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冷たい部屋に招かれて  作者: 古新野まーち
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青年の地獄のような一日が始まる

アイスコーヒー2つの伝票は秀太に押し付けられた。 店を出ると吹雪いていた。月を鈍重な雲が覆い、青い街灯が雪の積もりはじめた道を照らしていた。

神経を細かく切り刻まれるような冷気は堪えがたく、隣を歩くサキの方に近寄り、それから彼女の後方になるよう歩みを遅くした。それを察したサキは横断歩道の白線の上で秀太の足をはらった。彼はこけたことに気づく間もなく尻餅をついた。人や車が踏みつけて溶けかかったベタベタの雪の上であった。

話の通り公園から近いところにつくと、彼女は再度、秀太にたずねた。本当にバイトをするのか? 途中で嫌にならないか、と。

秀太は、寝たきりの老婆の世話のあれこれを想像した。最もキツいのは、他人の排泄物の面倒も見なければならないことだ。通常ならプロの仕事で断るべきであるが、弱味を握られてしまった手前、イヤとは言えなかった。ここに来るまででサキが異様な気分屋であることは分かっていた。機嫌を損ねて警察に通報されでもすれば、就職活動に響くだけでなく停学などもありえた。

どうして自分はむしゃくしゃしたのかと、電信柱の足場ボルトに頭をぶつけて、役に立たない脳を破壊してしまいたい。恥で悶絶しそうであった。


「入って」

サキが乱雑に靴を脱いでから、玄関の明かりをつけた。

閑としている家だった。水道やテレビといった生活音がなく、どうやら本当に寝たきりの老婆しかいないらしい。

秀太が靴を揃えていると、私のもよろしくと言って二階の自室に向かった。彼女についていこうとすると、扉の前で待っておけと指示された。スリッパは渡されなかった。

凍えた廊下で待つこと5分ほど、身軽になった彼女は階下に行き、さらに待つこと20分。

ようやく現れた彼女は、バスタイムを満喫したらしく、スウェットにガウンという姿だった。



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