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デッド・エンド・ライン  作者: 家猫えづき
3/7

顕現せし金色の混沌(1)

 次の日の授業中。教師と呼ばれる立場の人が、黒板と呼ばれる壁にくっ付いた板に、白い粉の出る棒で引っ掻いて、数字を並べて、一生懸命『解く方法』とやらを説明しているが、正直言ってまったく頭に入ってこない。前日に親父に言われた言葉が頭に焼き付いている―――。




―――――ん?親父から電話?・・・少し怪訝な気もするが、出ないわけにもいかないし出るか。

Pi

「おう、春也。今大丈夫か?」

「そこがどこだか知らんけど、日本は今、日曜だ。そして親父も知っている通り、俺には休日に遊ぶような彼女はいない。ここまで言えば、今大丈夫かどうかなんていくら親父でも分かるだろ?」

「息子よ・・・ドンマイ☆」

 くっ・・・自分で言ってても悲しくなったのに、その上親父に追い討ちを許すとは・・・。


「んで、なんだよ?まさかおちょくる為だけに電話したんじゃないんだろ?」

「あぁ、そうだった。・・・なんだっけ?」

「・・・」

 おい、こいつマジかよ。抜け作にもほどがあるだろ・・・。思わず絶句しちまったじゃねえか。


「まぁ冗談はここまでにして、父さんちょっとしばらく帰れないわ~。」

「冗談かよ!ていうかまたかよ・・・。どれくらいなんだ?」

 ここまでは別に珍しいことじゃない。今までも普通にあったし、現場でトラブった時はもちろん後処理もしないといけない。だからその分帰りが遅くなるのは分かる。俺も同業だし。いつものことだからと思い聞き返した。


「もしかしたら、もう帰れないかもな~。」

 拍子抜けするほど軽い口調で、とんでもないことをなんでもないことのように言い放ったバカ親父。『帰れない』とはそのままの意味で、現場で死ぬことを意味している。


「なんでだよ・・・なんかあったのか?言っとくが、こんな狭い家であんな筋肉の塊みたいなジジィと二人暮らしなんて御免だからな!」

「あぁ、その辺は安心しろ。爺さんならもうこっちに来てる。」

 ん?まったく話が飲み込めないんだが・・・。そもそも爺さんは町内のジジババと旅行じゃなかったのかよ。てかまず、そこ何処だよ。よく考えたらいろいろ説明抜けすぎだろ・・・。落ち着け春也。まずは一つずつ整理するのだ・・・。


「・・・そこ何処なんだ?」

「強いて言えば、地図にも載ってないし、名前もない国・・・だな。それに、帰らないなんてのは嘘だ。さっき言っただろ?『しばらく』帰れないんだって。」

 なんか上手く言いくるめられた感じだな・・・。まぁいいか。それにしても、地図にも載ってなくて、名前もない国なんてあるのか?そもそもそんなの国として認知されてるのか?親父はもう何言っても答えてくれないだろうし・・・。あ、でもそういえば親父たちがいない間の、飯とかは?洗濯とかは?経済的な問題もあるし・・・。


「なぁ、親父たちがいない間の家の事ってどうすりゃいいの?食費とかは?」

 純粋に疑問に思ったので聞いてみた。・・・この歳になって、洗濯の仕方も知らないとは、恥ずかしい。飯も動物の餌みたいな物しか作れないし・・・。


「俺の金だって親父が管理してるし、そもそもいくら入ってるのか知らねえし・・・。」

「そういえば、その辺の説明してなかったな。金の心配はしなくていい。冷蔵庫の横に俺の通帳がある。それに暗証番号が書いてあるメモも入ってるはずだ。」

 言われるがままに、冷蔵庫の横のスペースに目をやると確かに親父の通帳とメモがあった。『0280』と書いてあるメモの下に、10個以上続く数字の羅列が並んでいる。こんなに金持ってたのかよ・・・。俺がその数字の羅列に驚いてると、親父はお構いなしに説明を続けた。


「それと、お前の身の回りの世話だが、俺が手配した子が今日か明日中に家に行くと思うぞ。んじゃそゆことで~。」

「え?ちょ、まっ!!??」

 切りやがった・・・。いろいろありすぎてどこからどうやって消化していいか分からん・・・。

ぐぅ~にょ~

・・・とりあえず、雪乃帰ってくるの待とう――――。


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