第9話
俺の名前は高崎傑。
士官学校に通う16歳だ。
今日も一日が始まる。
クラスと言うか訓練室にはいろいろな生徒が通っていてみんな個性はいろいろだ。
俺は黒の学ランを来て茶色の髪をしている。周囲からはイケメンだのかっこいいだのと様々な言われようだがそんなことはどうでもいい。俺はクラスが平和ならそれでいい。クラスの中には実践に投入されているようなやつもいる。白崎レキ。それから山田タナゴ。あの二人以外にも仕事はいくらでもあるから士官学校に通いながら通学するやつも多い。俺はとある事務所で働きながら通わせてもらっている。白崎は無口だが精錬とした身体つきで余分な肉というものがおそらくない。実戦の噂も聞いたところによるとミスなどはしたことはなく、狙撃術から後方支援まで担当している俺からしたら化け物みたいな女だ。体力測定でわかったが男の俺と同じくらいの体力を持っているってこともわかった。俺は白崎に対して変な感情というのは抱いたことはないが周囲はあの二人お似合いなんじゃないだのといろいろとうるさい。
そんなことを考えているうちにみんなが訓練室に集まっていた。白崎が突然俺に話しかけてきたのでびっくりした。
「高崎君おはよう」
「おう、おはよう。」
「最近悩みというかちょっと厄介なことがあってね」
「え?俺でいいのか。俺たちそんな話したことないだろ?」
「高崎君も士官学校とは別に事務所で雇われているでしょ。知っていると思うけど私は秘密警察のパーティーのメンバーなの。それでさ最近クレアが入ってきたでしょ。あの子も秘密警察で抱えててそんな感じだから自由時間がなくなっちゃって。好きな時間使えなくなっちゃんだよね。アニメとか。クレアが悪いんじゃないんだけど、何せあのバカタナゴもいるじゃない。いろいろと忙しいんだよ。
高崎君はどうやって自由時間というか暇な時間作ってるの?それを教えてほしい」
「あーなるほどな。仕事も忙しくてうるさいやつもいて士官学校もあるもんな。俺はなー。何せ事務所のハッキングとかの事務処理みたいなものだからな。忙しいっていっても局所的なものばかりだよ。仕事は仕事。プライベートはプライベートで割り切るしかないんじゃないか」
「なるほどね。参考になったよ。高崎くん優しいんだ。
ありがとね」
「おう」
白崎が話しかけてきたことは意外だったがそんなことで悩んでいるのも意外だった。白崎は銀色の髪を窓際の光に当てるように席に座っていた。
その様子をじっと見ていた女がいた。俺たちが話しているときから様子を見ていたようだった。
串田友梨佳だ。
串田は暗殺としてはどうやら才能は開花しなかったようで、諜報員としての訓練に力を入れている生徒だ。話したことは数回あるがさっぱりとした印象だった。その串田が嫌な目付きをしてなにかをしていた。
南咲の机に座りながら机の何かを書いていた。
その後、南が教室に戻ってきて机に座った。
「バカ、死ね、キモい。学校来んな。使えないゴミ」
机にはそう書かれていた。なるほどなどんな社会にもいじめというものはあるらしい。俺は注意しようか迷ったが何せこの学校じゃ皆たくましく生きなければならない。そんなことでへこたれるような南でもなさそうだし何もしないことに決めた。
しかしいじめはまだ続いているようだった。2週間たち学校にクレアという9歳の女の子が入ってきた後もだ。
技術の授業の最中、串田が消しゴムバラバラに分解しそれを南の方に投げていた。その消しゴムは風に乗って南の髪に何個もくっついていた。南は冷静な女生徒だった。どうやら教官を目指しているという話でそのショートヘアと無口な性格がいじめに対してノーといえない雰囲気を作っているようだった。その授業の後昼休みがあった。山田タナゴが一直線に学食へと向かいみんなが和やかな空気となっていた。様子がおかしいと思ったのはその後だ。
南の席は空席のままだった。授業が始まる直前になっても帰ってこなかった。その様子を串田とその取り巻きがクスクスと笑っている。俺はさすがに様子がおかしいことに気づいて駆け出した。女子トイレに違いない。いじめが始まって2週間だ。その間の様子を見ていたが途中からかなりエスカレートしていた。あんなショートヘアが似合う女の子が冷静な顔はしているが耐えれるわけがないといっても頷ける。俺は女子トイレのドアを開け奥の個室に向かった。
タオルでドアノブがキツく固定されていた。
俺は無言でドアノブからタオルをほどいて開けた。そこには便座に体育座りしている南が泣いていた。出ることができずに泣いていたのか。10秒ほど時間が経った。
「大丈夫か?」
「ッう」
南は俺に無言で抱きついてきた。その顔は涙で腫れ上がっていた。俺の学ランに顔を埋めて涙が乾くまでそのままでいた。
「何があったかしらないが俺が注意してやろうか?」
その声かけに返事はなかった。
来週は臨海学校だ。こんな感じで大丈夫だろうか。
冷たい風がトイレに流れる。
時期は8月後半だった。