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方針会議――聖受歴1,537年水耀月7日 晴れ

前回から大分間が明いてしまいました。

その割に、内容は短いです。



 暫く留守にしていた吟遊詩人が舞い戻り、『革命軍』の主だった人物を会議場に呼び出した午後。

 男達の間には、戦場並の緊張感が漂っていた。

 張りつめた空気の中、まさに鳥のさえずりの如く軽やかに吟遊詩人は述べる。

 彼が方々で見て来た、様々な物事。

 その中で今後の方針を定めるに、特に重要と思われる物事を。


「王都から正式に武装集団『ベルフロウ』が朝敵と認定されたそうです。『ベルフロウ』征伐軍の派遣も決まりました」


 そして最初に提議された議題は、いきなり大事だった。

 遠からず持ち込まれることを想定していた情報だ。

 今更動揺することもない。

 だが……こうもさらっと、何の前触れもなく聞かされるとは。

 吟遊詩人というものは、まこと耳聡いものらしい。

「征伐軍の指揮官はまだ内示が下った段階ですが、急な変更がなければロジャー・スフィンクル……ベルフロウ閣下の細君を殺害した男の、叔父に当たる人物ですね。本人はコネと金と追従で出世したような無能ですが」

 否、耳聡いどころの話ではなかった。

 まだ内示が下ったばかりの、指揮官の情報。

 どこからそんなに詳細な情報を掴んできたのか……情報源が気になるところだ。

 最早、国家中枢の奥深くに内通者がいるのでは、と思えてくる。

 しかも黒歌鳥の掴んできた情報は、これだけに留まらなかった。


「遠征してくる征伐軍の行軍ルート、及び拠点予定地に関しては候補地リストと行軍予定表の写しを入手済みです」

「どこで手に入れてきたんですか、一体」


 既に詳細過ぎて信憑性が遠くに吹き飛びそうな、貴重な情報の数々。

 軍の編成内容から、荷駄の詳細を記した一覧表、補給物資を運ぶルートまで。

「更には王都と拠点予定地の各都市に流れるよう、正規軍に対するネガティブキャンペーン及び此方の英雄詩各種の流布を手配しておきました。きっと兵の士気もガタガタに低迷することでしょう」

「黒歌鳥……お前は一体、何手先を読んで行動しているんだ」

「それは秘密です」

 労せずしてここまで明らかになっていると、罠を疑うものだが……入手してきたのが黒歌鳥というだけで、何故か記された情報が事実に見えてくる。

 全ては『過去の実績』という魔法のような積み重ねの効果なのか。


 『ベルフロウ』を征伐しにくる、正規軍。

 その拠点予定地各所に、他にも細工をしていること。

 それを知れば、革命軍の方々は腰を抜かしていたかもしれない。



 この日、吟遊詩人の持ち帰った貴重な情報(出所不明)により、反王国組織『ベルフロウ』は新たな戦いに向けて奔走することになる。

 




某オッサンの胃が本格的にキリキリする日々(本番)が到来しそうな予感。

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