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1章-6 「採掘準備」☆

今回位置関係のイメージ補完の為、周辺マップを作成しました。(下部参照)


 窓から射し込む光でマタリが目を覚ます。半身を起こし部屋を見渡すと、ジルとロビン2人の姿は確認できたが、ウブルの姿は無く、既に起きて部屋を出ている様だった。

 そしてそこでマタリはある一点に目を奪われる。横向きに寝ているジルのチューブトップが捲れ、二つの豊満な果実が零れ落ちそうになっていたのだ。


(これは…もしかしたら角度を変えれば見えるかもしれない…!)


 そう考えたマタリは、お頭のいい角度を探す為に、二人を起こさない様に忍び足でロビンを跨ぐ。


(後少し!後少しで…み、見え…!)


 その瞬間、部屋の扉が開きウブルが入って来る。


「何をしているんですかな?」


「え…あ!いや、こここ、これ、その…!」


 しどろもどろになり、上手く喋れなくなるマタリ。手を伸ばして、つま先立ちで、まるでバレリーナの様なポーズとなっており、非常に不審である。


「ん、もう起きてたのか?」


 そして二人のやり取りで目を覚ますジル。


「なんだマタリ、ストレッチか?」


「そ、そうなんですよ!最近運動不足で!またちゃっと太ったかな?ははは!」


 ここぞというタイミングで出された思わぬ助け舟に、全力で乗っかるマタリ。


「なら運動がてらボルス殿の所へ行って、採掘道具を借りに行って下さらんか?」


 ニヤリと悪戯っぽく言う、ウブル。


「わ、分かりましたよ!」


 仕方無く、了承するマタリ。






 各々の準備が整うと酒場の店主に礼を済ませ、酒場を出るジル達。

 マタリは大工のボルスの所へ寄ってから合流する為、別行動だ。


「じゃあ中央広場の掲示板へ行くぞ!」


 昨日のボルスの話では、天使石の採掘依頼は当初冒険者ギルドで出されていたが、それでも石の集まりが悪かった為、一般公募されたとの事だった。

 一般公募といっても、その様な依頼に飛び付く者はみんな既に冒険者をやっている為、一般市民に依頼を解放する事が目的では無い。

 実際にはギルドで手に負えなくなった案件を領主もしくは国で動ける様にする為の仕組みであった。

 ボルス曰くここの領主は金や名声にならない案件は、どんなに訴えても事が大きくならなければ動かない為、困り事があればまずはギルドへ連絡していると、領主への愚痴混じりで教えてくれた。






 中央広場へ着くと、フルプレートを着込んだ兵士風の男や革の軽鎧を着た冒険者風の男女が掲示板を囲んでいた。

 どうやら目的はジル達と同じらしく、天使石の採掘依頼を見て騒いでいる様だ。


「天使石が遂に1レム500グラを超えたぞ!」


 レムというのはこの国の重量の単位である。天使石は通常1レム100グラ程なので、かなりの高騰具合である。


「1レムで500グラってことは、1000レムも採掘できりゃあ、当分は金には苦労しないっスね!」


 そう言ってロビンは、想像以上の高騰ぶりに採掘のやる気を見せる。


「バカ野郎。真面目に採掘してどうするんだ?俺達は盗賊団だぞ?隙を見て奪うに決まってんだろ?」


 そうジルに言われ、今朝のマタリの行動に疑問を抱き、聞き返すロビン。


「あれ?じゃあ何でマタリに採掘道具取りに行かしたんスか?」


「そりゃ道具も持って行かずに採掘現場行ったら、如何にも盗りに来てるのバレバレだろうが?」


「あぁ!成程!流石お頭っス!」


 そう言ってうんうんと首を縦に振りながら納得するロビン。


(昨日のアンブレとの飲み比べといい、若様が成長なされてる!今迄の脳筋一直線の若様なら、こういった事は私からの助言を必要としたものですが…

 なんだか嬉しい様な、どこか寂しい様な気持ちですな。)


 二人のやり取りを微笑ましく眺めながら、感傷に浸るウブルであった。


 そしてジルは掲示板の依頼にも目を通した。


(他にもかなりの依頼があるな…でも何でだ?冒険者ギルドに依頼すればいいんじゃないか?)


「なぁなぁ、ちょっと聞いてもいいか?」


 そう言ってジルは、隣の冒険者風の若い男に声をかけた。


「な、何だい?僕に分かる事なら、何でも答えてあげるよ!」


 男は一瞬驚いたが、慌ててジルの方へ向き直り、声を張り上げた。

 目線はジルの顔よりも下に向けて…。


 そしてジルはなぜギルドでは無く、一般公募の掲示板にこんなにも依頼があるのかと聞いてみた。

 その男曰く、バックに領主が絡んでいる様な案件などは領主に目を付けられたく無い為、ギルドに依頼しても冒険者が集まらないそうだ。

 さらに中にはギルドに頼みにくい、貴族の依頼もあるらしい。


「まぁだからこうやって広場の掲示板を隠れ蓑に、様々な依頼を掲示してるのさ。例えばこの依頼なんて絶対怪しいよね。」


 そう言って男は掲示板の一枚のビラを指差す。



『求む、容姿端麗。15~18歳の女子。』



 宝塚か!とツッコミたくなる様な、怪しい依頼文が書かれていた。


「これ何かは、ちょっとヤバい匂いがするね。貴族の影武者か!はたまた、怪しい儀式の生贄か?!まぁ単なるウェイトレスの募集かも知れないけどね?」


 そう言って男はにこやかに笑う。


(いやそう言うの要らないんだが…。それにしても、こいつ俺の目を見て話してないのバレバレだぜ…。

 しかし、視線って案外気付くもんなんだな。俺も今度気を付けよう。)


「ところで天使石のビラを見てたけど、お姉さんも達も天使石狙いでニルギリ山へ行くのかい?」


「あぁ、そうだが。」


「だったら気を付けなよ。どうやら"あの"ロジャー盗賊団のロジャーが捕まったらしく、残党が散り散りになってるらしいんだ。」


(俺らもその残党なんだがな…。まぁ今は言える訳ないか…。)


「で、どうやら頭領が居なくなった事で統制が取れず、金持ち貧乏見境なく、略奪を繰り返してるらしいよ。こうなるんだったらまだ昔の方が良かったなぁ。」


(あいつら…!好き放題やりやがって!)


 盗賊にも狩りなどと同じく流儀がある。

 商人を狩り過ぎれば、やがて商人はルートを変えて寄り付かなくなる。そうなると街と街の商流は減り、冒険者なども減る。

 そして商人達も馬鹿では無いので対策を行い、ランクの高い護衛を雇い、盗賊は返り討ちに合うだろう。

 最悪の場合、国の討伐隊が組織され、一掃される危険さえあった。


 ジルは適当に男の話を切り上げると、旅の準備を整える為、道具屋へ行く。

 が、既にウブルが朝の内に済ませたとの事だった。


(流石ウブル!デキる男は違う。)


 この様に、何かと気が付き、先回りで物事を進めるウブルは、”幹部連中”からの信頼が厚かった。

 しかし、その事は逆に一部の下っ端からは反感を買っていたりするのであったが…。


 そして、ジル達は道具屋へ寄らずに、マタリとの待ち合わせ場所である街の東門へ向かう。

 





 マタリと東門で合流し、再度道具を確認し、出発しようとした時であった。


「よし、道具の確認も終わったし、出発するぞ!」


「私は少し野暮用がありますので、街へ残ります。」


 そうウブルが言い、周辺の地図をマタリに渡す。

 少し驚きながらも、今朝の"弱み"の件もあり、素直に受け取るマタリ。

 しかし、ロビンは"納得がいかない"といった様子で、首を傾げる。


(まただ!偉そうにしてる割に、いつも肝心な時に居なくなるんだよな…。まぁ、こんな爺さん居たとしても戦闘で足で纏いだろうけどな!)

 

 そう、ロジャー盗賊団に入って浅く、あまり計画等立てて行動しないロビンは、ウブルの役割をあまり良くわかっておらず、ウブルの真骨頂とも言える裏工作の重要性を理解していなかった。

 さらに、今回の様に肝心な時に抜けたりするウブルに対し、"弱いから戦闘から逃げているのだろう"と不信感を募らせていたのだ。

 もちろん昔からウブルの事を知っているジルは、何か考えがあるのだろうと瞬時に理解し、了解の意を込め、軽く首を縦に振る。


 そして、ウブルと東門で別れた3人は、街の外へと踏み出したのであった。








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【今回入手した地図】

挿絵(By みてみん)


イラストの様にお頭達の地図にも街名等が書いているわけではありません。

(アジト等が堂々と書いてある訳が無いので)


また地図作成に使用したイラスト素材、ツール等の紹介を活動報告にて詳細記載していますので、もし気になる&素材が欲しいと言う方があれば参考にして下さい。

(今回作成した素材は、なろう小説等に使用頂いて構いません)


次回バトルあり、そしてやっとお頭覚醒デス。挿絵(スチル絵)付きの予定。

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