第六話 資材置場 - 6 -
「おっ、ここ。ここだ」
右側に何かの空間。 いきなりハンドルを右に切った
<<<キャイーー ズザァァァー>>>
車体は斜めになりながら止まった。資材置き場だ。
「んはぁ、はぁ、はぁ」
星海さんは息を切らしながら無線機のマイクを握りしめた。
「こちら遊撃手。応援たらんぞ」
「場所は」
「中里中継所」
ここが中里という地名かどうかは知らない。けど、ひとつの暗号みたいなものだろう。
「手配します」
いかにも事務的なやりとりだ。
「金紋いるか。応援頼むぞ、中里中継所」
「了解っ」
本当に助けてくれるのだろうか
全身黒ずくめのスポーツカーは片側だけ飛び出したヘッドライトをぎらつかせながら気配をうかがっている。
<<<フォッン フォン フォォォーー>>>
{{ザァーーーーー}}
わずかな街灯の下で土煙のが見えた。一つ目ヘッドライト。
<<<ブァンブァァァ>>>
いきなりこちらをめがけて直進してくる。
「さあね君たちは、取っ手を握っててな」
コキコキとレバーを器用に動かし車の向きを急激に変えた。
「さあ、ダンスを始めようか」
星海さんの目に力が入った。
<<<バァンンっ>>>
それはバレリーナかされともフィギュアスケートか。軽く相手を丸い舞を地面に残して、かわした。
「こちら金紋、合流する。取り込み中か、入るぞ」
無線が入る。道路側から青い車。黄色の模様が金の紋章に見えてきた。
ザッと路面の砂利をつかんで、並んだ。
こちらとアイコンタクト。
なにを合図している。
ふとした間のあと、黒い車は、こちらをめがけて突進してきた。
二対一。数の上では有利だけど。どうする。そんなことを考える間もなく青い車が手前に入り、相手の邪魔をした。
その間にこちらはね反対方向にハンドルを切った。
けれども黒いその車も、こちらの邪魔をヒラリとかわしまたこちらのほうと対峙した。
「やるねぇ。イヤなもんだけど」
星海さんはハンドルを握りながらつぶやいた。
黒い車は、こちらの隙をついて、突進。急ハンドルで交わしたものの、またもや向かってくる。もう一度突進。
動きがすごく速いはずなのだが。なぜか、スローモーションのように流れていく。
伊之助は…くたばっている。
「さて、お遊びは、この辺にしないとな」
出口に向かおうとするが、なかなか、こちらにチャンスがない。
とその時だった。
「槍持ってきたぞ」
突然無線から声。
「よーきへーだろ、お前」
「言いにくいから槍でいい」
「どこだ」
「目の前だよ」
街灯に照らされた赤い派手な車がいた。
「さて、あとは任せたよ」
ようやく援軍が来た。来てくれた。
こちら側三台は、タイミングを探っていた。援軍が2台となれば、チャンスがある。
星海さんはそのチャンスをうかがっていた。
「ここだ。きたっ」
<<<ブァオン ザァァァ>>>
一気に加速したる 体が後方に持っていかれる。黒い車はこちら側の援軍に捕まる…はずだった。
「なぬぅぅぅ」
星海さんは後方を写すミラーをチラとみて、叫んだ。
「振り切ったぞ、あの車」
壊れて一つになったヘットランプをギラギラさせて、じわじわとあの車は近づいてきた。