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デッド・エンド・ライン  作者: 家猫えづき
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オモテとウラ(2)

 エレナと話し終わった後に、自分の部屋に向かう。エレナにもまだまだ聞きたいことは山ほどあるが、雪乃にも自分のことについて話さなきゃならない。そう言って俺の部屋で待たせてあるわけだし。

 ドアの前で一息置いて、自分の部屋に入った。


「悪い、遅くなった。」

「構わない。しかしキミの部屋はいつ来ても退屈しないな。」

 俺の予想に反して、雪乃は怒ることもなくだいぶくつろいでいた。ベッドに座り、足を組んでマンガを読んでいた。


「怒ってないんだな。てっきり説教かと・・・。」

「怒ってないわけではないんだ。ただ、誰だって秘密はあるものだからな。」

 ・・・心が広いというか、なんというか。もし仮に、こいつが生徒会長になると言ったら、反対票がゼロになるんじゃないかってくらい心が広い。・・・大げさか。


「で、お前に話さなきゃいけないことがあるわけなんだけど・・・」

 今までずっと隠してきたことを、いざ打ち明けるときって、なんか変に緊張するよな。それもそうか。隠してきたことって、大抵怒られる内容だし。

 雪乃は、ただ黙って俺の目を見て、次の言葉を待っている。どこから話そうか・・・。


「さっきエレナが言っていた仕事についてだが・・・俺は殺し屋だ。」

 言ってしまった。今まで雪乃を巻き込まないために隠してきたこととはいえ、かなり後ろめたい。なんてったって、殺し屋だからな。サラリーマンが自分の嫁に本当の年収言うより後ろめたいわ、多分。

 かなりの間があったので、うつむいていた顔を上に上げると、雪乃の表情は変わってなかった。あれ?ここって驚くところじゃないの?なんで、何ともないの?


「ん?秘密ってそのことか?知ってるぞ?キミが殺し屋なのは。」

「へ?」

 あまりに予想外な返答過ぎてアホっぽい声が出てしまった。


「え・・・え?なんで知ってるの?俺、このことで今まで痛い思いしてきてるんだけど、精神的な意味で。」

「キミが言ったんじゃないか、『父の仕事の手伝いだ』と。もちろん刀治さんの職業は知っているからな。」

「だからなんで親父の仕事知ってるんだよ。」

「聞くつもりはなかったんだがな。うちで飲んでいるときに、父とそんな話をしていたからな。」

 あの糞親父。個人情報がナイアガラじゃねぇか。だいたい世間様に後ろ指差されるような仕事を第三者に、しかも酒の席で話してるんじゃねえよ。


「じゃあなんで今までやめろって言わなかったんだ?お前嫌いだろ、こういうの。」

 雪乃は、完全正義主義者だから、人殺しなんて一番嫌いなはず。なのに知っててなんで今まで俺に何も言ってこなかったんだろうか。


「・・・さっき言ったはずだ。誰にでも秘密はあるものだと。私もいい機会だから話そうと思ってな。」

 すごく嫌な予感がするんですが・・・。





「残念だが、私も殺し屋だ。」



 やっぱりか。

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