――聖受歴1,537年木耀月17日 晴れ
また、前から間が空いていますね……。
軍記モノとか読んだ方が良いんでしょうか。戦争とか難しいです。
ですが黒歌鳥が絡んでいると思うと、何故か大体展開が「内側から切り崩す」になってしまう不思議。
他の展開は、とも考えたんですが……閣下が奮闘している図も特に思いつきませんで。
というか黒歌鳥さんの情報操作やら楽しい工作やらが強過ぎて。
結局素直に黒歌鳥さんの行動に任せることにしました。
俺って、何の為に存在してんだ……
俺って必要か?
なあ、俺って必要か?
あの野郎の襟首ひっ掴んで、がくがく揺さぶって問い詰められたらどんなに……いや、無理。うん、無理だ。
その光景を想像しようとしたってのに、脳内妄想の俺が笑顔のアイツに踏みつけられる光景しか浮かばねぇ……
変な性癖に目覚める前に、俺は頭から妄想を追っ払った。
――反逆集団『ベルフロウ』の頭目……つまりは、俺を討伐するってぇお題目掲げた国軍の奴らが辺境まで派遣されてきたのが、三日前。
眼前にそびえ立つ、城砦都市がその拠点として国軍を受け入れた。
都市の中心である砦を預かる男は、まだ『ベルフロウ』……っつうか黒歌鳥の野郎に恭順を示しちゃいねぇ。
つまりは敵だ。
敵だ、っつうのに……
何 を や っ た 、 あ の 悪 魔 。
目の前にそびえ立つ、城砦都市の堅牢な城壁。
その向こうから空に立ち上るのは、どう見ても黒煙。
火災発生、って訳じゃなさそうなんだが……
国軍が入城してから三日。
まだそいつらは、出陣すらしちゃいねえ。
出陣どころか……俺らへの宣戦布告すら、まだだってのによ。
念の為の警戒として、俺らも遠巻きに城砦都市を囲んじゃいたが。
そんなもんは必要なかったんじゃねーか、おい……。
つうか、俺が此処にいる意味あったか?
目の前の城砦都市。
その奥に迎え入れられたはずの、国軍。
……が、まだなんもしちゃいねえってのに。
奴ら、派遣三日目にして内部から瓦解しつつあんだけど。
マジで何やった、黒歌鳥。
奴が『ベルフロウ』の一員じゃなきゃ、疑いもしねぇとこだが……。
あの野郎のことを知ってっと、駄目だな。
到着早々内部崩壊とか、奴の仕業にしか思えなかった。
……ここ三、四日ばっかし、姿見てねぇしな。
絶対に奴が暗躍してる。
俺は疑いようもなく確信しちまっていた。
あいつの姿が数日見えない。
それはつまり、俺の心労が一つ減る……はず、なんだが。
あいつがいない分、その数日を羽休めとでも思や良い、はず……なんだが。
なんでなんだろうな。
あいつの姿が見えねぇってだけで、言い知れない不安を感じるのは……。
俺の見てねぇとこで何やってやがんのか、って考えると……鬼の居ぬ間に洗濯したって良い筈なのに、どうしようもねぇ不安で自然と頭を抱える俺がいた。




