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死んだ僕のことが見える彼女  作者: 土鍋ネコ
2/7

死んだ僕と動物園へ

〜〜〜〜とある日曜日〜〜〜〜




「ねぇこーくん!」


「ん?」


「動物園行こ〜」


「良いよ!」


今日は曇り一つとない晴天だ。遊園地ではなく、動物園を選んだのは、一人で行っても、あまり違和感がないからであろう。

こうして、バス停に向かう。俺は舞子に言った。


「バスの中では話しかけないでね」


「分かってるよ!」

舞子は、少しムスッとした表情で言った。


というのも、バスの中でやたらと話しかけられたら、それこそ舞子が冷たい目で見られ、可哀想な子だと思われる。


プーーーー


バスが来た。バスに揺られ20分。動物園に着いた。

日曜日というだけあって、結構人が多い。

舞子が動物園の入場券を買いに行った。

カップルや、家族連れが多い。


「お待たせ! こーくんは料金払わなくても良いなんて羨ましい〜」


「まぁ、俺は誰にも見えないし、誰かに迷惑をかけることもできないからね!」


そして、二人で動物園に入って行った。

いろいろな動物がいる。


「こーくんは何見たい?」


「んー、サーバルキャットと、カピバラ、それとペンギンかな〜」


「じゃあ、まずカピバラが一番近いからカピバラ見に行こ!」


最初にカピバラを見に行くことになった。

カピバラは気持ちよさそうに、お湯に浸かっている。

五、六匹は居るだろうか。すると、舞子が言った。


「あの子達、仲良しだね!」


その言葉には、どこか寂しさを感じた。

10分くらいカピバラを見ていた。


「私、レッサーパンダが見たい!」


「よし、次はレッサーパンダ見に行くか!」


どうやら、レッサーパンダが好きらしい。


レッサーパンダの場所に着いた。

二匹が仲良く一緒にいた。


「なんか私達みたいで可愛い!」


僕は、触れることすらできない。なんだか悲しい思いが込み上げてくる。

動物園の動物達は、基本的に同じ檻の中にいる。毎日一緒で、とても仲良し。なんだか羨ましい。


20分くらい居ただろうか。次の場所へ向かう。

次はペンギンだ。

ペンギンの場所に来て、舞子が言った。


「ペンギンってさ、水の中を泳いでる姿、なんだか空を飛んでるみたいじゃない?」


「そーだね! 小さい時は飛べない鳥って思ってたけど、今はちゃんと飛べる鳥なんだって思ってる」


「ふふっ」


こんな会話だけじゃなく、ちゃんと自分の身体があれば、もっと楽しかっただろう。

そう、普通に会話しているが、僕は死んでいる。

僕に話しかける舞子は、独り言が多い変な子とでも思われていただろう。


「舞子、次はどこ行きたい?」


「んー、アルパカみよ!」


「行こっか!」


アルパカの場所に向かう途中、舞子が誰かに声をかけられた。それは、いかにも怪しげなおじさんだった。


「そこの女の人。君だよ君!一人かい?おじさんと動物園まわらない?」


僕は死んでいる。 誰にも見えない。舞子が一人でいると思い声をかけに来たのだろう。

舞子が言った。


「一人じゃありません! 彼氏と来ています!」


「ずっと君一人じゃないか?」


その言葉を聞いて、走って逃げる舞子。

見失ってしまった。実際、見失われるのは僕なのに...


「よし、アルパカの方に行ってみよう!」


僕はアルパカの場所に急いだ。

舞子がいた。アルパカの方を見て泣いている。


「なんで、誰も分かってくれないの?」

アルパカに話しかけている。


「一人じゃないのに...」


アルパカは不思議と舞子を見つめていた。舞子を励ますかのように。


「舞子!」


「あ、こーくん。 ごめんね。急に走ったりして...」


「いや、謝るのはこっちの方だよ。 死んじゃってごめんね...」


舞子は、泣きながらも笑顔を作り、言った。


「サーバルキャット見て帰ろ!」


「うん!」


大きな耳が特徴のサーバルキャット。個人的にだか、ネコ科の動物で一番好きだ。

舞子はホワイトタイガーが好きらしい。

サーバルキャットの場所に着いた。

サーバルキャットは3m程のジャンプが出来るらしい。


舞子が言った。

「ネコ科の動物って、みんな可愛いよね〜」


「わかる! ネコを飼うなら、アビシニアンか、ノルウェージャンフォレストキャットがいいな〜」


「また、難しい品種のネコ! こーくんらしいね」


「そろそろ帰ろっか?」


「うん!」


またバスに乗り20分・・・・・・・・・




・・・・・・家に着く・・・・・・


「今日は楽しかったね〜」

舞子が嬉しそうに言った。


「そーいえば、二人で動物園なんて、初めて行ったかもね!」と僕は答えた。


何しろ、付き合って三ヶ月くらいで死んでしまったから、特にどこにも行ってない。


「次はどこに行くー?」

楽しそうに舞子が聞いてくる。


「んー、水族館とかいいんじゃない?」と僕は答えた。


「やった! 水族館デートだ!」


舞子はとても嬉しそう。

今日は、少し嫌な思いをさせたかもしれなかったけど、今は楽しそうで何よりだ。



次話は、近所のお寺のお坊さんの出会いが、悲しい現実を突きつけられるような話です。


また、少しでも良いなと思った方、感想やレビュー、評価など、よろしくお願いします!!

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