戦争における正義の必要性
「実際ローマの強さの話になると難しい、何故なら複数あり、ローマ自体が歴史が長く幾度も変容してきたからね。しかし、あえて言うのであればローマは正義を偽装するのが大変上手かった。」
「例えば?」
「敵対した部族や勢力に対していきなり略奪や殲滅をするのではなく、自治権を与えて同盟を結ぶ傾向が強い。これは当時の世界の中でもローマが寛大だったと言われている由縁にもなっている。これらは当時のローマ人が単純に領土拡大の為に侵略したのではなく、お互いの行き違いで交戦しただけ?という主張を相手と周辺の国に通すのに非常に役立った。実際は同盟と言っても不平等でローマの一方的な主張が通されているだけなのに…まるで温情を受けたかのような錯覚に相手と周辺の国を陥らせる効果があった。」
「戦争をして勝っておきながらいきなり殲滅や略奪をしないで講和条約(話し合い)を結んで同盟に持ち込むことでローマの侵略主義を隠してたんだね。」
「その通り、ローマは自分たちの侵略主義を隠して正義に見せかけたんだ!しかも当時の常識である。『力こそ正義』『勝者の権利(勝った者は敗者を殺したり奴隷にする権利)』を行使しないで領土及び賠償金と協定(不平等な決まり)で済ませることでローマは温情的(弱腰)だと見せる。すると元々ローマより自分たちが優れていると奢れているマケドニア、シリア、エジプトなどの大国は国力が上回っていることも加わってローマとの約束を守らなくなる。」
「ふーん、約束を守っていたら?」
「そのパターンもあるね、カルタゴとシリアなどが良い例になる。前者カルタゴは以前に二度約束を破っている(前科がある)ことと協定の中にある『最低限の軍備』という制約のせいで周辺の国の侵略行為から国を守れないことを良いことに『ローマの同盟国』という第三者がカルタゴを侵略しようとするとローマは正義がカルタゴにあるにも関わらず「カルタゴが協定違反をした」とか言って滅ぼしている。後者のシリアはローマに敗れたせいで『力こそ正義』の考えが強いだけに国内が纏められなくなる。(必然であり、ローマは間違いなく予測していた。)そうなれば『同盟国の治安と安全保障を守るのはローマの義務!!』という正義でシリアを占領して属州(植民地)にしてしまう。」
「ズル賢い印象が強い国に見えるね。」
「そうだね、ズルイどころか冷徹の分類かな…なにせ「ローマに二度目は無い!!」同盟=属国みたいにローマ人は考えているから同盟国にされた時点で次は無いぞ!!という脅しみたいなものなんだよねwだからローマは同盟国で裏切ったものに容赦しない!!つまり徹底的に破壊して略奪するのがローマ式解決法といえる。そして属州にする。後の植民地の語源だね。しかもこれだけ酷いことしているのにローマ人と周辺諸国もしくは属州にされた人々までもが『約束を破った方が悪かった』という考え方で歴史を捉えるのはローマ人がいかに上手く『歴史上の解釈を誘導したかが分かる』」
「でも正義は戦いに強い強者だから出来る戦略じゃない?」
「ローマの場合は正義を国内、同盟国、周辺国にそれぞれに対して有効に使ったことが強さの秘密だと思う。国内は言うまでも無いが自分たちが正義だというだけで戦争に協力することを拒否出来なくさせる効果があった。つまり総力戦であり、例え戦術的な敗北があっても戦争を継続する力がローマに残る限り戦争を続けることを国内の民衆に認めさせたんだ。これはローマの強さの中でも飛び抜けている要素の一つになっている。ピュロスもハンニバルも戦術的には勝っているが勝利してもローマ人の結束にヒビを入れられずに何年も戦争を継続された挙句に最終的には敗北するように仕向けられた。」
「正義を国内で使う…難しいけどその通りね。ちなみに総力戦とはどういう意味?」
「総力戦とは第一次世界大戦時に技術と国力及び戦術が拮抗したことによって生じた長期による消耗戦による大量の物資と人員の消耗を第一次世界大戦後の人々が再び来ることを予期して事前に準備する為の合言葉とした言葉だよ」
「準備したということは第二次もあった?」
「そう有った。しかし、総力戦を準備した人々からすると予想を超える戦争になったんだ!!フランスという国は消耗を避けるには要塞が必要だと考えてマジノ線という要塞をドイツとの国境線に築き上げた。この要塞は完璧だったが考え方が古すぎた。」
「完璧?完璧なら落ちないんじゃない?弱点があったんじゃなくて?」
「いや、重要なのは弱点ではない。弱点を突いたという言い方は弱点さえ克服すれば勝てたという考え方になる。それが危険、そもそも『総力戦』は技術と国力及び戦術が拮抗したから起きたイレギュラーだったんだ。そんな偶然は一度目を経験した後に一度目をお互いに頑張ってしようとしない限り起きない。つまり、再現不可能なんだ。当然ドイツは二度目も同じ攻め方はしない。そして彼らは戦車という機甲兵力と航空兵力を組み合わせて敵の戦線を突破すると同時に敵が戦線を再構築して敵の主力が合流する前に包囲して各個撃破する戦術を編み出した。これを『電撃戦』という。」
「戦車って何?」
「うん?戦車とは装甲で覆われた車に大砲を乗せた奴かな…僕的には人型のロボットが戦場に投入されるようになればロボットが戦車の代わりになるとは思うけどね。」
「人型のロボット?ロボットって何?」
僕は女性に漫画喫茶にあるパソコンを使ってネットの情報とアニメの動画を見せて説明することにした。
こうして二人は朝まで語明かすことになる。
ローマの話から抜け出しつつあるような感じですかねぇ