第8話
この学校は面白いのだろうか。
私とタナゴとクレアちゃん。
クレアちゃんんはこの前本部から引き取られて私と同じ士官学校に通うことになった。
クラスというものはないに等しい。
教室のようなところにいくと各々学習を始める。
教官が立っていて必要なことは手助けしてくれる。
私はスナイパーとしての才能が認められて今は狙撃銃の訓練を行っている。タナゴといえば万能でいろいろな武器について訓練されている。
「おいおいレキ。クレアの世話頼むぜ」
タナゴが必要以上にテンションを上げていた。
タナゴは紫色の髪をした私と同じ15歳の女の子で身長は私より低い。元気ハツラツのボーイッシュな女の子だ。
クレアが心配そうにうつむいている。
「私、学校ってところ初めてなんだよね。」
「心配することはないよ。ここは特殊だから」
クレアに対し優しい言葉をかける。
私もここに来て9年になる。一番古いメンバーの一人だ。
教室につくといつもと違う風景にみんながなにかなにかと様子を窺っていた。
読書好きなサワラ。バスケットボールが好きなアナゴ。
編み物が得意なサンゴ。
サワラは私とタナゴより一つ年下の14歳。女の子。アナゴは10歳の女の子。サンゴは同じく10歳の女の子だ。
今日は3人が登校していた。
サワラが開口一番口を開いた。
「その子だれ?新しい子?」
私が説明する。
アナゴとサンゴもその説明を聞いてくれた。
アナゴが興味ありそうにバスケットのことをクレアに聞いてくる。
「ごめんなさい。私バスケットって知らないの」
「へー。珍しいね。やっぱ訳アリか。心配すんなよ。ここはそういうやつが多いからな。」
一通り話していたところに教官が教室に入ってきた。
「着席しろ」
転入生の説明が終わったところで今日は初心者にも優しい体力測定が行われた。
タナゴとサワラが競い始めたところで教官がクレアの番だと伝える。クレアが測定を開始した。
握力60。シャトルラン125。上体起こし70。
成績はとんでもなくよかった。
タナゴは驚いたまま口が塞がらず私も驚いて駆け寄った。
「すごいね。どっかで鍛えてたの?」
みんなが集まりクレアに注目した。
クレアは自信をつけたようだった。
2ヶ月が経った。
日本のアニメは面白い。
かくいう私はタナゴと一緒にアニメ映画を見ていた。
日本のコンテンツは世界で受けている。
海外には日本のアニメで育った人たちが一定数いる。
そういう人たちは何を思っているのだろう。
私はアニメにドハマリした。
そんな様子をクレアがまじまじと見つめていた。
もちろん訓練を怠っているわけではない。
今度士官学校で研究についての発表があるのだ。私はアニメをテーマに選び発表することにした。
タナゴがその案をパクってきたので軽くパンチをした。
「何すんだよ。銀髪女」
「タナゴがパクるからでしょ」
「あのなぁ、パクリっていうのは立派なオマージュなんだぞ。さあやってくれ。俺は見ているから」
「バカタナゴ」
こんなこんなで研究を進めていった。
進めていく中で私達の仕事がアニメに似ていることを感じた。暗殺というのはとてもアニメに合っている。実際は泥臭くて暗闇の中を進むように這っている蛆虫のような仕事だがアニメでは美化されやすい。私はスナイパーだから殺しているという感覚はナイフ使いなどの近接系とは違い遠い。実際はゲームをしているというかそんな感じだとも言える。2ヶ月が経ってわかったことはクレアはまだ9歳だけれど十分実践で戦える力があるということだ。
訓練は初歩のみだったが十分スペックを発揮した。
クレアは強くて早くてブナのように強靭だった。
士官学校が始まった。
教室にはみんなが揃っている。
私はアニメの発表を始めた。
感想は好評だった。
先生が褒めてくれた。
「なるほどなレキのいうように暗殺というのはアニメの縮図というのも頷ける。いい総括だった。よし次」
タナゴも私のマネをしたので先生からお叱りを受けた。
「おまえたちは久保くんのところに一緒に住んでいるだろう。同じネタをやるとはな。でどっちがパクったんだ」
「レキです」
タナゴが不真面目だ。
みんなが笑っている。
「嘘です。でも私頭悪いからしょうがないじゃん」
タナゴが先生から叱られている間、私は臨海学校のことを考えていた。来週は無人島でのサバイバル訓練だ。
通称臨海学校。
私は毎年これを楽しみにしている。
去年はアナゴが落とし穴に落ちて
「アナゴが落とし穴に落ちたぞ」
というフレーズで学校中の笑いを誘った。
それだけではなく私が臨海学校が好きなのは模擬弾を使ったサバイバル戦闘が楽しめるという点だ。
「教官。来週は臨海学校ですが一位には何があるんですか」
アナゴが教官に質問した。
「一位には半年間学食免除だ」
「やった。」
みんなが一位を狙いはじめ野望を立てている。
そんなこんなで次の話は臨海学校だ。