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――聖受歴1,537年 終耀月15日 晴れ
あは。
あはははは。はは。
………………もう、笑うしかねえ。
あの野郎……マジで達成しやがった。
二日で、砦七つ。
ほぼ素通りだったけどよ……つまり、事前にあの野郎が何らかの工作してたっつうことだろ?
あいつ、マジで何者だよ。本当に人間?
そこからして既に怪しい気がしてきたのは俺だけじゃねえよな?
謎の達成感と恐怖でいっぱいになる俺らの横で、平素通りの微笑みを浮かべる黒歌鳥。
その様子のどこにも、浮かれるとかそういう高揚した感じはしねえ。
つまりは、ヤツにとっちゃ二日で砦七つなんて無茶も大したことねーって事か?
深く考えたくねえし、考える気もねーが……真面目に空恐ろしいな、こいつ。
敵に回したくねえと思ったことのある相手は、何人もいるけどよ。
その視界に入りたくねえな、って思ったのは初めてだった。
……まあ、もう手遅れなんだけどよ。
俺はもうがっつり奴の視界に入っちまってんだろうな……。




