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悪あがきと自覚

遅くなりました

今回もすこし長いです

ニコニコと、私を見つめるジゼル様。


その笑顔は、銀髪赤眼の美男子にふさわしいキラキラしく、いかにも世の女性達の好きそうなソレですが、喜べません。胡散臭いったらありゃしない。


・・・おちつけ、私。見た目は少女だけど、中身は二十代後半女です。

いままで修羅場も何度か経験しましたよ、舐めんな。


「・・・何のことか分かりかねますわ、ジゼル様」


声に震えはありません。自然に答えられたはず。

無表情は通常装備(いつものこと)ですから問題ないはず。

嫌に確信的な言い方なのが気になりますがとりあえずは白を切ります。

「私の魔力量は良くて人並み、もしくはそれ以下ですわ」


淡々と言葉を吐く私に、ジゼル様は依然と魔の微笑みを浮かべたまま。それが怖いったら。この人フローネル先生と同じタイプですよね、絶対に。外面完璧だけど中を覗いたら暗黒汁垂れ流し、的な。


「そう?フローネルは君ほど大きい魔力の持ち主を見たことがないって言ってたけど」

「・・・何かの間違いだと思いますわ。」


否定はしつつも、私の頭の中はハテナが巡ります。なぜフローネル先生がそんなことを言えるのでしょうか。先生の前では細心の注意を払って誤魔化しを徹底しましたし、そんな魔力を消費する魔法も使ってないはず。


・・・まさかフローネル先生は他の人の魔力量がわかるのでしょうか?それともそういう魔法がある?


だとしたらいよいよヤバイです。下手したら詰みますっていうかもう詰んでる?


「ふーん、じゃぁさユーリちゃんはさ、もし魔法学校に行けるとしたら行きたい?」


内心パニクる私に、さらにいきなり話を変えて混乱させるジゼル様。

なんなんでしょう、話はそれたはずなのにまだ背中を這うこの悪寒。この人のそこの見えない笑顔がそうさせているんでしょうか。


「また急ですわね・・・そうですわね、行きたいかと言われれば正直答えに困りますわ。」

「ほう、それはまたどうして?」

「入学できればやはり家格に泊がつきますし、好きな魔法の勉強が出来ますけど・・・それは同時にそこにいる間は公爵家の子として常に人目を気にしなければならないことになりますわ。多くの貴族の子息方が集まる所ですし。私の一挙一動でこの先の公爵家の評価が関わってくると言うのはやはり怖いですわ。実質上の社交界入りと言うことになりますもの。その分入学しなければ15まではそういう機会はなかなかないですし、気が楽といえば楽ですわ。私の目標はあくまで、自分の家に恥ずかしくない淑女になることですから」


目標が立派な淑女になる、というのは間違っていません。貴族子息との幸せな結婚のためにはさすが公爵家の令嬢、といわれるような淑女な振る舞いは必要ですし。で、社交界入りが憂鬱なのも事実です。怖いかどうかは考えたことありませんが。


やっぱり物は言いようですよね、本当。これが前世で学んだ一番大きなことかもしれません。会社勤めだと嫌でも周りと協力しなければいけないので言動がまずいと干されますもの。


嘘も言わないけど、真実も言わない。

そうすれば後からどうとでも言い訳できますしね。

あぁ、やっぱり人生経験って重要ですね。私が本当に身も心も十歳の少女であったら、こんな荒んだ考え持ちませんもの。というか持ってしまったらその時点で、もういろいろダメな気がする。


「でも、魔法の勉強は好きなんでしょう?」

「それは・・・・はい」

「じゃぁ周りの目が怖くても入る価値があるとは思わないの?自分が好きなことを好きなだけできるのに?」

「・・・おもい、ませんわ」



言葉が、変につまりました。


『ゆかりはさー、もう少し自分の好きなことやればいいのにー』

『何言っているんですか、だからやっているんでしょう』

『別にー。毎日毎日飽きもせずに問題集ばっか解いてさー・・・本当に勉強すきなの?あんた』

『好きだからやっているんでしょう、なに言ってんですか』

『・・・ふーん、ならいいけどねー』


蘇る、いつかの会話。


あの頃の私は、勉強が好きだと思って。毎日毎日、休み時間も放課後も、全部それに費やして。必死に、それこそ血反吐を吐くほど勉強をして。

でも実際は?


楽しかった?

毎日が輝いてた?

充実していた?


本当に、その生活が好きだった?


結果的にその努力のおかげで大学も、就職も全て上手くいって、お金にも困ることはなくて。

でも最後、死んだときに感じたのは、怒りと、虚無感だけ。


特にやりたかったこともなく、後悔もなく。ただ自分が頑張った結果がこんな形の事故死、というのが気に入らなかっただけで。今もこうして、たいして前世を懐かしむこともなく、戻りたいと思うこともなく。



勉強と、仕事だけに費やしてきた人生。

高学歴、高収入、ほかには?

ほかになにか誇れるものは?



・・・・空っぽな人間になり始めたのは、いつ?


どうせ最終的に死ぬんだったら、平和な、背伸びなんかいらない生活がほしいと思って、今の世界を生きてきたのに。


これじゃ、同じじゃないですか。

心の中の自分が叫ぶ。



魔法学校に入りたくないのに、魔法書を次から次へと読み漁って、挙句知識じゃ飽き足らず、実践までして。


楽しかったじゃありませんか。

見つかるのは怖くて、それでもこそこそ練習するくらい、好きなんじゃありませんか。


魔法が。


なのに、なんで自分はまたそれを諦めようとしているんでしょう。


前の世では・・・大人になっていたのは体だけで、心はまだ幼稚だったんですね。

自分が本当に求めていることが見つけられないほど。

この世でも、平和な生活が欲しいとかいう意味の分からない言い訳をして、目をそらしてきた自分にほとほと呆れが生じてきます。


はぁー、と長いため息を吐き出しました。

気分は夢から覚めたアリスのようです。


「ジゼル様、私嘘をつきましたわ」

「・・・うん」


ジゼル様が優しく頷きます。そこに浮かんでいるのは正真正銘の、嬉しそうな笑顔。


「私、魔法の勉強が実はとても好きなんです。いろいろ言い訳しまたけれど、どうも自分の気持ちに嘘をついていただけですわ・・・・魔法学校に入りたいです、周りがどうのとか実際どうでもいいですわ」


言いきって、自分の顔が自然と綻ぶのが分かります。

もうここまででしたら、いっそ宮廷付魔導士になってもいいかもしれませんね。面倒ですけど、腹をくくりましょう。



「・・・やっと、口に出しましたね、ユーリ」

「おかあ、さま」


聞こえてきた声に驚いて振り向くと、そこにはニコニコと聖女のような笑みを浮かべるお母様が。


しかしながらその目はブリザード。


お母様・・・・おこって、いらっしゃいます?

やばい、私、詰む。













ブックマークや評価をいただいた皆様本当にありがとうございます

亀更新になると思いますが

よろしくしてくれると嬉しいです(´・ω・`)

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