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狂氣の果て〜クルーエル・デッドエンド〜  作者: クロス
序章:It is Bonkers

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9/18

第9話 仲間を飲み込む狂気

「撃って、飛ばして、赤いお絵描きっ! ぐちゃぐちゃお肉、バラして、1つ──っ!」

「お絵描きは楽しそうだが、今回は遠慮させてもうよッ!」 

 トーマスは移動を挟みながら、M4カービンで心許ない弾幕を展開し、デイヴィッドを逃がすための時間を稼いでいた。

 銃撃戦をして分かったのは、銃弾に効果を期待するのは諦めろということだった。

「よっと──」

「えいえいっ!」

 トーマスはパトカーのボンネットを滑り、車両を盾にして、ニナニナの猛攻を一時的に凌ぐ。

 サイドミラーで、デイヴィッドがこの場から逃げたことを視認し言葉をこぼす。


「お前はまだ若い。戦場で死ぬにはちょいとばかし早いぜ、デイヴィッド──」


 そしてトーマスは再び走り出した。

 弾倉マガジンからになれば、それを捨てて新たな弾倉マガジンをフレームに差し込み、引き金を再びトーマスは引く。

 その繰り返し。

「せめて死に場所くらいは……選ばせて欲しかったなッ!」

 一切無駄のない滑らかな動作で、トーマスは小さな悪魔に弾幕を浴びせ続けた。


 しかし、当然十分な効果は得られない。


「弾が通らねぇな。なんちゅう硬さしてんだよ、ったく。まるで戦車を相手にしている気分だぜ……」

 もう何度言ったか分からない愚痴を、トーマスはこぼさずにいられなかった。

 彼女の体は放った銃弾を全て弾き返し、見た目に反して分厚かった。

 トーマスがそうしたくなるのも、無理もない話である。

「さぁ~って、どうするかなーー……クンクンッ。何だ……? この臭いは──」

 異臭がする方向にトーマスは思わず目を向ける。

 すると、パトカーの車体下部から道端に液体が流れ出ているのを目視した。


「死ね、死ね、死ね──ッ!!」


 声がする方へ振り向くと、その近くにはモスバーグM500を幼女に乱射する、この場にいないはずのデイヴィッドの姿があった。

「あんの野郎、何で戻ってきた!? 離脱しろって言ったろうに──」

 だが、すぐデイヴィッドの様子がおかしいと感じたトーマス。

 その目は極度の狂気に取り憑かれ、正気を失っているような様子。

 彼にはそのように映って見えた。

「デイヴィッド、止まれッ──!」

 彼女を至近距離で射撃しようと、早足になるデイヴィッドに伝える。


 その先にあるのは────()()()()だ。


「それ以上は撃つなぁあああッ!」


 トーマスの必死の叫びは、デイヴィッドの耳には届くことはなかった。

「はぇ……?」

 銃先から発射された弾丸は大地と擦れ──小さな火花を地面に散らせた。


 ドカァァアアアアアアアンッ!!!!


 一瞬の出来事だった、デイヴィッドとニナニナの周囲は激しい爆発に呑み込まれる。

 爆風による凄まじい衝撃波が辺り一帯を覆い尽くし、引火したガソリンの炎は空高く燃え上がった。


「チクショウォオオオオオオオオッ!!!!」


 血を吐くような、トーマスの悲痛な叫び声が周囲に響き渡った。


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