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◆高校一年・梅雨その三◆

「コレシオ! コレシオだカラー!」

「ケバブだろ」

「オー! マチがイマシター」


 翌朝、そんな声を聞きながら目を覚ました。 


 何がそんなに気に入ったのか、仮称ケバブ(トルコ人ケバブ屋、赤いサンバイザーと赤いポロシャツがお気に入り)と少し輪郭がぼんやりしているハゲロンゲが同じやり取りを、もう三回もしている。


 何故、俺の学生カバンに塩をが入っていたかと言えば、最近やたらと連れ帰って来てしまうからだ。持っててもこの有様だけど、ないよりはマシなんだ。


「ナイトオモウケどー、ケバブトカモッテナイネ?」


 役柄を交代したようで、ケバブが黒いベレー帽をかぶりハゲロンゲを問いただしている。トルコの警官なんだろうか?


「えー? ケバブなんて今時チーマーだって食わねっすよぉ」


 ハゲロンゲが縦に伸びて、尚且つ顔がセガールみたいになってる。髪型が落ち武者状態のままだから違和感すごいな。いや待て、それ俺のつもりなのか?


「ケバブオイシーヨ! ナンでだヨ!」


 役柄を忘れて、いつものケバブ屋姿で怒り出すケバブ。違う違うとハゲロンゲの演技指導が入る。

 ぼんやりとその光景を見ていた俺の隣に、仮称タローとハナコ(幼稚園児くらいで、タローは青、ハナコは赤の帯でどちらも薄い水色の小袖を着ている)が仲良く手を繋いで立っていた。


「おかしいねー」

「おかしいねー」

「「ねー」」


 二人は手を繋いだまま、壁や天井も構わず走りだし楽しそうに笑っている。賑やかになってきたな。


「タばコトカ、モッテナイネー?」

「まじ、吸ってねーから。まじで」

「ネンノタメネー、カばンミセテー」

「まじねーから、やめ、やめろって、あっ!」


 ケバブ警察と落ちセガールがわざとらしくカバンを取り合い、床に落とすと、カバンからケバブが半分覗いていた。


「これケバブだから! 清めのケバブだからー!」

「ケバブナラショーがナイネー、ケバブオイシーヨ」


 ケバブとハゲロンゲは、イェーイとか言いながらハイタッチしている。


 こいつら何がしたいんだ。


 ハゲロンゲの輪郭が薄っすらしてるのは、昨日塩を投げつけたせいだろう。

 しばらくしたら元通りになるからそんなに効果はないのかもしれない。ハゲロンゲ曰く、「人間だと、熱湯をかけられたような苦しみ」らしいのだが、あいつはオーバーリアクションなのでどうだか怪しいところだ。


 それにしても昨日は厄日だったな。

 ふと時計を見ると、まだ午前七時だった。

 今日は日曜だし二度寝するかと、ベッドに横たわると瞼を閉じた。

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