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無口な少女は心で語る  作者: かあいかとさ Kais
2章 和音ちゃんはかわいい
23/26

19話 陸上部!走る!

大変お待たせしました。


「りっくじょうぶーりっくじょうぶーふふふふん」


あー楽しみだなぁ、だって陸上部だよ!?走るんだよ!楽しみー!あっ見えてきた!みんな走ってる!楽しそー!


「こんにちはー!ボランティア部から来ました!」

「あら~、いらっしゃい。」


とても細い女性が松葉杖を突きながらこちらに歩いてきた。


「よろしくお願いします!」


和音ちゃんと一緒に頭を下げる。


「元気ねぇ。こちらこそ、今日からしばらくよろしくねぇ。見ての通り足、骨折しちゃってねぇ。」


彼女は自分の右足を見せながら笑って言った。


「大丈夫ですか?」

「ええ、痛みはもうないのよ。ああ、自己紹介しなきゃね、私はマネージャーの名古よぉ。」

「私はボランティア部の上白石です。こっちは水無月です。この子は話せないので・・・・」

「ああ、そうなの、まあ、大丈夫よ。それにしても、あの上白石さんが来るとはねぇ・・・・。」

「あのって・・・・?」

「いえいぇ、まぁまぁ、こっちに来てくれる?」


名古さんに押され、運動場の真ん中に向かう私たち。なんだか強引だなぁ。おっ走ってるー!


「はーい、みんなぁ、ボランティア部の人が来てくれたから集まってー!」


名古さんが呼びかけると陸上部の人たちが続々と集まってきた。


「じゃあ、軽く自己紹介してくれる?」

「はい、ボランティア部から来ました、上白石です。こっちは水無月です。彼女は話せないので、用事があるときはなるべく私にお願いします。」


次に陸上部の方々が自己紹介をしてくださった。。


「はい、じゃあ、お仕事だけど、まずはぁ飲み物の準備よぉ。ついてきてねぇ。」

「え“っ」

「なぁに?」

「は、走らないのですか?」

「えっ?あなた達は走らないわよ、」

「えっ」


和音ちゃんに助けを求める。走れるよね・・・・?


『さゆりちゃん、走るために来たんじゃないよ、名古さんのお手伝いをしに来たのよ。』


そうなのか・・・・走るために来たんじゃないのか・・・・。

私は悲しみに打ちひしがれながら名古さんに付いていく・・・・。




「はぁい、2人とも、ここは流し場よぉ。いつもここでタオル洗ったり、飲み物を準備したりしてるのよぉ。これから、ドリンクを作るわよぉ。」


それを聞いた和音ちゃんは、カバンから大きな水筒を出した。


「それなぁに?」

『いつものスポーツドリンクよ。説明よろしくね。』

「うん、名古さん、この中身は和音ちゃん特製のスポーツドリンクです。どうぞ。」

「へぇ・・・・。」


名古さんは水筒を和音ちゃんから受け取り、流し場のコップに一口注いで飲んだ。


「おいしい!いいじゃない、これ!ありがとう!水無月さん!」


和音ちゃんは軽くうなずくことで返した。


「スポーツドリンクはおっけーねぇ。量もあるし。じゃあ・・・・応援しに行こうかしらねぇ。」

「はい!」


名古さんに付いて、来た道を戻る。そこには、十人ほどの人たちがトラック代わりの白線を走っていた。


「いいなぁ・・・・。」

『今日はお手伝いに来たのよ。我慢してね。』

「うふふ、本当に走ることが好きなのね。いいわ、先生に掛け合ってくるわね。」

「えっほんとですか?!ありがとうございます!」


やったやった!走れるぞ!


『嬉しそうね。』

「うん!だってちゃんとしたところで走れるんだもん!それに、和音ちゃんもいるし!」

『え?』

「あ、いやその・・・・。」


口を滑らしちゃった・・・・。いやだってこんなにかわいい女の子が私の走る姿見てくれるんだよ!こんなに嬉しいこと・・・・。そっか和音ちゃんに走る姿を見られちゃうのか・・・・。緊張してきちゃった。だってこんなにかわいい和音ちゃんに見られるんだよ!


『どうしたの?大丈夫?』

「だ、大丈夫。」

『そう、よかった。あ、本気は出しちゃだめだよ。』

「そ、そうだね。」


緊張してきちゃった・・・・。


『聞いてる?』

「え、ああ、もちろん、本気は出しちゃダメなんだよね?」

『そうよ、どこか上の空だったから・・・・。がんばってね。』

「もちろん!」

「先生から許可もらったよぉ。こっち来て―!」

「はーい!じゃあ、いこっか!」

『うん!』


手をつないで2人で名古さん達の元へ向かう。和音ちゃんの手、あったかい・・・・。




「あらぁ、上白石さんと水無月さん・・・・。」

「どうしました?」

「いいえぇ、いま体操着は持ってるのかしら?」

「はい、あります。今日体育があったので。」

「そうなの?じゃあ更衣室を貸すから、着替えてきてね。案内するわぁ。」


またもや名古さんに背中を押され、校舎の近くの部室棟に連れていかれた。


「この中なら覗かれることもないから安心して着替えていいわよ。なるべく早く着替えてね。」

「はい!・・・・って、一部屋しかないんですか!?」

「どうかしたのぉ?当り前じゃない、2人とも女の子でしょう?」

「あ、はい、そうですよね。」

「じゃあ、外で待ってるからねぇ。なるべく早く、ねぇ。」


うう、この中で和音ちゃんと2人きりで、着替えなんて、恥ずかしいよぉ・・・・。和音ちゃんのいいにおいがする・・・・。き、着替えなきゃ。和音ちゃんは・・・・。


「あれ、着替えないの?」

『うん、私は走るつもりないから。見学がしたいから。』

「あ、そうなんだ。」


え、じゃあ私、和音ちゃんと2人きりのここで1人着替えるの?うう、さらに恥ずかしくなってきた・・・・。なぜか和音ちゃんもこっちをじっと見てるし・・・・。


『着替えないの?』

「あ、うん着替えるよ。」


なぜか和音ちゃんにじっと見られながら体操服に着替えた。うう、恥ずかしい・・・・。どこかおかしかったかなぁ?


「き、着替えましたよ!」

「はぁい!出てきてぇ。・・・・あれ?水無月さんは着替えなかったの?」

「はい、見学したいから走らないそうです。」

「あらぁ、そうなのね。なら上白石さん、あそこに部員が集まってるでしょ?そこに行ってくれる?先生もいるから。」

「はい!行ってきます!」

和音ちゃんは相変わらず無表情で、でも楽しそうに見えた。


『いってらっしゃい』


和音ちゃんに手をブンブン振りながら陸上部の方々のところへ走る。


「よろしくお願いします!」

「うん、よろしくね、上白石さん。」

「はい!」


話しかけてきてくれたのは、部長で三年生の峯崎先輩。引き締まった体のとてもかっこいい先輩だ!


「じゃあ、私は上白石さんに付くから各自走ってて。」

「はい!」


陸上部の皆さんが一斉に返事を返した。


「はい、まずは準備運動ね。私に続いて体を動かしてね。まずは、腕をぐいーっと伸ばしてー・・・・。」

「んー・・・・。」


一通り終えると、体がポカポカして、緊張もほぐれた。


「よし、では走ろうか。コースはこのトラックよ。まずは慣らしね。私が先導するから軽く2周走りましょう。じゃあ付いてきて!」

「はい!」


本当に軽いジョギング程度の速さで走る峯崎先輩の後ろに続く。うん、これくらいならいくらでも走れるよ。


「よし、これくらいなら平気そうね。じゃあペースあげるよ。」

「はい!」




あれから、ペースを上げながら、何周も走った。気が付けばもう夕方だった。とても気持ち良かった。


『お疲れ様。はい。』

「ありがとう・・・・ふう。」

「なかなかやるじゃない、誰かに教わったことがあるの?」

「あ、峯崎先輩。いえ、そんな人いなかったので・・・・あ、でも、友達の優菜ちゃんに調べてもらって走り方は教わりました。優菜ちゃん調べるの得意なんですよ。」

「へぇ・・・・いつか会ってみたいわね。」

「はい、峯崎先輩がいいなら、いつでも大丈夫だと思いますよ。」

「そう?なら近いうちに予定のない日教えるからお願いしてもいいかな?」

「はい!」

「じゃあ、明日もよろしくね。」

「また明日ね。水無月さんもドリンクよろしくね。」

「はい!明日もよろしくお願いします!」


和音ちゃんと会釈して去る。とても楽しかった。


お読みいただきありがとうございました。


次はもう少し早めに投稿したいと思います。

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