序章
『ハゲ』
頭にこびりついて離れない言葉…。
網膜にヤツの顔が浮かぶ。ヤツはあたしを嘲笑すると、何事も無かったかのように背を向けた。
キィーッ
あたし…いやあたしの中の魔物が唸る。
二重人格と言ってもおかしくないかも。
私は、檜垣冬美。花の中学2年生。
髪型はセミロング、黒髪。特徴はくりくりの目。女優のなんたらに似てると言われた事もある正真正銘の美人。自分で言ったらイマイチ信憑性に欠けるけど、事実だ。
まぁ…自分ではどうなんだって感じだけど。
そして…最近とあるメル友サイトで出逢った奴、山垣 秋人。
友達からすすめられてそのサイトに行ったのはいいものの…私には興味が無い内容だった。
『彼女募集★ある程度可愛いコメールちょうだい。住みは…』
何故だか
「惨めだなぁ…」
って思ってしまった。出会いなんて探すものじゃなくてくるものじゃないのかなぁ、と考えながら、投稿を読み進めているとある投稿が目に入ってきた。
『オレを置いて…逝くなよ…』
私は気になってしょうがかった。どこの誰かも知らないけれど、力になってあげたいと思ったんだ。
『私で良かったら話聞くよ』
このメールが不幸を呼んだのだ。
山垣 秋人、16才。
高校一年生の帰宅部。
性格はバカでひねくれてて、弱虫で強がり…。
でも時々…いやごく稀だけど
優しくて大きい存在。
最近なぜか
秋人、貴方の事が離れない。