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探偵の助手  作者: 夏目藍
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第五話 「自業自得だ、阿呆」

気にかけていないように見えて、実はすごく気にかけている。

 などと考えてはいるのだが、君はしっかりと身に着けているのだろうか。今のところ、進歩が全く見られない。困った子だ。

 気がつくとすぐにいろいろな人に話しかける。だいたい、この屋敷が危険だということはわかっているのだろうか。いや、わかっているわけがない。今、話しかけているのは誘拐対象の女の子。何をしている。呑気に飴など差し出して。

「あ、あのー」

「なんだ」

「ひぃっ……」

「あぁ、すまない。うちの阿呆がまた何かしそうでな」

「あ、そうですか。

 それで、この件なのですが、手掛かりも少なくて、一向に解決しなさそうなのですよ。だから防衛だけでもって」

「最近になってまた怪盗が動きだしたようだな。これで何件目だ?」

「もう5件目くらいにはなるかと……。何回かは先生のおかげで解決に向かっていたのですが、やはり怪盗ですね。すぐ逃げられる。今回も同様にならなければいいのですが」

「そうだな……柊、警備状況はどうなっている」

「はい、前回の倍の数の警備員をつけています」

「そうか……」

 正直あまり期待はしていない。怪盗は、あいつは、誰にでも変装する。警備員を増やすほうが奴には隠れやすいものでしかないだろう。

「くそ……どこに行きやがった」

 先ほどから、阿呆の助手の姿が見えない。いったいどこに行った。

「ん?」

 ふと服が引っ張られる感触がして、下のほうを見ると、先ほど飴をもらっていた少女。

「どうした」

「あの、たんていの先生。おねえちゃん、かえってこない……」

「帰ってこない? どういうことだ」

「あのね、秘密の抜け道、教えたの。そしたら、おねえちゃん、入って行って……それで、かえってこなかったら、たんていの先生に伝えてっていわれて……それで」

「どこだ」

「え?」

「それはどこにある」

「案内します」

 全く、どうして君はまたそうやって変なところに首を突っ込んでいくのか。私には理解ができない。

「ここです」

「なるほど」

 中は狭く、洞窟のように真っ暗。中に何があるのか、わからない。一度中に入って確かめよう。周囲には警備員もいることだ。誰か呼び止めて、他の人も呼んでおこう。

「仕方ない。一度中に入って確かめてみるか。おい、君」

「あ、はい。僕ですか?」

「そうだ、君だ。私はここを調べようと思う。下の階にいる、そうだな、柊くんを呼んできてくれないか」

「わかりました!」

 やれやれ、また大変なことになりそうだ。厄介なことを持ち込むのが本当に得意だな。呆れを通り過ぎて、呆れている。

「ところで君はどうしてここを知っているのかな」

 普段とは違う、子供用の態度で話しかける。先程は急すぎて対応ができなかった。

「むかし、おばあちゃんが教えてくれたのです。何かあったときはここから逃げなさいって」

「ここを最後まで通ったことは?」

「前に一回だけ、外につながっていました」

「外か……」

 何か嫌な予感がする。まさか、ここで何かあったというわけか。中にはトラップもありそうだ。慎重に進まないといけない。



「くそ、どうしてこんなにも狭いんだ」

 一応、中に何があるかわからないが進んでみる。前にこういうところに来たときには目印を残しておけと散々言ったはずなのだが、どうしてか目印が見つからない。どういうことだ。あまさか、目印まで回収したなんてことはないだろうな。

「おい、後ろ! ついてきているか!」

「はいっ! なんとか!」

 なんとかってところが怪しいがまあいいとしようではないか。

「なにかメモ用紙のようなものが……」

 迂闊に開くべきではないと思ったのだが、宛名は私だ。「探偵様へ怪盗より」なるほど、ヒントというわけか。



さて、助手ちゃんはどうなっているのでしょう。

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