26 人工妊娠中絶 *
「妊娠中絶反対を叫んでいる人たちがいるね」
「そのまま育てば人になる小さな命を奪うのだからいいことではないね」
「でも、その殺される胎児は、殺すな、って叫んでいるわけではないし」
「意識もまだない」
「声なき声の代弁のつもりでしょう」
「攻撃先は母親と医者だね」
「被害者は胎児だけど、一番悲しんでいるのは母親なのにね」
「その次が手を下さなければならない医療関係者」
「子供を助けたいのなら、攻撃先が違うよね」
「一番助けたいと思っているのは母親でしょう。
それを差し置いて、部外者が勝手なことを言っている」
「子供の命を奪わなければならないところに追い込まれた母親を
救うことを考えるべきだよね」
「産んだとしても経済的に苦しくなる」
「父親がはっきりしない子を産んだと母親やその子を非難するような人たちがいる」
「本当に中絶をなくそうと思うなら、産んで育てる条件を整えるべきだよね」
「そっちの声を上げずに、母親側を攻撃するのは、攻撃しやすいからだろうね」
「父親は出てこないんだよね」
「父親がちゃんとしていたら、そもそも中絶なんて事態にならない」
「つまりは、父親としての責任を取らせないで、
子種を残せ、というのが中絶反対で母親を責める人たちの考えなんでしょう」
「でなければ、医者を罰せよ、なんて言わないで、父親の罪を問うべきだよね」
「そういう主張が出てこないということは、
そちらを責めたくはないということでしょう」
「でも、日本に中絶が多いことを心配する別の人たちがいるよ」
「性教育をしっかりしようとかね」
「母親の保護のために、中絶方法の見直しを主張している人もいる」
「こちらはまともな人たちだね」
「外国ではもっと安全な中絶方法があるのだから、そちらを採用すべきだろうね」
「刑罰でやめさせようとするなら、不本意な妊娠をさせた父親を罰するとか、
DNAではっきりするのだから、生物学的な父親の責任をしっかり取らせるとか」
「母親のほうが、もうかかわりたくないとか、
無責任な父親に子供を会わせたくないというのもあるよ」
「会わせる権利はなしで、養育費を強制的に取り立てる仕組みが必要だね」
ガブリエル・ブレア「射精責任」太田出版 2023.7.29




