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第六話 四つ目の直線番長 - 3 -

 気が付くとあたりは日が暮れていた。乗る前、何やら地図を広げて星海さんはコースを確認していた。駐車場へ着き車のドアを開けた。

「星海さんこのパイプみたいのは。ヘルメットが窮屈なんですけど」

伊之助こと星村伊之助が身をよじりながら後ろの座席に乗り込んだ。こいつは逸翁私の護衛の王子様のはずなのだが、大食いで今のところ活躍話。手吹きの悪い後輩というか、面倒な弟といったところか。

「ロールゲージだ」

「なんかの飾りですか」

「いや念のためだよ、留美さん」


いきなり下の名前で言われても。私は星野でいいのに。念のため、それがどういう機能を持つものかと、突っ込まなかった。おそらく、ロクではないものである。そういうものは考えたくないだ。


星海さんはハンドルやレバーの感覚を確認した後エンジンをに命を吹き込んだ。


<<カキュン>>

<<ブォッベベベベ>>


「ベルト締めたな、ちゃんと締めないとヤバイからな」

普通に占めていればいいはずなのだが、ちょっとばかり不安が増してくる。


なんとも湿気ているようないないようなるちょっとクセのある音。


「こちらカワセミ指令、確認願います」

娘さんの声だ。

「感度良好っ」

「確認しました。ご安全に」

ご安全に・・・ご安全にですか。さっきから符丁というか、暗号で呼び合っているが。はたから見たら目立たないのだろうか。


「星野さんなにが始まるのですか」

伊之助がつぶやいた。

「んー君たちの送迎だよ。さっき解いてもらった暗号文の場所まで」

「あの、ずいぶん重装備にもみえますけど」

 私がそう言うと。

「ふふっそうかな」


 星海さんはキコキコとレバーをいじくり時おり足をパコと踏みつつハンドルを握っていた。


「珍しいか、マニュアルシフト」

「バスだったらみたことあったような」

「慣れれば簡単だよ。時の者が用意してくれたのコレしかなかったけどね」


時の者、そう、その人に私たち、いや私はワケのわからないところらひっかき回されているのだ。


もともとはスマホの謎のメッセージ。下手をすればマルウェア。パソコン部の副部長私としては皆に言えない失態。けどどうして、なのだ。


 車は夜の峠道に差し掛かった。やっと一台が通れるぐらい。


「うぁっ」

いきなり急ブレーキ。


「なんだよ、小動物か」


 焦ったのはこっちだ。

いきなり表れて、ライトに照らされた目の前を右から左に横切ったのだ。


「こちら遊撃手、カワセミ聞こえるかむ

「カワセミ指令、どうぞ」

「ずいぶんと、静かなんだが」

「今のところ何もないです」


「なにもなければいいんだけどねぇ」


「何もないでしょ」

「いや闇の者の動き、不気味なんだ。星の者をつぶしにかかってきている」

「それってどういうこと」

「時空を組み替えるためにあらゆることをす。まずは邪魔な星の民を消す」

「なぜ闇の者は、星の民を消そうとするの」

「遠き者、闇の者、それぞれ星の民。これらは均衡を保っていた。それがもっとも安定した形であり変わらないものであった。ところが最近闇の者が自らの勢力を拡大するためにその均衡を壊しにやってきた」

「とうやって均衡を壊すの」

「時空には共有されている部分がある。その部分を破壊する。そのカギとなるのが時の印」

「どうやって」

「うーんどうなんだろ。詳しくはわからない。カギをあけるにはまた何かが必要らしい」


「で私たち、いや私はどうなるの。元の時空に戻れる」

「おそらく、そうでなければ我々も困る。そこからも均衡が崩れていく」


「ずいぶんと壮大な話」


「うっ後ろ」


ちらりと後ろを振り返ると四つのライトが。ちらりと見え消えた。

「カワセミ、配車の予定は」

「配車にはないです・・・」

「きたぞ、カワセミ」

無線からの返事はなかった。

「応援頼んでます」

そのあと背後の車はすぐ姿が見えなくなった。


しかし次の瞬間、まぶしい四つ目のライトが加速してきた。


<<<スウォォォォォーー>>>


「後ろ向くな、ぶつかるぞ」


【【【ズーン】】】


「んっ」

伊之助が

「あっ」

私が


呟いた


「大丈夫か」

「後ろ、後ろっ」

「見るな、ぶつかる。本気出す」


本気出すって。


すぐに星海さんの動きが機敏になった。


コキコキとマニュアルシフトを操り、両足が忙しくタップ踏みハンドルが回っている。


<<<ブォォンっっオンっオォォォォォーーー>>>


エンジンが歌い始めた。


確かに忙しく操作はしているが、車体の動きはなめらかで、見えない何かの上を正確になぞっている。


「直線番長だな」


白い四つライトの車は、狭い峠道では曲がり角で、少しスピードが落ち、直線で加速してくる。


反対にこちらは、直線では、かなわないものの、曲がり角でクルリと後ろの車との距離を離した。


「カワセミ指令、応援ないか」

「・・・ないです」


「無線はスクランブで暗号化されてるけど、こっちの情報もれたか」


のんきに言っている場合じゃないでしょって言いたくなった。


背後の車はヤケになったのか、巨体をバコバコと脇にあてながら無理やり加速してくる。


目の前に照らされていたのは急坂。ここで引き離すか。


「なのぉぉぉ」


後ろの車はガードレールにぶつかるのもお構いなしに加速している。 こちらとの距離は縮まっている。


「いいか、とりあえず、つかまってなっ」


急カーブのあと短い直線になった。


[[[[[ヴァン]]]]]


なにか左右車体横切った。


その直後だ。



ドガーーーーーーッ

ガーン

ザァァァァっ


「車幅制限1.8mのゲート通過っ」

「ええっ、ナニ無茶しているのぶつかっているじゃない」


「振り向くな、あとは、ウチの星の民にお任せだ」

そういうと、星海さんは無線機のマイクを握った。


「カワセミこちら遊撃手、対応お願いします」

「カワセミ指令。どうしましたか」

「サービス対応願います。あと、応援願います」


これでサービス対応なの。

なにかとんでもないことにコトが大きくなってきている。


「大丈夫なの後ろ」

「ちゃんと救護要員も星の民にいるから」

「そういうことでなく」


伊之助は、ポカンと放心状態であった。


まだ、峠道。町の灯は見えない。


多少また -補訂あるかもです 登場人物名 各整合性とります


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