表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デッド・エンド・ライン  作者: 家猫えづき
4/7

顕現せし金色の混沌(2)

―――――ここまで思い出したところで、今日一日の授業が終わったことに気付いた。・・・昼飯いつ食ったっけ?机の上を見ると、『数学Ⅱ』と書かれた教科書が置かれていた。


「おい、大丈夫かよ?それ、一時間目の教科書だぞ?」

「・・・ちょっと考え事がな。」

 魂の抜けた俺を見て、声をかけてきたのはクラスメイトの重村力(しげむらりき)。数少ない友達の一人だが、こいつと二人でいるとなぜだか周りの人間が避ける。俺が無愛想なのも原因の一つだと思うけど、おそらくはこいつの体格のせいだ。2m近い身長に100kgを超えた身体。挙句の果てには、体脂肪率が10%を切っているらしい。あの気の強い雪乃ですら、初対面の時気を失いかけた。極めつけは、極道のような顔面。どんな修羅場潜り抜ければあんな顔つきになるんだよ。


「なんでもいいけど、そろそろホームルームだぞ?」

「分かってるよ。それより俺昼飯何食ったっけ?」

「ん?いつも通り食ってたぞ、学食で。」

 ・・・・・あ、思い出した。力と学食行ったんだっけ。俺はいつも通り日替わり定食だった気がする。こいつは・・・思い出すだけで、腹いっぱいになる。俺が思い出したのを察したのか、力は話を変えた。


「それより、今日放課後暇か?久しぶりに遊ぼうぜ。」

「あー・・・悪い今日はダメだわ。なんか客が来るらしくて。」

 昨日親父に言われたしな。昨日来なかったってことは、今日来るってことだろ。どんな人なのかは知らないけど・・・。


「なんだよ~。なんか最近忙しそうだよなぁ、お前。」

「いろいろあるんだよ。てか、ホームルーム何すんの?」

「知らね。でもなんか大事な話があるって言ってた気がするぞ?」

 珍しい。うちのお気楽担任が大事な話なんて。いつもは、大抵どうしようもない道徳話で一時間終わるのに、今日に限って大事な話なんて。


「なんでも、編入してくる子がいるとか。珍しいよなこんな時期に。」

「確かに。『子』ってことは女子か?」

「江口がそうやって言ってたからなぁ。女子なんじゃね?」

 そんなやり取りをしてると、後ろに人の気配を感じたのと同時に、肩に重さを感じた。


「そんなに気になる?ねぇねぇそんなに気になる?」

「・・・あんたが一番ウキウキしてんじゃねぇか?」

 後ろに立って肩に腕を回してきたのは、担任の江口和哉(えぐちかずなり)。まだ若いこともあり、生徒との距離が近い先生としての人気がある。が、その裏は『女の子からモテたいから』らしい。そのことを公言しているため、女子からの人気はあまりない。公言しちゃうあたり、余程の馬鹿。


「当たり前だ!あんなにかわいい子、ウキウキしない方がおかしい!」

「それをデカい声で言っちゃうあんたの頭の方がおかしいと思うぞ?」

「そんなこと言って、後で痛い目見ても知らんぞ~?」

 そう言い残して、江口は教壇に向かった。嵐が去ってため息をつくと、おぞましい気配の視線を感じた。


「・・・・・・・・・(じ~~~)」

 え~~・・・雪乃さんめっちゃ怒ってらっしゃる。あんなマンガみたいに目って光るんだね。てかなんで怒ってるの?俺別に興味ないの知ってるよね?俺が雪乃に怯えていると、江口が説明を始めた。


「え~じゃあ余計な前置きは無しにして・・・編入生が来ている。」

 多分みんな知ってるぞ。お前のバカデカい声のせいでな。


「いいか、騒ぐなよ?じゃ、どうぞ~」

 江口が入ってくるように手招きをすると、女の子が入ってきた。見た目はかなり可愛い。それよりも目についたのは、綺麗なブロンドヘアー。よく見ると顔も日本人っぽくない。


「初めまして。城戸崎エレナと申します。よろしくお願いします。」

 日本語は普通に話せるのか。こういう時のお約束で、男子諸君は大盛り上がりだが、クラス中の女子が城戸崎さんに視線(死線)を送っている。それでもふんわりした雰囲気は変わらない。あの子、相当肝座ってんな・・・。


「よし、じゃあ空いてる席に着いて。世話役は・・・柳生、頼めるか?」

 雪乃が世話役か。適任だな。しかし男子諸君はその意見に不満爆発している。俺がやるだの、俺の方が適任だの、お前らは小学生か。


「それなら、だれがいいか城戸崎さん本人に決めてもらえよ。」

 江口が出した提案に、反対意見はなかった。席に着いた、城戸崎さんを一斉に見る男子諸君。







「あ、えっと・・・私、神城君にお願いしたいです。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ