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異世界と神とDNA  作者: 夏井 悠
第1章 伝わらない異世界
21/93

20.作戦・讐

割と暴力的かもしれません。気をつけた方がいいかもしれないです。


逆に好きな人は物足りないかもしれませんが。




地下空間の状況は惨憺たるものだった。


黒い女は魔法を無効化する特殊な檻の中で、成すすべもなく電流を流されたせいで意識を失って倒れている。口からはほんの少しではあるが泡が出ており、その整った顔立ちは汚されていた。


そしてその前には少年が倒れていた。


少年は先程まで縄で縛られていた。しかし今はその縄は見当たらない。代わりに少年の周りには黒く焦げた何かが積もっていた。


少年の皮膚は真っ黒焦げとまではいかないが、全身はひどい火傷で爛れ、煤が付いたのか肉が焼けたのか、ところどころ黒い部分があった。


そんな死の空間にただ一人男が立っていた。


「あはははははは! 何をやっているんですか? 弱すぎじゃないですか? 僕は二重なんですよ? おかしくないですか?」


コールは快が悶えながら焼けたのを何度も何度も反芻し興奮していた。それは誰が見ても分かるように顔と声から溢れ出ていた。


「あれ? でもこれじゃあケースリットに復讐できないですか? あの僕の人生を狂わせたケースリットに対して、人質作戦できないですか? まあいいですか、元々は一棟にある貴重な資料たちを盗む予定でしたし、それが無理で代わりに図書館から何か盗めばいいと分かりましたし。って、ああ! 貴方がいましたね! 忘れてました! 貴方がいれば……」


コールは話しながら異変に気がついた。


「ゲホッゲホッ、……あたまぁ、……クッ、わるくないですかぁ……?」


既に生きるか死ぬかの狭間を漂っていたはずの長田快が立ち上がっていた。


そして普通なら喉が爛れて発することができないはずの声を、聞いていて不快になるような声ながらも発している。


「き、君、よく生きていますね⁉︎ 何か特別な力でもあるんですか⁉︎」


「……さあな、……俺も知らん」




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コールとか言う男が新しい魔法陣を向けてきた。ニンガルに対しては電気を流していたからこれも新しい効果があるのかもしれない。


とにかく逃げないととんでもないことになる。そう思って、陽魔法で強化された肉体を全力で使い縄を無理矢理切ろうとするがとんでもない強度だ。ビクともしない。


次の瞬間俺は炎に包まれた。


熱い。死にそう。叫びたい。叫べない。焼ける。せめて肺は。


熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いあついあついあついあついあついたういつあついあついたついあついあたいあつとあついたあいついたくたちついついちあついあついたうい

















気を失っていたようだ。あれだけ焼かれたら仕方ないだろう。とりあえず死んでいないことに快は安堵した。


しかし目を開けると何だか嫌な予感がした。


見たことのある天井、そして聞いたことのある足音。それがだんだんと近づき、我慢できなくなって上体を起こした。


「クソが」


「なんだ貴様、この世界にやってきてこの私の正体と私がどれだけ偉大か知ってそのような態度をとるとは、神子からゴミムシに変えてやろうか」


「神子だと? 俺が誰のだよ? このクソの神子とか言うなよ? てめーの使いっ走りになんかなんねぇよ」


「フン、言っておけ。貴様は既に私の駒でしかない」


コイツ、自分の事を何様だと思っているんだ。まあいい、コイツも残念な奴だな。


「そうか、なら残念だな。俺は今死にかけの状態だ。死ぬまで自由な暮らしは無いだろうよ。だからお前の命令に従うこともできない」


「貴様は神子だぞ? 私が貧弱なお前の体をそのまま使うはずがないだろう。お前はまだ活動できる。だからあのコールとかいう馬鹿で邪魔な男をさっさと消してこい」


いちいち命令してくるな。本当に癪な神だな。でも神か、本当なら女神が転移した俺に特殊能力授けてくれるのが理想だけど何か力でもくれたんなら許してやる。


「仕方ない、あいつをぶっ殺すチャンスをくれたってんなら見逃してやるよ。で、どんな特殊能力をくれたんだ?」


「さっさと済ませて来い」


「おい! 答えろよ!このクソ……」


意識が遠のいていきやがる。最悪。






またすぐに目が覚めた。


今度はコールの気持ちの悪い独り言が耳に入ってきた。




<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<




コールは再び異変に気がついた。


「君、治っている⁉︎ 治癒魔法が使えるのですか?」


快に与えられた特殊能力。それは、


「自動治癒か、あんまパッとしねぇな」


ぶっちゃけ期待はずれだった。何か大迫力な攻撃系の能力かと思ったが、帰ってきて早々に答え合わせを受けて、その答えのせいで気分は最悪だった。


しかし、そうこうしているうちに快の体は動けるところまで回復した。声もいつの間にか出ている。


腰回りにナイフ二本と陽魔法の魔法陣がきちんと残っていることを確認し、快は復讐に復讐し始めた。




<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<




コールは最初から自分が魔法陣以外の戦闘能力が無いことを暴露し続けていた。だから彼の手元にある一枚と床にあるトラップだけ気をつけていればいい。


解決方法がわかればあとは簡単だ。快はなるべく歩数を減らして一歩を大きくし、一気にコールに近づいた。


コールも負けじと快に炎を向ける。しかしコールがそう出て来ることは必然だったので快は地面を強く踏み込み高く跳んだ。コールは魔法陣を上へ上へ向けていった。炎が快を追いかける。


快はコールの真上に来た時、回転の勢いを利用して短いナイフを真下に投げ下ろした。


ナイフが炎に飲み込まれたと見えたその直後、ナイフは魔法陣に突き刺さった。そう、紙を破ることができずにそこで静止してしまった。


快は予想外の紙の強度に驚きそのまま着地。コールはというと魔法陣に突き刺さったナイフが邪魔で魔法が発動しないのか、一瞬顔をしかめて直後にナイフを抜き投げ捨てた。


「もしものために紙を丈夫にしておいてよかったんじゃないですか⁉︎ どうするんですか。明らかに僕の優勢じゃないですか」


コールが勝ち誇った顔で快に自らの優勢を示す。一方快は悔しさに唇を噛んではいなかった。


「いや、俺の勝ちだな」


それだけ言うと快は高速で移動し始めた。コールの炎を当てられないように動き続け、空いた左手で懐から風の魔法陣を取り出した。それをナイフを持った右手に巻きつけ、コールが投げ捨てたナイフを回収した。


コールも快の動きの癖を見出だし始め、先程から狙いが定まりつつある。コールは醜い笑みで顔を歪めつつ勝利を確信していった。


「諦めたらどうなんですか。そんなに粘っても状況は変わりませんよ」


否、状況は一瞬で変わった。


快は風の魔法陣を起動させてビビらせることで一瞬コールの動きを止めた。そこですかさず短いナイフを投げつける。ナイフが低い音を立てて突き刺さる。


抜き取ろうとした手を風魔法で切り落とす、とまでは行かなかったが骨が見えるくらいの傷を与えた。


ダメージを負ったコールは冷静さを失い、ただ悲痛な声で泣き叫ぶのみ。


快は欲望のままにコールを嬲り殺しにした。ニンガルを何日も監禁してスラムで死にかけている人のような姿にし、自分を焼き殺そうとしたことに復讐するために。



一歩で間合いに飛び込み回収したナイフと未だ手放していないナイフで両手首を斬り飛ばす。よろめいたコールの頭頂部を掠めるように薙ぎ、正に頭が割れるような痛みを与える。


どうすることもできないコールを壁に向かって蹴り飛ばし、勢いで追いかけて壁に押し付ける。


コールは衝撃で既に死にかけており、呼吸するたびに気管の内側で出た血液の凝固が進み血痰が形成され咳き込む。


吐き出されたそれを生ゴミを見るかのような目で見た快はナイフの柄尻で眼球を殴る。殴る。殴る。破裂したそこからは様々な体液が混ざったものが流れ出る。


髪を掴んで無理矢理持ち上げ、頭部の上一割を斬るとコールはその場に崩れ落ち頭蓋の中身をこぼし始めた。


快はいつかに見せた、残虐な笑いをこらえた顔で既に死んだコールを嬲り続ける。


コールを蹴り上げてまず両足を切断。中空に留まるそれを強化された肉体で斬り刻む。一振りするたびに彼岸花が咲いたかのように赤い体液が飛び散り快とその周囲を赤黒く染め上げる。


それを腕でも行い、残るは頭と胴体だけになった。まず快は躊躇せずに頭部を切り離した。先程開けた穴からは既に出るものは出切っており、軽くなったそれを快はつまらなく思い投げ捨てた。


コールはいよいよ胴体だけになった。内蔵の詰まったそれをここまでの残虐性を見せる男がどうするか。目に見えている。


快はもはや笑いを堪えることなくコールの体に大きくバツを刻み生物の神聖で重要な部分を開いた。


肋骨をバキバキと折り、臓器を一つ一つ丁寧に取り出したかと思うと空っぽの胴体の中に空っぽの頭部を入れた。頭部の生えていた部分には脚を、右腕部分にも脚、左腕部分には取り出した臓器を放射状に並べ両足の部分には手首から先の無い腕を一本ずつ並べた。


「いやぁ、肝臓の角度が悪いなぁ。あと腎臓も場所がよくない。フフフ」


その『作品』の細かい位置調節をしている快に、目が覚めたニンガルが気付くまで作品製作開始から一時間と少しがかかった。




<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<




快の部屋と繋がるニンガルの部屋に二人が突如現れた。


「快君、少しは落ち着きましたか? 今から校長室に行って報告しましょうね?」


ニンガルの声はとても優しく、快にとってその声は夜風のように心地よかった。


ニンガルとしても自分を救ってくれたことに対する感謝、そして何より目を覆いたくなるような残虐な行いをしていた快を慰めてあげたい。その一心で、檻から出してもらってからあの手この手で快を癒している。


二人は再び校長室の前まで転移した。扉をノックして開くとそこには待っていたかのようにクローヴィスが座っていた。


快は彼の顔を見るなり飛びかかろうとした。自分達にあのような目に合わせた原因の一人に対してなのだから当然だ。


しかしニンガルに抑えられた。陽魔法のスペシャリストと比べると魔法陣に頼る初心者など寝起きでも捕まえられる。


「離せぇ! このバカのせいで俺たちはあんな目にあったんだぞ!」


「快君、随分と雰囲気と言葉遣いが変わったね。確かにこの件に関しては殆どの責任が私にある。しかしそう暴れられると謝罪をする気も失せるものだ」


クローヴィスは大人としての立場を一切譲らない。快も随分変わったという言葉に少し理性を取り戻した。


「フン、まあ聞いてやる」


「よかった。後で君たちからは詳しいことを聞くつもりだが、この件は鼠に関わるのだろう? であるならば責任者でありながらも警戒を怠り君達を危険な目に合わせてしまったということはまず第一に謝らなければならないと思ったんだ。すまなかった」


「お顔をお上げください、クローヴィス様」


そこでニンガルが言葉をかける。そのまま今回の件についてニンガルから話された。


どうやらあの鼠は魔道具の一つらしく、元の世界で言う動くぬいぐるみの超進化版らしい。偵察目的のそれの開封をあの檻で行い数日間そこで放置することで、偵察により明らかになった転移魔法使いのニンガルの対策にしたんだとか。そして魔力を無効化するそこでニンガルを監禁していたらしい。


その後快による補足説明があった。主犯の正体、目的、そして殺したこと。そして、


「と言うことで、貧弱な僕がこの世界で生き延びるにはこの魔法陣とナイフが必要なんです。譲ってください!」


「口調が最初と比べかなり違う気がするが、まあ考えておこう。そんなことより、どうしてそんなに血の匂いをプンプンさせているんだ」


快が躊躇っているとニンガルが口を開いた。


「私も実際にやっている場面は見ていないのですが、目が覚めた時には犯人の体がバラバラに並び替えられていました。快君の身体も返り血で赤黒くなっていました」


クローヴィスが何を考えているのか、目を細めて快を見つめた。


「なるほど、それじゃあ今回はその苦労と努力に対する感謝の表明として、今回君が持っていったものは全てやるよ」


クローヴィスの突然の許可。良いのだろうか。


しかし 快は軽く頭を下げるのみにしてさっさと自室に戻ろうとした。すると呼び止められた。


「ちなみに今回の件に関してはこの三人だけが知っているということで」




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翌日。


「……あの、イアンナ? その、この間は酷いこと言ってごめん。もうあんなバカみたいな態度取らないから」


「別にあなたと仲直りしようがしなかろうがどっちでもいいから」


「ごめんなさいごめんなさい!」





「エレシュ、ここ最近の俺は馬鹿だった。もうあんな態度取らないからゆるしてほしい」


「全くだよ。なんだったんだあれは。馬鹿にもほどがあるだろう。そもそもボクたちがここの心配をしていないはずがないだろう。それなのに一人で勝手に盛り上がって勝手にイライラしているだなんて、迷惑極まりないな。わかったら授業だよ、ちなみに今日が最終日だね。何かあったらこれからも質問しにきていいけどね」


「はい、先生!」




こうして、一旦は落ち着いた日々に戻ったのだった。





第1章、終












実際は快はそこまで長い間炎に巻かれていませんが、快はかなり長い間焼かれたと思っています。

前回『快の体は刹那炎に包まれた』

今回『あれだけ焼かれたら』

の表現に一見矛盾がありますが快の誤認というか熱すぎて頭がおかしくなったというかってところです。

本当はこれを言ったら面白くないのですが勘違いされるのも面白くないと思うので一応説明ということです。

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