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死にました。『事故死』です

こんにちは。みなさま。私は樋野縁(ひのゆかり)。年齢は26歳。一応日本を代表する大手商業会社で働いてました。見てくれもそれなりに悪い方ではなかったと思います。腹を割って話せる友達も、多くはなかったですけど数人いました。



ここまで聞いてただの自慢かよ、と思った方もいるかもしれません。が、問題はそこじゃないです。



樋野縁。享年26歳。そう、私は今日死んだのです。だから自分の身の上を語るにあたって過去形を意図的に用いました。見抜けなかった方々、修行が足りません。(←何の?)



が、これも私の胸のうちをこうも荒らしている理由の全てにはなりません。確かに、死んだのは残念です。それなりに努力して手に入れた生活を一瞬のうちに終わらされたのですから。私を轢いたトラックの運転手の野郎をぶん殴ってやりたいです。そりゃあもうボコボコに。けれどそれだけです。今のようなやりきれない感情にはなるかもしれませんが、きっと早々に静まっているはずです。こんな幽霊になって、現世にはとどまっていないはずなんです。きっと。


ところがどっこい


「いやー本当ごめん。俺もまだ駆け出しでさあ」


この目の前の、自称死神によると今回の私の死は『事故死』だったというじゃあありませんか。

なんでも、こいつが私の寿命を間違って縮めたそうな。


「お?トラックに轢かれたのと掛けているのか!面白いな!上手いことをいうね!」

「黙れ、このポンコツ死神」


毒ずく私に死神の顔が歪みます。それでも絵になるのが嫌です。ああもう、引っ掻いてやりたい。死神のくせに髑髏じゃないなんて、マジでポンコツ。美形死ね。


「顔は関係ないじゃん。ていうか償いはちゃんとするから怒らないでよ、ね?」

「償い?」


私の右手が拳を作っているが見えたのか死神は早口で話し始めました。


「そうそう、俺も上司やら他の神様やらに大目玉食らってさあ。本来なら、成仏した霊体しか転生させられないけど、君は特別ってことで。転生もさせてあげるし、現世の記憶も残してあげるよ。」


感謝してね?と、死神が笑顔を作ります。それやめないと今すぐ殴りますよ?という意味を込めて私も笑い返したら、死神の顔色が悪くなりました。勝利。


「じゃあ早速。いってらっさーい!」

「え?うわわわわ」


死神がパチンと指を鳴らしたと同時に、私の足元がグニャグニャと渦巻き始める。


「俺からもお詫びってことで、贈り物を用意したから楽しんでねー!」


意識が闇に沈む前に死神が何か言っていたような気がしますけど、私には内容があまりはっきり聞こえませんでした。





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