゃんは・・・・寝てる!?あ、先生がこっちに来る・・・・!
「こ、も、り、や、さん!起きてください!」
「ひゃっ、あ、すみません。」
あちゃー・・・・夜更かししてたのね・・・・。
さて、放課後ね。さゆりちゃんは私が守るんだから!スタンガンも、カッターも十分ね。
「じゃあ、行ってくるね、さゆりちゃん、穂高ちゃん。今日は、先に帰っててね。」
「うん。じゃあ、先に帰るね、あ、公園で遊んでるから終わったら来てね。」
「わかったわ。」
「えっ、公園で遊ぶの?」
「じゃーねー。」
「え、ちょっと。」
私は2人に手を振る。よし、相手は上級生とはいえ身長は穂高ちゃんと同じ、155㎝くらい。筋肉も付いているように見えなかった。それにこっちには武器がある。大丈夫、大丈夫。勝てる。
「ふう・・・・よし。」
このドアの向こうに敬一はいる。最初は普通に・・・・。スタンガンとカッターはいつでも出せるよう、上着の袖のなかに。うん。
「失礼します。」
「ふむん、来たか。まあ、座りたまえ。」
「はい。」
私は軽く部屋を見回し、ゆっくりと座った。むろん、いつでも立てるようにしておく。
「して、話とはなんだ。今日は時間もたっぷりあるし、人払いもしてある。話してくれ。」
「はい、実はさゆりちゃんは昔から色んな事件に巻き込まれるんですよ。トラブルメーカーっていうんですかね。迷子の子はよく見つけるし、ひったくり犯はこっちに向かってくるし、誘拐が目の前で起こる、何てこともありました。」
「ふむん、おもしろい子だね。」
おもしろい・・・・?そんな言葉でさゆりちゃんを評するのかこいつは・・・・!
私はそんな怒りを表に出さないよう、奥歯に力をいれて耐える。大丈夫だ、落ち着け。大丈夫大丈夫。
「そうですね。なので、私は!!!」
私は袖からスタンガンを出し、起動しながら敬一に飛び掛かる。やつは驚いて反応できていない、勝った・・・・!
「ふむん、ダメじゃないか、今は話をする時間だろう?」
え?なにが・・・・?
私はなにが起こったのか分からなかった。気がついたら、ソファの間にある机の上に倒されていた。打ち付けたであろう背中は痛く、衝撃で息が出来ない。
「君は・・・・おそらく、なにか勘違いをしている。僕は上白石君になにか危害を加えることは無い。むしろ、彼女のことを守りたいと思っている。事故や災害、犯罪などからね。」
「う、ぐ・・・・。」
「ふむん、こんなに脆いのか。ああ、治してやろう。」
敬一は私の胸の数㎝上に手を伸ばした。
「治れ。」
敬一がその言葉を口にした瞬間、背中の痛みは引き、体も自由に動くようになった。私はすぐさま起き上がり、敬一を睨む。
「ふふ、敵意むき出しだな。まあいい。僕はさっきいった通り、上白石君を守ろうと思っている。それだけは信じてくれないか?」
「・・・・どこにそんな言葉を信じる要素が?」
「ふむん、面倒だな。しかし、君は僕によって生かされたんだ。それは分かっているだろう?」
確かにあのとき、敬一が手加減しなければ私は死んでいただろう。それだけの力はあるように見える。
「君は頭もいい。色々と使えそうだ。君には、私の組織に入ってもらおうか。組織と言っても、僕含め、5人ほどだがね。まあ、君の力だと、和音にも敵わないだろう。見た目よりあの子は強いからな。だから、取り敢えずはその敵意を無くしてくれ。君も敵わない相手に立ち向かうほど愚かではないだろう?」
さっきの私の傷を治したことといい、怪しいところはたくさんあるが、どの言葉にも嘘はないだろう。
「わかったわ。さゆりちゃんと穂高ちゃんに危害を加えないなら、敵意を向けない。」
「うん、いい子だ。ああ、あと、ここでのことは他言無用だ。組織については追って話そう。では、もう帰りたまえ。」
私は部屋から黙って出る。敬一には敵わない。
しばらく穂高ちゃんとおいかけっこをして遊んでいたけど、穂高ちゃんが疲れ果てて、座り込んでしまったから、日陰にあるベンチで休憩していた。
「大丈夫?穂高ちゃん、ちょっと走り過ぎたね・・・・。」
「はあ、はあ・・・・ちょっとどころじゃないでしょ・・・・いや、大丈夫よ、うん、でも、休ませて。」
穂高ちゃんはとてもしんどそうだ。まあ暑いしね。
「ただいま、2人とも。」
「あっ、優ちゃん、おかえり、話、どうだった?」
「んー?別に、ちょっと、敬一先輩について聞いてただけよ。でも、恥ずかしいからってあまり人には話さないでって。」
「そっか、んー、じゃあ・・・・。」
「いやよ、そこの穂高ちゃんみたいになりたくないもの。」
「えー、けちー。」
「それより、もうそろそろ日が暮れるわよ、帰りましょ。」
「あれ、もうそんな時間?穂高ちゃん、歩ける?」
「あ、うん、それくらいは。」
「よーしっ帰るぞー!」
私は立ち上がって歩き出す。
「いつも思うけど、なんであんなに走って元気なの・・・・?」
「んー、鍛えてるから?」
「うん、そうだね、うん。」
穂高ちゃんが呆れたようにこちらを見てくる。
「帰ったらまず風呂ね。とっても疲れたわ。」
「そうだね、汗もかいたしね。」
「んーそうね。春先だというのに暑すぎて帰るだけでも汗かくわ・・・・。」
確かに最近は暑すぎる・・・・。今は公園で水がいくらでも飲めるから大丈夫だったけど、走るのも大変なくらいだ。
「この暑さ、2人はなにか知らないの?」
「んーニュースでも特にやってないし、知らないわね。」
「んーそっか、水筒も増やさないとなー・・・・。」
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