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異世界と神とDNA  作者: 夏井 悠
第1章 伝わらない異世界
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1.はじめまして

快は薄く目を開いた。そして目の前には同い年くらいの美少女が2人立っていた。


一人は深紅の瞳と髪で、もう一人はクリーム色の髪と翠緑の瞳だった。

深紅の子は雪のような肌にすらっとしたライン、ストレートロングの艶やかな髪を存分に美しさの表現に生かし、少しこけた頬と二重で魅力的ながらも鋭い瞳が彼女を聡明に感じさせる。

一方でクリーム色の子はショートヘアで、体型は深紅の子に似ているものの瞳から優しさがこの上なく感じられる。

深紅の子は極上の美しさで、クリーム色の子は極上の可愛さとでも言おうか。


とにかくとんでもない美少女が正面にいた。


『そろそろ質問に答えて欲しいって思ったらするんだけど?』


また声が聞こえた。


しかし、目を開いた今気付くことがある。


ーー--いや、どっちが喋ってんの?


二人とも口は開いていなかった。今まで聞いたことのない言葉で話していたのがいきなり日本語を話し始めた時点で怪しむべきだったが、そんなことを考えていられるほど彼は落ち着いていなかった。


『美しくない方のボクが喋っているんだよ』


快は2つの出来事に驚いた。


一つ目は自分の考えが読まれたかのように言葉が投げかけられたという事に。


二つ目は自称〔美しくない方〕の美少女のどちらかがボクっ娘であるという事に。


----ボクっ娘来たぁぁ!!!


彼はボクっ娘大好き少年だった。今まで現実でボクっ娘なんて見たことのなかった彼にとって、これほどの美少女がボクっ娘だと知れば鼻息を荒げてニヤニヤしそうだが、状況が状況なのでそんなことはなかった。すると、


『ボクっ娘? まさか一人称がボクの女性のことかい?』


----また考えを読まれた。どういう事だ?


『テレパシーに決まっているじゃないか』


訳がわからなかった。テレパシーなんて今更オカルト系の中でも時代遅れのものを口に出すなんてどうかしてると思った。口では話していないが。

そこで彼は思い当たった。〔異世界転移〕したのではないかと。


そもそも言語が違う。二人の見た目も街で見たら少し避けるだろう。そして、テレパシーも存在する世界に転移したとしたら。


なら、こちらから話しかけるしかない。


『ここってなんて国?』


『ウル神国以外の答えを望んでいるような気がしないでもないけど、ここはウル神国だよ』


ウル神国なんてかに聞いたことない。というか、〔神国〕なんて古代日本のような厨二感溢れる国があってたまるかと思った。

やはり、推測はあっていたのだろうか。いやまだ早い。


『じゃあここは図書館?』


『そうだよ。大学のね』


大学?異世界転移のリス地が大学の図書館ってマニアック過ぎるだろと思った。しかし読めない文字の本がひたすら並んでいる大学の図書館なんて聞いたことがない。資料室ならあるだろうが、ここのサイズは図書館の中でも異常なほど大きく資料室とは考えられなかった。

ところで、先程からずっと気になり続けていたことの答えをまで聞いていない。


『で、結局君はどっちなんだ? 深紅の髪かクリーム色の髪かで答えてくれないか?』


『美しくない方と言ったのだからはっきりした色の無いボクに決まっているだろう』


こんなに美しくないを何度も言われると嫌味にしか聞こえてこないが口調から彼女が本当にある種の劣等感を抱いているのは感じられた。


状況は少しだけ読めた。手持ちの九割を異世界転移に賭ける。別に何か賭ける物があるわけではないが、そのくらい確信に近づいていった。それを十割まで持って行きたかった。異世界転移なら異世界転移で、開き直っていこうと思った。




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さっきから聞いてばかりだ。もう少し自分で考えて質問をまとめてから話を進めたい。とりあえず聞くのはなぜ深紅の子が話しかけて来てくれないのかという事と、何よりも二人の名前と自分の今後の処分だろう。


部外者が大学の図書館に入っていたなんて、まさに知識泥棒だろう。そんな小汚い真似は絶対にしないのだが、状況が状況なのであまり疑惑に反論しすぎてもどうしようもない。


『最後に三つ質問があるんだけど、一つ目がどうして深紅の子が話しかけて来てくれないのかって事。二つ目は君たちは誰なのかってこと。最後が俺がこの後どうされるかって事。どうなの?』


『質問するには、まず自分の素性を明らかにして対等な関係を築いてからだと思うけど混乱してそうだから許してあげるよ』


『嫌な話し方しないでくれ』


この質問タイムだけで、ボクっ娘とはほんの少しだけ仲良くなれた。

素直に喜ばしい事だったが、今の質問の答えによってはこの些か打ち解けた関係は全くなんの役にも立たないものになってしまう。


『本当に無礼だなあ。まあいいよ、答えてあげる。まず何故彼女が君に話しかけないかというとね……』


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