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1章-1 「転生」☆

 初投稿です。週間投稿を予定しています。イラストは主人公の衣装チェンジが多くなる為、主要女性メインキャラのみとなると思います。


 気が付くとそこは薄暗い闇の中だった。

 目覚めているのか、夢の中なのか、そんな曖昧な感覚の中、暫くそのまま闇の中を見つめる。


 目が慣れてくると、ごつごつした岩肌の苔むした壁と鉄格子が見える。

 鉄格子側を見ると廊下から光が漏れていた。どうやらここは牢屋の中らしい。

 数日の記憶が虚ろだが、そう言えば投獄された記憶がある。


 意識がハッキリしてくると、忙しない排泄欲に駆られ、覚束無い意識と身体を起こして立ち上がり、隅の壺を見つめる。

 そして、壺の前に立ち、囚人服を捲し上げる。服といっても単なる1枚布を腰紐で結んだだけの簡素なものだ。囚人に与えるものだ、質素極まりない。

 そこでふと違和感を感じる。


「…見えない。」


 男であれば寝惚けていたとしても、半自動的に行える排泄行為の前の準備。

 服を捲り上げ半身を露出させているにも関わらず、そこにあるべきものが出てこないのだ。厳密には言うならば、下を見下ろすと、無いはずのモノが二つ程自己主張をし、あるはずのモノが見えない。


 自分の身体に起こっている違和感に、未知の恐怖を覚えながらも、恐る恐る下腹部に手を当ててみる。


「…ない?!」


 そう、無いのだ!男ならば誰しもが持っているシンボルがそこには無くなってしまっていた。

 流石に狼狽し、周りを確認すると隣に水の入った桶が見えた。排泄後に陰部を洗うための水桶だ。

 また恐る恐る桶の水面を覗き込むように顔を近づける。


「…なんじゃこりゃあ!!」


 そこに、映し出されたのは、息を飲む様な美少女だった。


 水面を覗き込む際に視界に入った頭髪を掴み良く見てみると、長い絹のような手触りの銀髪だった。


 自分の髪は茶色でボサボサの短髪だ。どう考えても自分の髪と違う、しかしそれをひっぱってみると確かに自分の髪であると頭皮が主張していたのだ。


 どうしてこんな事になっているのか、もう1度ぼんやりとした記憶を辿ってみた。







 俺の名前はロジャー。

 ロジャー盗賊団の頭領をやっている。ロジャー盗賊団は100名を超える構成員からなる大組織で、ここらの地域では子供から老人まで、知らない者は居ない大盗賊団だ。

 その悪名は勇者にも知れ渡り、数日前勇者一向と対峙したのであった。





-投獄される数日前 <勇者との遭遇戦>-

 勇者のパーティ構成は、剣士(男勇者)、賢者(女)、魔法使い(女)、騎士(女)の所謂ハーレムパーティだったこんちくしょう。


 対してこちらは頭領の俺と部下5人の計6人で個人の実力で劣るこっちは、この人数差ではとても勝ち目は無いと考え、大将同士の一騎討を申し出た。


 それに俺には自信があった。半端者の集まりと言われている盗賊だが、100人を束ねる長ともなれば別だ。自分で言うのも何だが、一騎討であれば国王直属の近衛兵とだってやりあえる自負があった。

さらにこの勇者はまだ真の勇者では無かった。


 真の勇者とは、国の危機、例えば魔王を倒すだとか他国の進軍を返り討ちになど絶大な武勲を立てたものの事を言う。

 当然それだけの事をやり遂げた勇者は実力、経験共に単なる勇者とは桁違いだ。


 そしてそもそも勇者とは、国の代表として才覚のあるものに付けられる称号だ。

 つまり才能があるが、まだ経験が浅く、十分に育っていないという事も考えられるのだ。

 そうゆう訳で俺は一騎討は、悪くない賭けだと思っていた。

 そして勇者が一騎打ちを了承すると、愛剣のカトラスを抜き放ち、勇者に向かって猛攻を仕掛けた。


 腕力と経験で勝る俺の剣は、序盤から勇者の剣を圧倒し、勇者は防戦一方となる。

 フェイントを入れ、勇者の篭手を狙って放った俺のカトラスが勇者の親指の付け根の篭手の防御の薄い部分に直撃し、堪らず勇者のショートソードは宙を舞う。


「もらったぁ!!」


 そして勝敗は決まった。


 俺は激しい痛みと共に、膝から崩れ落ち地面に突っ伏していた。


 俺は一瞬何が起こったのか分からず、薄れゆく意識の中、勇者の後ろに目をやると、魔法使いが腕をこちらに向け、睨みつけていた。


 勇者に止めの追撃を決めようとカトラスを上段に構えた瞬間、既に詠唱準備していた魔法使いが雷の魔法を放ったのであった。

 意識外からの攻撃の直撃を喰らった俺はそのまま意識を刈り取られ、気付いたら石造りの祭壇の様な場所で拘束されていた。



「やっと目が覚めたか?」


 全身黒衣を纏った神官風の男が問い掛ける。


「私は執政官のディンブラだ。お前には色々と聞きたいことがある。協力して貰うぞ?」


 その男は拒否権はないとばかりに威圧する。俺は威圧を押し返す様にディンブラを睨んだ。


 俺は世間一般から半端者と卑下される盗賊をやっているが、仲間を裏切る事は絶対しない。ガキの頃人一倍正義感の強かった俺は衛兵の不正を偶然見つけた。それをその衛兵の上司に話したら、全ての不正を俺に押し付けられ、俺が投獄された。

 そうそれは組織ぐるみの不正だったのだ…!

 そして無実の罪に問われた俺を両親は捨て、家族を失った。家族を持たず、犯罪者となった俺に着ける仕事なんて無かった。

 だから俺は仲間を裏切る事はしない。それを徹す為、剣の腕も鍛えてきた。


「くっ…お前達こいつを牢へ運べ。」


 ディンブラは物怖じを誤魔化すように、俺を運ぶよう、部下に命令した。


 そして拘束を解かれた俺は、牢屋へと運ばれ、暫く牢屋で暇を持て余していると、看守らしき男に声をかけられた。


「食事だ。お前は貴重な情報源だ。しっかり食えよ?」


 そう言って鉄格子の受け渡し用の枠から食事が置かれた。食事はパンと塩スープだった。パンはかなり質が悪いものらしく、固く、かなりマズイ。しかし、朝から何も飲んでいなかった為、塩スープは一気に飲み干した。


 食事後にすることも無いので、岩肌の床に寝転んで天井を見上げていると、強烈な胃痛に見舞われた。


「ぐっ…!!あ”あ”っ…!!」


 どうやら毒を盛られた様だ。今日口にしたものは塩スープだけだ。あれしか考えられない。


 宵越しの金は持たず、やりたい事は全部やってきた。だからこそ決めていた、死ぬ時は後悔しないと。後悔すると言う事は、自分の生き様を否定すると言う事だと。


 そして毒の痛みが落ち着き、薄れゆく意識の中、最期の力を振り絞り、右拳を持ち上げた。


「我が生涯に一遍の悔いなし…!」


 ゆっくりと目をつぶろうとしたその時、薄暗い牢屋が一面の光に包まれた。


「悔いなしじゃありませんっ!!」


 突然甲高い女の声が聞こえた。声の方を向くと白い光の中から薄らと人影が見える。暫くその場所を眺めていると、金刺繍が施された白のローブに身を包んだ見た目は25才前後の女性が出てきた。


「…ここは…あの世か?お前は誰だ?」


 一面白の世界でロジャーは呟く。


「私はルクティア。光の女神です。ここは私が顕現しただけで、あなたが居る世界です。それよりも後悔して貰わないと困ります!」


 そう言って両手を握りしめて女神が迫ってきた。


「あなたは沢山の罪を犯しました。我々が残した神託の一つに、

”姦邪なる罪には数多なる贖罪を持って酬い、贖罪は是相応の後悔を持って結実す。”

と言うのがあります。しかし、あなたは私の架した”理不尽な死”という罰にすら、後悔を行えずに生を全うしようとしています。これは信仰に関する由々しき事態です。」


 そう言って女神は目を瞑り、首を振る。


「信仰なんてのはなぁ、ガキの頃に無くしちまったよ。衛兵に嵌められ、家族に捨てられた時に気付いたんだ、この世界に神は居ないってなぁ!」


「な!ここに居るじゃないですかっ!?私が神ですっ!神の中でも人々から沢山の信仰を集める光の女神ルクティアですよ!」


 そう言って女神は自分をアピールする様に手をバタバタさせている。傍から見ればコントである。


「神に依存しないと生きていけない哀れな奴ら、さらにそんな奴らに好かれて喜び、それをさも当然という。そうゆう奴を俺らの間ではなぁ、ビッチって言うんだよ!」


「ビ、ビ、ビ、ビ、ビッチ?!?!?!?!」


 電撃に撃たれたかのように女神は驚き、固まる。


「わ、分かりました。そこまで言うのであれば、神の力を見せましょう。そして後悔し、贖罪を完遂するのです!」


 そう言って女神の正面に構えられた掌の先から眩い光が迸る。そしてその光にロジャーが包まれ始めると、女神は言った。


「あなたは境遇を理由に信仰を無くしたと言いました。ならば今とは逆の境遇で生まれ変わりなさい。さらにこれ以上の罪を重ねぬ様、私の加護を与えましょう。」


 そうして俺は完全に光に包まれ、意識を失った。



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【現在のお頭の装備】

挿絵(By みてみん)

 読んでいただきありがとうございました。

 励みになりますので、小説&イラスト問わずコメント等頂ければ幸いです。

 最後に現在のお頭のヴィジュアルです。

(お頭は装備含め今後どんどん変化していきますので、そこはなるべく絵で伝えられたらと思います。)



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