死んだ僕と現実
〜〜〜〜僕は死んでいる。〜〜〜〜
彼女は生きている。
本来なら、交わる事のない二人だ。
今日も舞子は元気に大学へ行く支度をしている。
急ぎながら舞子が言った。
「今日はこーくん、ついて来なくて良いよ!」
「急にどした?」
「もうすぐ大学、テスト期間に入るんだー」
「分かった。 勉強の邪魔にならないように今日は留守番してるよ」
「行ってきまーす!」
舞子は勢いよく家を飛び出して行った。
今までは、なんだかんだ、舞子が話しかけてくれていたが、死んでいても、なんだか寂しい。
「・・・・・・辛いだろうな.....」
ふと、外を見ると、誰かが家の周りをウロウロしている。気になったので外に出てみた。
なんだか、見覚えのあるお坊さんがウロウロしている。
そのお坊さんは、こちらを見た。そして言った。
「心愛君?」
なんと、近くのお寺のお坊さん、鴨頭さんだった。
「見えるんですか?」
「見えるよ。ワシは霊感が強くてなー」
「声も聞こえるんですね?」
「あー、聞こえるわィ」
正直、嬉しかった。舞子以外にも見える人がいることを。でも、なぜここにいるのか疑問に思った。
普段お寺や家まで行ってお経を読んでるはずなのに。
鴨頭さんに聞いてみた。
「なぜここへ?」
「最近、舞子さんがおかしい。もしかしたら悪霊に取り憑かれているんじゃないかと、近所の人が言っていてな。 君が死んだばかりでストレスだろうと思っていが、悪霊じゃなくて何よりだ」
やはり舞子の行動は、周りからしたら取り憑かれているか、おかしくなったと思われているようだった。
僕はやはり死んでしまったのだから成仏した方が良かったんじゃないかと思い始めていた。
「舞子さんの為にも、まだ成仏したらいけませんぞ」
「えっ?」
「君の葬式の時、誰よりも泣いていたからね」
僕は驚いた。僕の葬式でそんなに泣いていたんだと思った。 僕は死んですぐに神様であろう人に出会い、こちらの世界に実体はないが、魂だけは残るようにしてくれた。この身体を創って貰うのに少し時間がかかったのだ。死んでから舞子に会ったのは僕が死んでから二日後だった。
「そんなに泣いてくれていたんですか?」
「誰よりも泣いていたよ」
なんだか僕は嬉しかった。だが、同時になんで死んでしまったのだろうという、怒りも込み上げてきた。
「君なら大丈夫! 側で、舞子さんを守ってあげてくれ」
そう言って鴨頭さんは帰っていった。
「実体がないと、守りようがないな.....」
自分の無力差をものすごく痛感した。
「クソッ!!」
もうお昼だというのにお腹は空かない。トイレに行くことも無い。リモコンに触れられないからテレビも観れない。ものすごく暇だ。
舞子が居ないと寂しい。
生きていれば、今頃、一緒の時間を過ごしていたはずなのに......。
なんだかんだ18:00になった。
ガチャッ
「ただいま〜!」
舞子が帰ってきた。
「お帰り〜」
「こーくん、一人で寂しくなかった? 私は寂しかった〜。 こーくんが消えちゃってるんじゃないかって思っちゃったの...」
「僕も寂しかったよ。 大丈夫!舞子が生きてる間は消えないから!」
「ありがとっ!」
舞子は、なんだかとても嬉しそう。
生きた状態で、この感情やこの日常を味わいたかった。
心が痛い...。
「今日のご飯は肉じゃが作ろうと思うんだけど、肉じゃがで良いよね?」
「良いよ!食べられないのが残念だよ...」
「じゃあ、一年後のあの日になったらまた作ってあげる!」
「ありがとう....」
舞子の優しがとても嬉しかった。
こんなに良い人と付き合えたのに死んでしまった。
舞子に物凄く申し訳ないと心の底から思う。
そして、僕は今日、鴨頭さんに会った事を話した。
「今日、鴨頭さんに会ったんだ」
「えっ?どういうこと?」
「鴨頭さんも、僕の事が見えるみたいで、葬式の時、舞子が誰よりも泣いていたって教えてくれたんだ」
「えー、恥ずかしい・・・・・・」
「嬉しかったよ!」
そして舞子は今日の大学でのできごを話してくれた。
それを聞いて思った。僕が居ない方が、皆から変な目で見られてないようだった。
やはり、舞子に申し訳ない.......。
次の話は、水族館デートを楽しむ話です!
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