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◆中学二年・春その二◆

 目的地のバス停に着くと、ウララはおばあさんにバイバイと手を振り、開かれた降車口から飛び出した。


 慌ててウララを追ってバスを降りると、カッと太陽が照りつけ視界が一瞬真っ白になってから、青い空と満開の桜、フワっと軽く吹いた風にピンクの花びらが舞っていた。


 総合アミューズメント施設へ続く道は、すでに家族連れや若者のグループ、カップルなんかがゾロゾロ歩いていて結構な混雑だ。

 先に飛び出したウララを探すと、人波の隙間を縫って、まるで何かの競技でもしているようにスルスルと進んでいくのが見えた。


 見え隠れする後ろ姿を追って、早足で先へ進む。残念ながら無駄に大きくなったこの身体では縫うようには動けない。人にぶつからないように気をつけていたら、ウララの姿を見失ってしまった。


 人混みをどうにか横歩きで進み、姿を見失った辺りで見回してみる。


 この辺だと思うんだが、いないな……。


 どうしたもんかと、その辺りをフラフラ探していたら、後ろから手を引っ張られた。


「おっ、ウララ走っていっちゃ……、誰? その子」


 ウララのもう片方の手には、幼稚園児くらいの男の子が泣きながらへばり付いていた。


「ユウくん、迷子なんだって、助けてジャイアントロボ!」


「誰がジャイアントロボだ」


 とツッコンだが、ウララはすでにユウくんと向かい合うようにしゃがみ込んでいる。

 ユウくんの涙をハンカチで拭いながら「もう大丈夫だよ、ジャイアントロボがユウくんのママ探してくれるからね」とサラッと俺が探すことになっている。


 まてまて、探すって言ってもどうやって探すんだ。

 なんて考えてるうちに、ウララがサムズアップしながら言い放つ。

 

「さあ、ユウくん! ジャイアントロボとドッキングだっ!」


 意味が分からずポカンとする俺とユウくん。

 ピンときていない二人を見て、やれやれといったジェスチャーをしたあとで、人差し指をピンと立て解説し始めた。


「説明しよう! ドッキングとはジャイアントロボがユウくんを肩車して、ユウくんママを探してくれるのだ!」


 解説を聞いてもポカンとしていた俺に、口調を強めてもう一度言う。


「ジャイアントロボが、肩車するのだっ!」


 わかったよ、肩車すればいいんだろ。


「ユウクン、ドッキングダ! イクゾー!」


 ロボ声でユウくんに話しかけると、頷いてくれたので肩車する。


「わっ、たかーい」


「ヨシ、ユウクン、ママヲサガスンダ」


「違う! ジャイアントロボが探してあげるの!」


「探すって、見た目もわからないのにどうやって――」


「ユウくんママー! ユウくんママいませんかー?」


 大声で周りに呼びかけるウララに迷いはない。

 探すってそんなやり方なのか。

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