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2話

レキとの話を終え、ひとまず段取りはついた。

次のターゲートは石油関連会社の社長だ。

この社長は酒池肉林を繰り返し、部下にひどい悪態をついているらしい。

そんな中でも際立つのは奴隷取り引きに着手しているという点だ。中でも子供を使った取引で様々なところから恨まれいるらしい。

「レキ、ファイルは読んだな?」

「こんなの簡単」

ひとまず準備は整った。

あとはターゲートの性格だな。

暗殺対象によって激高するタイプと暴力に対して従順になるタイプとがある。さてやつはどちらか。

一応、トップとして犯罪に手を染めているようだし度胸はありそうだ。ライフルの種類もスコープから至近距離用のも必要かもしれない。ま、準備は怠るなってことだ。

そんなことをシているうちにタナゴがやってきてわーわー文句を言い始めた。

「明日は俺も行けるんだよな」

いや、といえば泣き叫ぶかもしれないが少数精鋭のほうが都合がいい。どうしたものか。

「レキ、お前とタナゴ、どちらを連れ行くか、お前行きたいか」

「モチのロン」

「レキなんかいいじゃんかよ。俺を連れていけよ」

うーんその場合はじゃんけんかな」

この状況からして近接が得意なタナゴとスナイパーのレキ、どちらを連れて行っても利がある。

「じゃんけんぽん」

ということでタナゴを連れて行くことに決まった。

決行は深夜2時。ターゲートがキャバクラから出てきたところを近接から暗殺。田舎という土地から周囲にはビルディングがない。スナイパーには不向きだろう。

「タナゴ。明日に向けて念入りに準備をしておけ」

といった感じで作戦会議的なものが終わったのだがタナゴとレキは険悪なムードのなかゲームを始めた。格闘ゲームで使っているキャラがどちらも女性キャラということもありどちらが可愛いくて強いかで争い始めた。

そんなことはどうでもいいと外野がいえばそれまでなのだが生憎両者子供のため本気で言い合いを始めた始末だ。

やれやれこのパーティーでなんで先輩は組めと言ったのかまだ俺にもわかっていない。

先輩は先輩で明日の仕事について完全に俺に一任しており結果だけ待っているという具合だ。先輩には先輩の仕事があるとはいえ元暗殺者なりの見極めというものはないのだろうか。なにせこのパーティーはスリーマンセルという少数だがレキに関しては飽きグセがありタナゴは怒りっぽいという欠点がある。もう少し年上の万能なやつを寄越してはくれまいか。まあそんな事を言ってもあの人は話を聞かない気がするが。たぶん。

翌日になると二人はいつもどおりだった。二人で仲良く食パンを食べ、タナゴはいちごを塗り、レキは練乳を塗っている。正午過ぎ先輩から連絡があった。それはとんでもないことだった。何しろターゲートに護衛がついているとの情報だった。もし手練だったらどうやって戦闘するかを考え思案している最中にタナゴがやってきて追加の武装アサルトライフルを使えばよいとの話を持ち出した。なるほどそれは名案だ。アサルトライフルは近接には十分有効で飛距離もある。万一ターゲートが武装していても有効な対策となる。

「タナゴいい案だ。」

タナゴは満足そうにケラケラ笑ったあと余裕だと言わんばかりに表情を崩している。やれやれこれから任務だというのに呑気なやつだ。

時刻が迫っていた。俺たちは現場にいた。喫茶店のそばの電信柱の付近に車をとめターゲートを待ち伏せしている。レキとは通信を切らず繋げていてバックアップを大丈夫だ。レキはパソコンを叩き、情報収集に入っている。

号令があった。レキが情報を更新しターゲートがキャバクラ店内へと入った。

いよいよだ。

タナゴは余裕そうにアンパンを食べながらレキの指示を待っている。

時間だ。

ターゲートは間が抜けた顔をしていた。

隣に美女を連れ運転手に指示している。

タナゴは用意していたアサルトライフルを両手に抱え射撃体勢に入った。護衛がついてるのも気にせず突撃を開始した。

隙かさずバディである俺が閃光弾を打って状況を混乱させる。敵の位置はレキがセンサーで把握し万全だ。

銃声とともに護衛が動いた。持っていたイーグルを構え迎撃を始めた。

「パンッパンッ」

タナゴは小柄なので咄嗟に背を更に低くしスライディングを決め護衛の胸元に入り下から顔めがけてアサルトライフルを打ち込んだ。

よしこれで一人。

護衛はもうひとりいた。

一瞬のことだったので動揺していたが無線機で応援を呼んでいる。

「まずいな」

応援を呼ばれるのはきつい。

「タナゴ、すぐに終わらせろ」

タナゴはアサルトライフルを横へと投げ、より機動性のあるナイフを持ち出し護衛の一人へ投げた。ナイフは腕に当たり通信機が地面に落ちた。

すかさず俺がナックルでぶん殴り気絶させると暗殺対象者である石油関連会社の社長が泣きながら土下座している。

「終わったな」

タナゴも余裕そうに空を眺めているようだった。

明けの明星が空に浮かび大気は新鮮だった。

捕縛の命令は出ていない。始末しかないだろう。

暗殺対象者のすすり泣く声だけが響いて銃声がなった。

翌日

俺たちは仕事を終え上司である先輩に連絡を済ませていた。するとその先輩からメールが届き、文面で一言。

「休暇とりな」

というわけで俺とタナゴとレキの三人で伊豆の海岸まで来ている。タナゴはタナゴでゲームの話しかしないしレキはというとメロンパンをひたすら見つめ凝視している。冷静なレキはこのメロンパンがコンビニの安売りだということを見抜いたのだろうか。まあいい。そんなこんなで俺たちの二回目のミッションが終わった。季節は夏。燦々とした太陽が照りつけていた。


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