◆中学二年・春その四◆
今回の更新はここまでです。
俺は自分の幼いころの恥ずかしい話しにならないように、話題を変えた。
「いやージャイアントロボも大変だったなー」
「ありがと! ジャイアントロボ!」
「ホウシュウヲ、ヨウキュウスル」
「えー! セコいよ、ジャイアントロボー!」
「セコくない、ドッキングは色々大変なんだぞ、毛根とか」
まだ頭皮がジンジンしている。これ本当に大丈夫だろうかと頭皮をグニグニマッサージしていると、ウララは報酬を何にするか考えていたらしく、そうだ! と手を打ってこちらを向いた。
「じゃあ、今度胸でも触る?」
え? なんでそうなるんだ?!
お父さんそんな子に育てた覚えないよ?
俺が絶句していると、アテが外れたのか首を傾げながら問うてくる。
「だって、かーくんおっぱい好きでしょ?」
なぜ知っている!
いや待て落ち着け、おっぱいが嫌いな男なんていない!
そうじゃない、落ち着け、俺!
混乱する頭で、どう答えたものか分からず、かと言って変な間が開くのもよろしくない。俺は言ってはダメだと分かっていたのに照れ隠しもあってつい口がすべってしまった。
「ウララ、胸ないじゃん」
「!?」
羞恥なのか怒気なのか、顔はみるみる赤くなる。
そしてゆっくり後ずさり、俺から距離を取る。ある程度距離が空くと一気にこちらへ加速して俺の五メートルほど手前で踏み切り地面と水平に飛びたった。
あの技は! 天空×字拳!!
ウララの技は的確に俺の首を捉えて、二人して地面に倒れ込んだ。まさか公衆の面前で天空×字拳をくらうことになるとは思いもしなかった。
さてはアキレス腱固めや飛びつきの腕ひしぎ十字固めなんかも漫画からもってきた知識なのか?
「めっちゃ飛んだ! すげー!」
目撃していた少年たちが騒ぎ出したので、俺は痛む首元を抑え、怒っているウララを引きずるようにその場を離れた。
そのあと、報酬をもらうはずのジャイアントロボが、ご機嫌取りのために映画や昼ごはんをごちそうする羽目になったのは、完全な自業自得だ。
読んでいただきありがとうございます。
書き溜めはもう少しありますが、なるべく間隔を開けずに投稿できるようがんばります。
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