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デッド・エンド・ライン  作者: 家猫えづき
2/7

プロローグ(2)

 雪乃が家に入ったときに、妙な事を言い出した。


「なぁハル、最近なんか疲れてないか?」

 なんだ?急に。そりゃまぁ、学校と『仕事』の両立はかなり難しいが、別にアルバイトも部活もしてないし、仕事もだいぶ慣れてきた。しかし最近になって、仕事の量が増えてきた。あんまり顔に出さないようにしていたんだけど、さすがに雪乃にはバレるか・・・。


「いや?そんなことないぞ?疲れてるように見えるか?」

「ふむ、少し元気がないように感じたのだが・・・」

 疑いの眼差しが痛い・・・。だがしかし!雪乃にはバレるわけにはいかない。中学生の時、風邪引いてたのを隠して学校に行って、案の定ぶっ倒れたときに泣きながら俺の部屋から出ずに、言葉通り『付きっ切り』看病された。挙句の果てには、トイレにまで着いてきた。もうあんな恥ずかしい思いは御免だ。


「まぁいい。仕事のほうも無理はするなよ?」

「分かってるよ。雪乃には心配してほしくないしな。」

 雪乃には、親父の仕事の秘書的な事をしていると嘘を吐いている。本当は・・・まぁ・・・この世界では『殺し屋』やら、『暗殺』と言われる稼業をしている。さすがにこれは言えないだろ?だから内緒。


ちなみに、親父と爺さんも殺し屋だ。うちの家系は代々この稼業で食っているらしく、元々のご先祖様が所謂、忍者だったそうだ。俺も初め聞いたときは驚いた。それと同時に納得したこともあった。親父の足音がしないこととか、爺さんの動きが明らかに70代の動きじゃないこととか。だって、逆立ちしながら親指だけで腕立てするんだぜ?どこぞのグラップラー漫画かよ。あ、もちろん片腕だけでな。親父は今日も、依頼でどっかに飛んでいるはずだ。


 それにしても・・・誰かの代で止めようとか思わなかったのがすごいよね。だって、明らかに普通のサラリーマンやら、大工さんとかより死ぬ確立高いじゃん?それでもやめないってなんか楽しいのか?自分の息子にまで伝えるほどいい事あるのか?・・・やっぱ金か!?金なのか!?


「んな事より腹減ったよ。なんか作ってくれよ。」

 俺がそう言うと雪乃は呆れた顔でやれやれという仕草を見せた。そもそも雪乃を呼んだ理由(わけ)を忘れていた。暇だったのもあるけど、俺腹減ってたんだったな。


「まったく・・・仕方のない男だな君は。冷蔵庫開けるぞ?」

「どぞ~。俺は焼きそばが食べたい。」

「む。焼きそばか・・・私も食べたい。」

 いや聞いてねえよ。でも今の言い方が可愛かったから、ゆるす。


「でも少し材料が足りないな・・・。ちょっとスーパー行ってくる。」

「いってらっしゃ~い。」

 玄関を出て行く雪乃を見送って、再び一人になった家で小さな溜息を吐く。ここで、俺も一緒に行けば良かったんじゃね?という結論にたどり着くが、自分の気持ちに気付かない振りをする。なんでかって?恥ずかしいから。今更、幼馴染と二人で買い物とか、恥ずかしすぎて顔からハバネロ出ちゃう☆


 そんなくだらないことを考えてると、不意にケータイが鳴った。ポケットから出して画面を見る。



「・・・?なんで親父から?」

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