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ショートショート5月~

アルバム

作者: たかさば


あの日、わたしは、アルバムに、一枚の写真を見た。


たくさんの人に、賞賛されるあの人の姿。


その写真には、自信に満ちた、あの人の姿があった。


あの人の周りには、たくさんの人がいた。



あの日見た写真の前のページには、一人寂しく机に向かうあの人の姿があった。



わたしは、その2枚の写真を見て、焦燥感に襲われた。


ああ、この写真を、本物の写真にするためには。


わたしも参加しなければならない。


急がないと。間に合わなくなる。




わたしは、急いで、できる事をした。


できる限りの事をして、あの写真を現実にしようと、躍起になった。




わたしは今日、アルバムを見た。


見てしまった。


あの日見たアルバムの写真は、違うものに貼りかえられていた。




わたしは、間に合わなかったのだ。


間に合わなかった。




賞賛される写真は、そこにはなかった。


一人ではないが、少人数で、机を囲む、姿が写っている。


前のページには、たくさんの人に囲まれて、笑っている写真が貼ってある。




もう、貼りかえることが、できない。



もう、確定してしまった。



わたしができることは、何もない。



わたしができることがあるとすれば。



あの人が自分で選んだ道を、自信を持って歩いていけることを祈るだけ。



間に合わなかったわたしを、許して欲しい。




誰かの道筋に介入することは、とても難しい。


どれほど努力しても、簡単に道筋がずれてしまう。




人の人生を、思い通りにすることなんて、できはしないのだな。




わたしは改めて、自分の犯した、無謀な賭けに、負けたことを悟った。


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― 新着の感想 ―
[一言] 人生は自分で思い描いた道でさせ思い通りにはいかないし、ましてや他人が道を変えようと思うことって難しいんだなーって思った。
[良い点] できる事をした……あーなんとなく伝わりました。 [一言] 息子を支援する母親のイメージだったり、夫を支援する嫁のイメージだったり
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