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一難去ってまた一難、とはこういうことですね、ハイ

「・・・おかあさま、もしかして・・・・怒ってらっしゃいます?」

「いいえ、ユーリに怒るなんて・・・私が用があるのはそこの下種ですわ」


ニコニコと口だけを笑顔の形に歪めているお母様に、駆け寄り宥めようと抱き付きます。とりあえず私に怒っているわけではないとわかり、一安心。そしてお母様の最後の言葉でまた私の心臓が悲鳴をあげます。


・・・これは、死人が出ます、やばい。


普段お母様はとても優しく、貴婦人の名にふさわしい美しさと器量の良さを見せますが、子供のこと。殊、私のことに関しては少し、というかだいぶ沸点が低いのです。


一度すがすがしいほどの笑顔で『ユーリに害をなすもの老若男女容赦なしですわね』とお父様と話をされていたのを目撃した時は軽くめまいがしました。・・・お嫁にいけないどころか、私に関わった人間は皆死ぬんじゃないでしょうか、と本気で思いました。


そのお母様の背後に悪魔が見える。ジゼル様がこれ以上なく危ない。私としては大切なことを気づかせてくれた恩人なので、どうか丸く事態が収まって欲しいのですが。・・・・助けないのかって?


そんな命知らずなことするわけないでしょう。誰だって自分が可愛いです。


「おやおや、ローレンシアン夫人。こんなところでお会いできるとは思いませんでした。まことに光栄の至りでございます」

「私もまさか自分の愛娘がこんなところに拉致されているとは思いませんでしたわ。本当に意外な顔合わせとなりましたわね?理事長?」


そんな戦々恐々と私が見守る中、早速開戦のゴングが鳴ります。というか拉致で思い出しましたけれど、フローネル先生は大丈夫なのでしょうか。さっきから姿が見えませんけど。

・・・・深く突っ込んだらダメですよね。察します。


「そういえばさきほど、夫人が下種、というずいぶん下品な言葉をご使用になっていたのを耳にしましたが」

「おほほ、気のせいではないですか?それに、仮にそんな言葉を使われていたとして、別に何の問題もないでしょう。あなたは実際はたから見たら、人様の娘を誘拐した変態犯罪者なのですから」

「さぁ、なんのことか分かりかねますね」

「これで何かわからないようでしたら、理事長様はずいぶんと鈍いのですわね」

「いや、それほどでも。お褒めにあずかり誠に光栄です」

「いいえ、どういたしましてですわ」


私が心の中で、先生を思って合掌をしているうちにも、二人の間の火花は治まるところをしりません。空気が凍るとはこのことでしょうか。あぁ、寒い。


うふふ、あははと笑いあっているのに、なんでしょうかこの劇薬臭。常人には手に負えない感が半端ない。しかしまぁ、お母様もお母様ですが、あの状態の母と渡り合えるジゼル様もジゼル様。なんでしょうね、私先ほどまでこんな凄い人を一瞬でも煙に巻こうとか思ってたんですねー。はは、無謀すぎて笑える。


ジゼル様何者なんでしょう・・・・・ってさっきお母様が理事長、とか言ってませんでした?


理事長、というワードと、フローネル先生の旧友であること。

そして、私の魔力のことを気にしていましたね。

・・・・そういうことかー。でしたらいやに私のことを気にかけるのも分かります。


だって魔力がだだでかいただの子供が、魔法学校にも入らないで成長したらどうなることかわかりませんもんね。なんか裏があると思ったらそういうことですか。そりゃ職業柄無視できないでしょうね。


なんだか胸のうちのもやもやが綺麗にとれた気分です。


魔法の勉強が好きだということに気付いた時点で、私の次の目標は魔法学校に入学してありとあらゆる魔法をマスターすることに変わりました。当初、目指していた人生とは全く逆のものになりそうですけど、まぁいいでしょう。切り替えの早さは長所の一つです。


それにしても、新たな目標ができただけでこうも思考がその方向に打算的になるのですね。先ほどまでいきなり連れてこられたことを憤慨していたのがウソのようです。フローネル先生もきっと高位魔導士ですし。なにより魔法学校の理事長と知り合えましたし。まだ先の話ですが、学園に入学した後でなにか問題が起きたときに助けを借りられる大切な人材ですしね。いやーついてきてよかった。


「では、帰りますよ、私の可愛いユーリ」


そうこう思考がトリップしているうちに、二人の戦は終結を迎えたようです。被害がなくって本当に良かった。


「またいつでもおいでね、ユーリちゃん」

「あ、はい。今日はありがとうございました」


ぺこり、お辞儀をすると、お母様が頬を緩ませました。よかったいつものお母様です。


「ユーリは本当にいい子ですね。でもこんな男にまでその礼儀正しさを発揮しなくてよろしいのよ。もったいないわ」


と思ったけど、違ったようです。


第二次戦争が勃発する前に、私たちの送り役を命じられたジゼル様の部下の方にテレポーションで移動してもらいました。傍目にみても可哀想なくらい怯えてたので、同情を禁じえませんでした。


すいません、本当、うちの母が。



******************


あれから何日か過ぎ、私は特に変りもなくいつもと同じ生活を過ごしていました。

あ、でもフローネル先生はクビになったそうです。まぁお母様の怒りを買ったから当然といえば当然ですけれど。私のことを教えてくれたのは先生だとお母様はおっしゃっていたので、もしかして情状酌量の余地はあるかな、と少し期待していましたが。見事にバッサリでした。


いやー、お母様怖い。

娘で本当に良かった。


フローネル先生が辞めたことはとても残念ですが、まぁ学園に入ってから会う機会がありますでしょう。実際先生も別れ際そういうようなことを言っていましたし。というか先生には悪いですけど、授業がない分、そのエネルギーと時間を新しい知識の吸収にあてれて私的にはとてもハッピーです。最近、薬草について興味がとどまるところを知りませんので、そういう関係の本を読み漁れてとても充実しています。



そして、なんとなんと。あれから数日経ってないのに、すでに学園入学の許可が下りました。近々学園入りが決まっています。まだ十歳ですが、ジゼル様が取り計らってくれたらしいです。公爵令嬢ですし、フローネル先生の推薦状もあったおかげでそんなに周りを納得させるのには苦労しなかったらしいですけど。でも、そう手紙には書いてありましたが、きっと実際そんな簡単なことではありませんよね。理事長の一存で決められることでもないですし。とても感謝しています。


いやでも本当に、知り合いになっておいてよかったー。

考えがゲスい?いやいや貴族なんてそんなもんですよ。


そんなこんなでいろいろとイベントがなかった訳でもありませんでしたけど、基本的に平和すぎて完全に失念していたのです。


うちの家族(特にお母様)が、私の学園入りを見て黙っているわけがないと。



いや、あの衝撃と言ったら。

いきなり呼び出されて一言が


「ユーリ、明日あなたの婚約者に会いにいくわよ?」


ですもの。


「お母様、私婚約者なんていませんわ?」

「昨日決まったのよ」


なんですとー!!?


なんとなく理由の察しは付きましたけど、一応聞いてみれば。

「学園生活で私の可愛いユーリに悪い虫がついては大変でしょう?」


やっぱり。いや、もう賞賛に値するほどの安定っぷりで。


「大丈夫よ。卒業すればすぐに婚約解消するから」


にっこりこの上ないいい笑顔で言い切るお母様に

・・・・それもどうなんだよ。とげっそりな私。


「ユーリ、明日婚約者に会いに行くみたいだね?大丈夫相手は僕と母さんが保障するくらい信用できる奴だから」


そして極めつけはお母様の部屋から出てきた私に、お兄様のこの追撃。



愛が、重くて死にそうです。

泣きそうになった私は悪くないと思うよ。











感想、指摘などあったらよろしくおねがいします(´・ω・`)

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