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短編集

ウルトルマン

作者: 十三岡繁

 彼には三分以内にやらなければならないことがあった。宇宙怪獣ヘムラーを追いかけて来て降り立った地球では、活動時間が三分に限られる。時間内にヘムラーを倒さなくてはならない。


 地球の存在自体は知っていたし生物が存在する可能性も聞いていた。しかし実際に来てみて彼は驚いた。そこには信じられない位小さな人型の生物が蠢いていたのだ。昆虫の様なものだろうが、小さいながらも人の形をしているので酷く気持ちが悪い。

 

 地表に降り立つ際に何匹か踏み潰してしまったようで、足の裏を見ると体液なのか赤い染みが幾つかついている。死骸をよく眺めてみると、自分たちで作ったであろう布を身に着けている。そこで彼は初めてこの生物が知的生命体なのかもしれないなと思った。


 彼の星では全ての人は全裸で過ごしていたので、それはとても奇妙な習性に思えた。胸に色タイマーが付いていないところを見ると、自分の体だけでは温度調整ができない下等生物なのだろう。


 早く足の裏を洗ってしまいたかったが、目の前にはヘムラーがいる。ぐずぐずしている暇はない。戦闘態勢をとったころで、何か小さなものが飛んできた。それは何か筒状のものをヘムラーに向けて発射した。それはヘムラーに届くととかんしゃく玉のように破裂した。どうも攻撃をしているつもりらしい。爆発物を敵にぶつけるという原始的な兵器にも驚いたが、あの程度のものでヘムラーにダメージを与えられると考えているのならば、やはり昆虫並みの知能しかなさそうだと思った。しかも昆虫に比べて自力では飛翔すらできない様だ。


 そうしてこの小さな生物達は、気が付けば足元で何かを叫んでいる。

「ウルトルマン!」…妙な名前で自分を応援している様だ。仲間を踏み殺した存在なのにだ。


 しかし何かがおかしい。呼ばれた名前も他の固有名詞にも違和感を感じる。こんなに小さな下等生物たちが、何かとてつもなく大きな圧力を世界全体にかけているように感じられた。

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