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 1 サイコパス *

「サイコパスについての研究なんてどうかな」

「卒業研究のテーマね」

「医学のテーマじゃないの?」

「いや、むしろ病気の一種と考えない方がいいみたい」

「ところで、サイコパスってなんだっけ」

「言葉はよく聞くけどね」

「日本語ではなんていうのかな」

「精神病質っていうのがあるけどね」

「でも精神病ではないよね」

「反社会性パーソナリティ障害ってのが近いかな」

「確かにそうだけど、精神疾患に入れるというのは違う気がする」


「反社会性パーソナリティ障害の診断基準があったよ。


・逮捕の対象となる行為を反復的に行うことにより示される法律の軽視

・反復的な嘘,偽名の使用,または個人的利益もしくは快楽のために他者を言いくるめることにより示される欺瞞的態度

・衝動的に行動したり,事前に計画を立てなかったりする

・絶えず身体的喧嘩を始めたり,他者を攻撃したりすることにより示される怒りやすさまたは攻撃性

・自分または他者の安全性の向こう見ずな軽視

・別の仕事のあてもなく仕事を辞めたり,請求書の支払いをしなかったりすることにより示される一貫した無責任な行動

・他者を傷つけたり虐待したりすることに対する無関心またはそのような行為の合理化により示される後悔の念の欠如」


「常習犯罪者ってことだね」

「患者は素行症が15歳以降みられるという証拠が必要というのもある」

「反社会性パーソナリティ障害は18歳以上なんだね」

「その前は素行症というんだね」

「15歳より前に兆候がないのは違うということなのかな」


「精神疾患としての診断基準だけど、他の精神疾患と異質という気がするね」

「英語ではAntisocial personality disorder であって、

 psychopath ではないね」

「精神病質のほうは、psychopath になっている」

「でも、他の精神病とは明らかに違うよ」

「精神病に対する差別感情が混ざっているのではないかな」

「ここではサイコパスで統一しておこう」

「病気や障害とは別物と考えたほうがよさそうだよ」


「遺伝的な要素があるという研究もあるみたいだね」

「でも、遺伝子で判定するべきではないだろうね」

「遺伝子を持っていたも、反社会的行動がなければ、

 サイコパスと言ってはいけない」

「遺伝的要素や、本人が選べない環境のせいもあるけれど、

 大きいのは、自分自身でい選んだ環境らしい」

「自分で、犯罪の参考になる資料を選んでみたり、

 似た仲間を選んだろするんだね」


「男性ホルモンが多いという研究があるらしい」

「でも、ホルモン検査でサイコパス傾向ありなんて判定されたらかなわないよ」

「あくまで行動で判断でしょう」


「サイコパス研究を個人攻撃に使ってはいけないね」

「重大な問題だから、ある個人がサイコパスだとするのは、法的な手続きがいる」

「といっても、法律用語にはないから、判決を出すときに、

 サイコパスかどうかを考えるってことかな」

「でも、判決文にサイコパスとは書けないよ」

「言葉に入れないけっれど、考える参考にするということだね」

「個人を特定して公表しなくても、サイコパスの特徴をみんなで共有して、

 警戒したほうがいいね」

「あの人はサイコパス、なんてことを言ってはいけない」

「でも、こういう行動はサイコパスだろう、というのは言える」

「もちろん、それは反社会的行動でなければだめだね」

「個人名を出すのはやめにしよう」

「歴史上の人物ならいいかもしれないけど」

「でも、その信奉者とかいて、かかわると面倒くさい」

「控えたほうがよさそうだね」


「モラハラとかはサイコパスだろうね」

「ハラスメント関係はサイコパスがらみが多いだろうね」

「サイコパスが被害者のふりをする場合もありそうだね」

「よく見極めないとね」


「常習的な犯罪者はサイコパスだろうね」

「サイコパスでなくても、

 トラブルの発展で犯罪になってしまう場合はあるだろうからね」

「でも、サイコパスでなければ、きちんと反省はするだろうし、繰り返さない」

「組織的な犯罪グループはサイコパスの集まりかな」

「サイコパスのリーダーが、サイコパスを集めて犯罪をさせているんだろうね」

「その気はなくても巻き込まれたりというのはあるかもしれないけど」

「サイコパスでないなら、早く足を洗わせたいね」


「法律とか、ルールとかを守らない常習者はサイコパスでしょう」

「全く法律違反にならずには暮らせないでしょう」

「でも、普通はできるだけ違法にならないようにするし、

 常習的には違反はしない」

「みんなやっている、というのはサイコパスがよく使う言い訳だよね」

「確かにみんなかもしれないけれど、常習ではない」

「それに数え方も独特だったりする」

「1人いたら、自分だけじゃあない

 2人いて、自分を入れて3人になると、みんなやっているになる」


「ストーカーなんてのはサイコパスだろうね」

「愛情のためとか言い訳をするけど、結局自分のことしか考えていなくて、

 相手を傷つけたり、ひどいときは殺してしまったりするのからね」

「相手を思いやる良心が根本的にかけているんだね」

「相手にサイコパス性を気づかれる前に手に入れた個人情報を、

 拡散したりするね」

「個人情報の拡散って、サイコパスがよくやるみたいだね」

「理由はいろいろあるけど、結局、攻撃欲を満たすためなんだね」


「個人情報の拡散といえば、SNSで攻撃的な発信を繰り返す人がいる」

「それもサイコパスでしょう」


「クレーマーなんて言われる人たちも」

「改善のためのクレームは必要だけど、

 目的が、攻撃したいというのに変わってしまっている」

「最近はカスタマーハラスメント、略してカスハラと言っている」

「カスハラ防止法ができたところもあるし、検討しているところもあるようだから

 対策が進むといいね」


「もう時効になったような悪事を、公然と自慢げに話す人っているね」

「反省していないってことだね」

「時効なんてなくなったほうがいいかも」

「でも、あまり古い話を追及されても、弁明が難しい」

「証拠らしきものが出ても怪しいし、反証も難しくなってくる」

「でも、本人の自白は有力な証拠だから、

 自分でやったと言っているんだからそれを証拠に有罪でいい」

「そうなると、馬鹿なことを言うやつはいなくなる」

「そのほうがいい」


「いろいろ考えることがありそうだね」

「それぞれ分担して研究するといいかな」

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学    1996/12/1

   M.スコット ペック (著), M.Scott Peck (原著), 森 英明 (翻訳)草思社


騙しも盗みも悪くないと思っている人たち

  著:E.スタントン・セイムナウ 訳:石山 鈴子 講談社


診断名サイコパス―身近にひそむ異常人格者たち (ハヤカワ文庫NF)  2000/8/1

  ロバート・D. ヘア (著), Robert D. Hare (原著), 小林 宏明 (翻訳)


良心をもたない人たち (草思社文庫)   2012/10/4

 マーサ スタウト (著), Martha Staut (原著), 木村 博江 (翻訳)


良心をもたない人たちへの対処法〈草思社)2020年12月18日

マーサ・スタウト 著 /秋山勝 訳


暴力の解剖学: 神経犯罪学への招待  2015/2/26

  エイドリアン レイン (著), Adrian Raine (原著), 高橋 洋 (翻訳)


サイコパスを探せ! : 「狂気」をめぐる冒険  2012/6/8

  ジョン・ロンソン (著), 古川 奈々子 (翻訳)


モラル・ハラスメント  1999/12/20

  マリー=フランス・いるゴイエンヌ 紀伊国屋書店

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[一言] サイコパスで思いつくのは、幼女連続殺人の宮崎勤、大阪池田小の宅間守、秋葉原の通り魔、座間の9人殺害、相模原山百合園、京都アニメ放火です。 それと通り魔などの猟奇的な犯罪は、夏の暑い時のが確…
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