――聖受歴1,537年花耀月11日 晴れ
まるで引きずり出されるように、うちの砦から出征させられて早半月が経った……ん、だが。
気がついたら北方の都市が更に3つ落ちとった。
あれ、いつの間に陥落したんだ、おい。
いくら記憶を振り返ろうが、交戦した記憶が全くねえんだが。
……おい、どういうこった。
いつの間にか勢力下に落ちていた、都市。
こういう時は、アレだ。
大概、あいつが関与してんだろ……。
俺は顔が引きつるのを我慢できねぇまま、原因に違いねえ彼奴……黒歌鳥に詳細を問い詰めようと思った……ん、だ、が……
何故か、どこを探しても見当たらねえ。
何だか妙に嫌な予感がする。
俺は全体のスケジュール管理してる奴ならなんか知ってんだろ、と。
そんぐらいの軽い気持ちでちょっくら何人かに黒歌鳥の居場所を尋ねた。
そうしたらよ。
思いもしねぇ返事が返ってきたわけだ。
「黒歌鳥さんなら、出張に出られてますよ! お帰りは5日後だそうです」
「…………」
出張って。
出張って、おい。
あ・い・つっ どこ行きやがったぁぁああああ!?
一体どこに、そして何をしに行きやがったのか。
何も聞いてねぇ。
何も聞いてねぇんだが。
この圧し掛かってくる重い不安は何なんだ、一体……。
元将軍
「なぁ……何したんだよ。何したんだよ、おまぇ……」
黒歌鳥
「戦わずして恭順を誓っていただけるなんて良いじゃないですか。互いに損害は少なく済みますし、手間も減って効率的だと思いますけど?」
元将軍
「マジで何をどうやった戦闘もなしに恭順まで誓わせられちゃうんだよ!?」
黒歌鳥
「情報は使いようですよね……ほんの少し工夫するだけで、こうも人心を操r……望む反応を得られるのですから」
元将軍
「今そこボカす意味あったか!? しかもオブラートに包めてねぇえっ!」




