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死んだ僕のことが見える彼女  作者: 土鍋ネコ
6/7

死んだ僕と花火大会

〜〜〜〜八月下旬〜〜〜〜


今日は花火大会の日だ。僕はまさか、自分の彼女の余命があと、わずかだとは夢にも思わなかった。

なので、舞子との思い出を沢山作るべく、今日は花火大会に行く約束をした。


「舞子、夜まで時間あるけどどうする?」


「んー、屋台とかいろいろ回ろ!」


「行こっか!」


ただいま午後16:00。花火大会は19:00からで三時間程の時間がある。ゆっくり、屋台など見るには良い時間だ。


二人で屋台を転々とする。


焼きそば、リンゴ飴、わたがしなど、屋台という屋台が並んでいた。


「ねぇねぇ! 何食べたい?」


「んー、僕は食べられないよ」


「こういうのは気持ちだから!」


「じゃあ、焼きそば食べたい」


「買ってくるね!」


わざわざ死んでる僕の為にいろいろとしてくれる。

余命あとわずかなら、僕の方がいろいろしてあげなくてはならないのに。

五分くらいして、舞子が嬉しそうに焼きそばを持って帰って来た。


「二つ買ったの?」


「そりゃそーだよ! ちゃんとこーくんの分もね!」


「ありがとう。」


舞子は嬉しそうに焼きそばを食べる。


「なんで、屋台の焼きそばってこんなに美味しいんだろ〜。 家で作るとパサパサしたりするのにー」


「本当にね」


「あー、こーくん、私の作る焼きそばがパサパサしてるって思ってたんだー!」


「あ、ごめん、そーじゃなくて.....」


「なんてね!うそうそ!」


そんな会話をしていると、舞子が男性に話しかけられた。


「ねぇきみ、誰と話してるんだい?」


「・・・・・・」

一瞬で沈黙する舞子。


「まぁ、一人なら気を付けな」


そう言って、男性は去っていった。

舞子が悲しげな感じで言った。

「やっぱり私、変に見られてるのかな?」


「まぁ、独り言を言ってるようにしか見えないからね...」


そして花火大会が始まる午後19:00になった。

アナウンスが流れる。

「皆様、大変お待たせ致しました。間もなく花火大会が始まります・・・・・・」


舞子はさっきの事を気にしているのか、あまり元気がない。


「舞子、花火大会始まるって!」

僕はなるべく笑顔で話しかけた。


「うん、楽しみに来たんだもんね!楽しまなきゃ!」


舞子は笑顔で返してくれたが、どこか悲しげな思い、無理をしているのだと気付いた。



ヒューーーーパーーーーン!


花火が上がった。


「綺麗....」

舞子が呟いた。

僕はそれに、反射的に答えてしまった。


「君の方が綺麗だよ」


「えっ?」


「あ、いや、ごめん」


「ううん、嬉しい。ありがとう!」


舞子は顔を赤くして、涙を流しながら答えてくれた。

僕は本当に嬉しかった。

何より、初めて二人で花火大会に来れたのがとても良い思い出となる。


「初めて花火大会に来たけど、その初めてが舞子で良かった」


「ありがとう」


そして花火大会も終盤となった。


パーンパーンパンパンパーーーーン


いくつもの花火が連続して上がっている。

そして最後。


パーーーーーーーーン!


一番大きな花火で花火大会は幕を閉じた。



舞子に言った。


「わざわざ花火大会に連れて行ってくれてありがとう」


「なんで?当たり前じゃん!」


こうして花火大会を終えた。

家に帰ると舞子はすぐに僕の分の焼きそばを仏壇に供えてくれた。

舞子が言った。


「パサパサしてない焼きそばだよー」


「なっ、ごめん」


どうやら少し根に持たれてるようだった。

次話は、山へ栗拾いに行く話になります!


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