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20/102

――聖受暦1,536年終耀月3日 晴れ



 今日は秋晴れの良い日だったぜ。

 もう年末か……できればすっきり今年も終わらせたいところなんだけどな。



 最近、我が家がなんか『家』って感じがしねぇ。

 なんつうか……職場って感じがすんだけど。

 安らぎはどこ行った。

 一応、家族の共有スペース的な場所はある。

 俺の一家が住んでる区画な?

 けどな、それ以外の奴らが使ってる場所の方が割合多いんだよ。

 圧倒的に人口差があるんで、そこらへんは仕方ねえ。

 俺の家に転がりこんでる奴らが四桁突破して、もう随分になる。

 そんなにいちゃ、こうなるのも仕方ねぇのかもしれねえが。

 けどさ、お前ら自由過ぎねぇか?


 匿われるようにして仲間になった、前宰相の身内2人。

 あいつらは……なんなんだろうな?

 砦にいる奴らの『学識』の低さに絶望したらしい。

 嘆くのは勝手だが、教育制度が整ってねぇんだから仕方ねえじゃん。 

 自分の名前も文字で書けないのか……って、農村の出身なんてそんなもんだって。

 俺だって元々の出身は寒村の出だかんな。

 軍で出世して、何が一番苦労したって文字を覚えたり報告書類の様式覚えんのが一番辛かったわ。

 今こうして書いてる日記だって、文字を使いこなす修練として始めたんだぜ? 俺はちゃんと努力した。

 今でも書類仕事が苦手なのは、俺のせいじゃねえよな。うん。

 この国が、社会が悪いんだろ。俺のせいじゃない。

 ……が、この国でも出来のよろしい頭脳をお持ちの方々にとっちゃ、仲間が字も碌に書けねぇってのは問題だったらしい。


 なんか、奴ら主催による勉強会が『砦』の必須教養化した。


 ちなみに俺には事後承諾だった。


 前宰相の身内コンビを筆頭に、『砦』ん中でも頭のよろしいヤツだの知識豊富なヤツだのが講師として名乗り出た。

 そこは別に構わねえよ? そこはな?

 問題は、なんで俺まで参加が必須事項になってんのかだ。

 お前ら、俺もう40代も後半なんだぜ?

 そんな今更勉強してするする吸収できる程、脳みそ柔らかいと思ってんの?

 人数が多いこともあって、勉強会は回数と段階を分けるそうだ。

 毎日昼過ぎから夜まで1時間区切りで勉強会を開くらしい。

 そんで個々に1週間3回以上の参加が義務付けられた。

 ちなみに俺は週5回の参加が義務付けられた。

 ちょい待て、なんで俺だけ2回多いんだよ!?

 あ? 俺が率先して皆の手本になるべきだから!?

 あと書類仕事の出来がいつまでたっても酷……って!

 待て! 待て待て! あんまりだろお前ら。

 さては俺の過密スケジュールを知らないな!?

 とっくのとうに隠居した筈なのに、なんでか俺の日程びっちり管理されてんだぞ!? 息子に!

 そこで週5時間なんぞ、捻出出来るか……!


 ……って、え?

 もう調整済み?

 既に息子からGOサイン出てる?

 あいつ何やってんだよぉぉおおおおおおおおおっ!!

 安心して……って安心できるかぁぁああああああ!


 それ以外にも某老骨様主催によるヘルヘブン閣下式戦闘訓練だの、某近衛騎士隊長のご子息共による戦術論の講義だの。

 なんか俺の知らない内に定期開催されてる教室が『砦』のそこここで見られるようになってた。

 なんで今まで気付かなかった、俺……!

 野郎共の各種能力がここにきてぐんと上昇してるっつうか、なんか精鋭化しつつあんのは気のせいか!?

 そして俺まで、いきなり準備万端整った教室に側近共に叩きこまれて初めて知る教室の存在。

 なんかさ、俺の1週間さ。

 予定の半分は訓練だの勉強会だのになってんだけど。

 もう1回言うぞ?

 俺、47歳。

 もう肉体も頭も酷使に耐える年齢じゃねぇんだぞ?

 あんまりにも酷いだろうって思うが、俺の味方はやっぱり愛犬のグラだけなのか……?



 なんかもう、今年も色々酷かった。

 神様ってのがいんなら、頼む。

 どうか来年は、ちっとは穏便に、まともな年になりますように。





 そうは問屋が卸さない(笑)パート2

 『砦』の知力武力戦術、それぞれに+50。

 一体誰の差し金でしょうね!



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