第二章《胎動する災厄》12日目~13日目
今のところ中4日位のペースで投稿していければと考えています。
スキル【文章力脆弱】を持つ私ですが、日に日に読んで頂ける方が増えており嬉しく思っています。
第二章《胎動する災厄》が開始されました。
第二章 (1日目) 【通算12日目】
朝、目が覚めるとシステムメッセージが表示された。
【第一章全てのクリア条件を達成したので主神から報酬が与えられます。貴方の主神である《冥府の女神クリュメノス》より加護〔神堕冥崩〕を与えられました。】システムメッセージを読み終えると左手の甲に激痛が走る。特性の【痛覚緩和】が有るにも関わらず痛みは和らぐことなく続く。
脂汗をかきながら暫く耐えると痛みは引いていったが左手が黒く変色しており左手の甲にルーン文字のような模様が刻印されていた。
間違いなく加護〔神堕冥崩〕の影響だと思うがどのような効果があるのかいまいち分からない。そもそもゲーム時代に加護というシステムがなかったのでなんとも言えない。左手に宿る加護とか厨ニ臭が凄くて恥ずかしいのでガントレットを常に装着しておこうと心に決める。とりあえず左手は何の問題もなく動くので安心した。
機会があれば加護についても調べる必要があるだろう。こうしてまた一つ謎が増えるのだった。
気を取り直して、南の森にあるゴブリンの縄張りに向かう。
大鬼が統治するゴブリンの拠点はその規模から見て陣営地で間違いない。拠点の周りを丸太を並べて囲み城壁の様になっており物見櫓も立っている。なかなか立派なものだと感心しながら拠点に近づくと俺の存在に気づいた小鬼達が一斉に跪いて頭を垂れ拠点に迎え入れた。
そして今、俺は本来なら大鬼が座るべき玉座に座らされている。玉座の前で膝をつき頭を垂れる大鬼にこの世界の事や疑問に思った事を質問し情報を仕入れていく。その後、猪大鬼の拠点に向かう。こちらの拠点の規模も陣営地である。大鬼の拠点を訪れた時と同様な対応をされながらも情報を仕入れた。
一通り聞き終わった頃には日が暮れて始めていた。
今回、手に入れる事が出来た情報は
1つ目、森の周囲について。
北の森を進むと山岳があり山道が続いているが足を踏み入れて戻ってきた者がいないらしい。
西の森の奥は樹海になっており樹海の深淵にはエルフの集落があるらしい。そのため人前には滅多に現れない。
南の森を抜けた先は台地や丘が連なる丘陵地帯になっている。
東の森の先には広大な草原が広がり、人間の領地になっている。
2つ目、近くにある街について。
1番近くの街は東の森を抜けた先にある草原を進むと大きな街につくそうだ。
その途中に幾つか人間の集落があるらしい。
何度か両集団とも遠征をし略奪を行った事があるようだ。小鬼や豚鬼には雌もいるが大体は他の種族である人間やエルフを攫い孕ませて種族を増やしていると聞いて気分が悪くなった。前世で人間として生きていたので怒りを覚えたが今まで生きるために散々、殺してきたのにも関わらず気分を害したのは間違いなく偽善であると気づき冷静になる。
強いものが生き残り弱いものは奪われるのが当たり前の世界に自分が転生した事を思い出す。前世の世界のような平和な世界ではない。甘い考えは捨てるべきだと自分に言い聞かせ質問を続けた。
その後もいろいろ神話についてやこの世界についてなど聞いたがどうも話しが漠然としていて要領を得なかったので街に行き調べてくる事にしよう。
明日には街に向け出発する予定だ。
それと両従者の拠点が南と北に分かれているのが不便なので教会の近くに合同で1つの拠点をつくるよう両従者に告げてある。
明日は早朝に出発する予定なので今日は早めに寝る。
第二章(2日目)【通算13日目】
出発の朝が来たが気分が重い。
何故か?こちらが聞きたい!
なぜ全員で見送りに来るのかと!
豚鬼と小鬼の集団がずらりと並び花道が出来ている。確かに今日出発すると両従者に告げたがこのような状況になるとは夢にも思わなかった。予想の斜め上を行き過ぎだ。恥ずかしすぎるので全力で駆け抜けさっさと東の森の外に出る。森から出ると両従者が待機していた。あらかじめ今回は二人を連れて行かないと伝えている。間違いなく二人が街に近づくと冒険者達が飛び出してくるだろう。なので今回は俺が留守の間、合同拠点の建設を任せている。
俺が両従者に近づくと片膝をつき頭を垂れる。両者の間を通り抜けると背後から
「「ご武運を」」と声が聞こえた。
別に争いに行く訳ではないのだがと苦笑いになりながら片手を上げ応え街を目指し出発した。
どこまでも続くかのような草原を歩く。
街道のような道があるが手入れなどされておらず頻繁に使用されていないことがわかる。
予想だがこの道を辿れば街につくと思う。多分。街までの行き方は一応、聞いたが大雑把過ぎて理解できなかった。とりあえず東に歩き続けるとだけ理解している。この道も東に続いているので大丈夫だと信じたい。
暫く歩いていると牛のような固有モンスターの群れを発見した。前世でいうところのバッファローと猪を合わせたようなモンスターで茶色の毛に覆われており角と牙を持つ。名前の表示には【ボワバイソン】と出ている。
肩慣らしとスキル獲得の為に群れを壊滅させたが草食動物のくせに気性が荒く砲弾のように突っ込んで来るので手こずった。
スキル【吶喊】を獲得した。
経験値も森のモンスターより多く獲得出来たので満足だ。
この草原には【ボワバイソン】の他にも多くのモンスターが生息していた。
今回、遭遇し倒したモンスターは【ボワバイソン】を入れて4種類
大型犬程の大きさのネズミで獲物をどこまでも追跡する固有モンスター。
【マウスハウンド】
蜥蜴のような鱗で体を守り強靭な脚力で草原を駆け回る大馬。
【エクウスリジット】
狸が2本足で立ち武器を装備したような格好をしており他の種族とも行商を行う【狸人】
スキルもそれぞれのモンスターから獲得出来た。
【マウスハウンド】からは標的にした対象をある程度離れていても感知することができ後を付けることが可能なスキル【追跡】を獲得した。
【エクウスリジット】からは聞いた者に【状態異常:硬直】を付与するスキル【嘶き】を獲得。
【狸人】からは行商を生業にしているからかアイテムや武器などの情報を調べることができるスキル【分析鑑定】を獲得した。
試しに【分析鑑定】を使用してみよう。
対象にバスターソードを選択し情報を読み取る。
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武器種類:両手剣
武器名:バスターソード
等級:中級
攻撃属性:主に斬撃//刺突
物理攻撃力:120
魔法攻撃力:0
耐久値:470
魔力付与:可
派生強化:可
素材:鉄鉱石・黒鉄
売値:55460G
製作者:鍛冶士ダグダ
【分析鑑定】のスキルレベルが足りません。ここまでしか表示出来ません。
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本来ならアイテムの詳細は派生強化までしか表示出来ないのだがスキルによって素材、売値、製作者が表示出来た。
【分析鑑定】のスキルレベルをあげればもう少し詳しく表示出来るようだ。【分析鑑定】を使用していけば自然とレベルは上がるだろうとなんだかんだしていると日が落ち始めた。
今日は久しぶりに夜も活動する事にした。
死喰鬼になってから夜に戦闘したことがないので実戦を交えて体を動かすことに決めたのだ。
夜の草原は昼の何処かのんびりとした雰囲気とうってかわり、完全な弱肉強食の世界だ。
膝をおり休んでいた【エクウスリジット】に
巨大なムカデ【スコロペンドラ】が襲いかかる。ムカデの体は大人の男の胴と同じくらい太く体長はおよそ150センチはあるだろう。
その巨体で【エクウスリジット】の体に絡みつき縛りあげ骨を砕いた。骨を砕かれ動けなくなった【エクウスリジット】に【スコロペンドラ】が顎肢で噛み付き毒を流し止めを刺した。【スコロペンドラ】が油断し捕食を始めたのを確認し一郎が襲いかかろうとしたところそれは現れた。強靱な顎で【エクウスリジット】を捕食していた【スコロペンドラ】が吹き飛ばされ胴体を噛みちぎられた。一瞬の出来事に一郎は唖然とする。 勝者が一瞬で敗者に変わる。【スコロペンドラ】を仕留め【エクウスリジット】の死体を食い荒らすその存在は、頭が獅子、体が山羊、尾が蛇の異様なモンスター【キマイラ】である。
【合成混合生命体】型モンスターのスタンダードタイプでゲームだった頃はよく草原に出現したモンスターである。
設定では【合成混合生命体】型モンスターの発生は人工的にか自然発生的かの二通りあるとされ。前者の場合、魔術師により合成され誕生する。後者の場合、フィールドに溜まった魔素により複数のモンスターが突然変異し混ざり誕生する。
俺は気を取り直し【キマイラ】に斬りかかる。まず狙うは蛇である尾。蛇は邪眼を持ち石化を使用してくる。特性【状態異常無効】は敵のLVによるが完全無効果が可能なのは毒、麻痺、眠り、混乱のみである。他の状態異常はある程度、軽減できるが無効果は難しい。
【キマイラ】は俊敏に一郎の攻撃を躱し距離を取ると息を吸い込みーー
その動作で咆哮だと判断した一郎が距離を詰める。
ーー息吹を放つ。
「ッ!?」
一郎は予想が外れた事に焦りながらもとっさに回避し対処するがその際にあまりの熱量によりダメージを負ってしまった。回避したにも関わらず火傷するほどの熱量を持つ息吹だ直撃は勿論、擦りでもしたら特性【火属性耐性脆弱】も合わさり間違いなく死ぬだろう。今になり己の軽率な行動に冷汗がでる。
今度は一郎が【キマイラ】と距離を取った。
息吹が来ても避けれるよう態勢を整えながら自分を落ち着かせた。
ありえない。なぜ【キマイラ】が息吹を使えるんだ?ゲーム時にはそんな攻撃方法などなかった。これからは既知のモンスターもこの世界とゲームの世界では違うものと考えた方がよさそうだ。早い段階でこの事に気づけて良かった。もし知らずに過ごしていたら足元を掬われ、手遅れになっていたかもしれない。それからは用心深く戦い10分程かけて倒した。
スキル【石化の邪眼】・【炎の息吹】・【俊敏性上昇】を獲得し大いに満足だ。
この勢いで【エクウスリジット】と【キマイラ】の死体に群がってきた猫ほどの大きさの蟻モンスター【スカベンジャーアント】の群れを【炎の息吹】など獲得したスキルの威力を確認しつつ駆逐し、襲ってきた【スコロペンドラ】を20数体程倒した頃、空が白み始めたので木陰に入り少し眠る事にした。
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スキル【屑漁り】を獲得しました。
スキル【強靱な顎】を獲得しました。
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職業【戦士】のLVが150になりました。
【職位上昇】が可能です。
【職位上昇】条件を満たしている職業は以下の通りです。
【攻撃型戦士】//【耐久型戦士】//【剣士】//【双剣士】
【職位上昇】しますか?
《YES//NO》
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勿論《YES》。【双剣士】を選択して眠りにつく。しばしの休息だ。それではお休み。