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異世界と神とDNA  作者: 夏井 悠
第1章 伝わらない異世界
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6.大学探索




約束の時間、快とエレシュは食事をした部屋の前に集合した。


『それじゃあ、この大学の中を一通り回って説明しよう。ついてきてね』


そこで今から始まるのは大学の探検だった。




<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<



階段を一つ登り外に出ると、


大学は三つの建物と庭からなっていた。


というより、何故ここが地上階なんだ? 食事した部屋からは青空が見えたのだが……


『それじゃあまずは一棟だね』


一棟は八階建ての豪華なレンガ造りの建物だった。



一階。ここは数学系の学問の研究室だった。部屋部屋の中には巨大な黒板と机があり、部屋によっては後方に大量の蔵書があった。

エレシュによると魔法陣の解析と開発の学部なんだとか。魔法の魔法陣と数学の魔法陣が関係あるのかと思い、いくつかの本を開いてみたものの魔法の魔法陣しか記されていなかった。どうやら円の半径やその他の図形の組み合わせや配置、面積比について規則性を見つけ、さらにそこから新しい魔法陣を開発するという学問だそうだ。

推理・応用系の思考なので快は大いに興味を持った。


『しばらくしたら学んでみると良い』


エレシュさんの一声。


『はーい!』


それに悪ノリして幼稚園児のような返事をしてみる。特に反応はなかったが。



二階。今度は言語学と心理学の部屋だった。

この世界にはウル語と隣の帝国語しかないらしく、その余った部屋で心理学をやっている感は否めなかったが、心理学の部屋も今まで見てきた部屋のようにかなり充実していた。もっとも、実験用のマウスのような小動物と小さな人間が、小人というより小さな人間である、が八匹程度いたことに快は動揺を隠せなかったが。

そこでエレシュに聞いてみると、


『ああ、これは学生の意識を複製して器に入れたものだよ。人権を侵害をするようなものじゃないから安心して』


意識を複製だとか器だとか、安心できない内容ではあったがエレシュの笑顔に免じて許してやろう。



三階。ここはどうやら歴史についての階のようだ。校長であるクローヴィスが歴史を得意としているからか今までで一番立派だった。


蔵書の数が違った。四つの大きな部屋の後方には図書館顔負けの大きな本棚と、そこに詰められた大量の本が異様なまでの圧迫感すら生み出していた。

エレシュによるとこれらも殆どがエンキによる歴史改竄の影響を受けているという。ただ一つの部屋を除いて。


ある一室の本だけが、全て比較的新しかった。その部屋は改竄を受ける前の歴史について、矛盾が生まれないよう推測し〔正史〕を考察する学部の研究室だった。


クローヴィスがプレートの告白を受け、イアンナを除いてほとんど一人で研究しているという。となると、これらの本は全てクローヴィスが製作したものとなる。


エレシュも時たま手伝うそうだが、やはり知識の差からかクローヴィスとは出来が明らかに違うらしい。

具体的には、一見文脈的に誤った考察、解釈であるが時代背景や現在の文化などから多面的にアプローチしていくと実は正史だった、なんて事を気付けるかどうかだそうだ。

快はこちらは絶対関係なくて今後関わらないだろうと思ったが、


「いやフラグじゃね⁉︎」


フラグじゃない事を祈りたいものだが。

と思っていると突然エレシュがもじもじし始めた。


『因みにタイラーゲート先生の元御学友の方々は先生を冷やかしに来ることもあるんだよ。ある時、神国最高裁判所の長官の方がやってきてたまたまこの部屋を見られてしまってね。彼が先生に、エンキ神は無罪だ!と冗談をおっしゃっていたのを見た』


『今までは真面目ムードだったのに唐突に笑い話をぶっ込んできたな⁉︎ ていうか、中途半端で正直よく分からないよ⁉︎』


この時エレシュが何故無理をしたのか、乙女心の分からない快君には一生分からないだろう。



四階。今度は地理だった。魔法のせいで科学が発展していないためか理系が少ない。かと言って魔法についての学部があるかと言ったら、それは現実世界でいう体育の扱いらしく魔法学校に行かなければならないんだとか。あと、魔法を操る力は生まれた時に決まり、その後の努力で上がる分は精度など、あくまでテクニック系のみなんだとか。


『え、そしたら俺はどうなんだ? 使えそうか?』


『調べないと分からないんだよ。因みに前の世界で魔法を使ったことはあるかい?』


『科学という魔術ならね』


負け惜しみを言ってみたが通じなかったのでカウンターダメージ。


地理はウル神国を含む大国三国とその他、の四つに大きく分かれており、こちらはどちらかというと大量のレポートがまとめられている感じだった。

具体的には、今までは背面に本棚が並べられ、山のような蔵書があったのだが、この部屋はその本棚が二列あり手前の方にはレポートのみが棚を真っ白に染めるが如く隙間なく差し込まれている。

エレシュ先輩によると優秀な生徒が課題で提出したレポートの中でも、特に有益なレポートを特別にまとめることにしたら今ではこのようなことになっているという。


内容は日本で習うようなことだった。自然地理と人文地理に大別され、どうしたこうしたと言った具合だ。

もしかしたら役にたつかもしれない。



五階。今度は宗教学だった。と言ってもこの世界にはウル神国で信仰されている真神教シンシンキョウと、他の国で信仰されている自然崇拝のみで、大半が真神教にあてがわれていた。


真神教にもいくつかの派があり、軟派と硬派が一般的であり、都市伝説と思われている過激派、ディーメアは強大な力を持ちながらも所属している人数は非常に少ないらしい。平和でよろしい。


こちらもクローヴィスの専門分野なので特に大規模で綺麗だった。


宗教については地理や歴史を学んでからだと快は個人的に考えているので特に細かいところまでは見なかった。



六階。なんとここには客室が並んでいた。遠方からやってきた知識人やら特別講義を開く学者のためなんだとか。立派は立派だったがタイラーゲート家の部屋を見た後では少しつまらなかった。



七階。タイラーゲート家の部屋。四部屋あったのだが、イアンナとエレシュ、そして快の部屋以外の部屋は鍵がかかっており中の様子は確認できなかった。部屋の中は割愛。



そして最上階。ここには校長室と食事室及び調理室、お風呂があった。フロアを全てこれに費やしており全てが無駄に広かった。特に風呂場は温泉並みで何故か三つに浴室が分かれており、かつその一つ一つに四つの浴槽があった。エレシュによると少しずつ温度と溶けているものが違うらしく入る順番もしっかりと決まっているらしい。

三つの中で一番右の浴室で説明を受けた。具体的には体を洗う前に弱酸かと思われるぬるま湯に浸かり、その後に体を洗う。そして純水の水風呂に入ってから疲労回復効果のあるぬるま湯、最後には何故か脳、筋肉、魔法器(魔法の器官ということらしい)のエネルギー循環を良くする効果のある熱湯に入っておしまいらしい。


快は真ん中の浴室を使うことになった。一番左が校長、真ん中がその他の男性、一番右がその他の女性らしい。快は唐突に顔を赤くした。


『具合でも悪いのかい? 早くボクに言ってくれないと流石に分からないよ?』


エレシュは見当違いな心配をしているが実際のところ、女風呂に、しかも美少女が使用しているお風呂に入れた事に嬉しいやら恥ずかしいやらで忙しかっただけだった。


『いや、別になんでもないです。いやホントに、はい。ええ』


そして次は二棟に行くとなり、快は階段を下りるのを面倒臭がっていると、


『こっちだよ』


上向きの階段があった。


『は? いや、魔法だな!』


エレシュがやや気怠げに頷くと快は弾みながら階段に向かった。


ーーーーそういえば集合してから外に出るのにこの階から上に登ったか。じゃあ青空は魔法じゃないということか。




>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>



今すごいつまらないのは自覚してます。今は我慢していただけると嬉しいです。

というより、僕も今つまらないです。

絶対に後悔させません。

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