――聖受暦1,536年水耀月23日 曇り
なんか今日はいつもとは毛色の違うヤツが来た。
若いのが来ることを『いつも』と言っちまう現実に無性に嫌気が差しかけた。
……が、まあそれもいつものことだわな。
今まで俺を直接知ってるヤツ以外で来る若いのだったらこう……血気盛んっつうか何つうか、夢と希望と未来を信じてます!的な?
なんか血の気が多くて、俺に変な期待を持ってる節のあるヤツばかりだったんだけどよ。
俺の勇名を聞いて駆けつけたとかほざいたのは、ちとタイプが違う。
いや、勇名ってなんだとか他にも色々聞きてぇこともあったんだがな。
どうなってんだ、俺の噂。
なんかホント、俺の知らないところで尾鰭胸鰭どころか手足に角やら尻尾が生えてそうな噂が独り歩きしてるっぽいんだけど……
どんな噂が蔓延ってんのか知らねぇけど、事実と異なるからって俺、責任取れねぇぞ?
そんなもんを頼ってきたっつわれても、俺が困る。
困る、ってのによ。
今日来たのは、王の不興を買って処刑された前宰相の孫息子だった。
ご丁寧に学問の兄弟子だとかいう、これまた賢そうなヤツとの二人連れ。
えっと、あんたらって前宰相が処刑された折に行方くらませてなかったっけ。
とばっちりを喰らわないよう、隠れてたんじゃねーの?
なんでここにいるのかなー……?
いや、それ以前にそもそもさ、アンタ等が頼ってくるような接点って俺とアンタ等の間にあったっけ?
こうやって顔を合わせるのも初めてなら、会話したこともねーよなー?
よくわからん内に有耶無耶にされて、なんか居座られた。
ちゃっかり日当たりのいい空き部屋を占拠しやがったよ。
頭の良いヤツってのは本当に厄介だ。
こっちがよくわかんねぇ内に、言い包めてきやがるんだもんよ……。
なんでコイツ等が俺を頼ってきたのかは知らん。
知らねぇが……取敢えずコイツ等に口と理屈で勝てねぇことは理解した。
あれ、俺なんか間違ったっけ……?
軍師加入。




