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10 懐かしい夢を見た件

今回の話はほんの少しだけ流血表現があります。

そして過去の翔大との初コンタクトの話ですので本編は進みません、因みにギャグもありません。

そして若干シリアス?入ってます。



『なあ!』


本を読む私の前に立つ同い年の少年


『何に読んでるんだ?』


「…本」


『それは見ただけでわかるって!』


「……小説」


『小説か~凄いな!俺すぐ飽きるからそんなの読めないぜ!』


目の前でニコニコと笑う翔大…私はそんなに親しく為った覚えはない。


『あっ!どこ行くんだ?』


「……トイレ」


『早く戻ってこいよっ!』


あの頃の私は今以上に人と関わるのが嫌だった


何故そうなったか…?


よくわからない…ただ私はいつも通り幼稚園から一緒の友達と登校してただけ…。


ぼんやりと覚えてるのは…下校の時、私を見て友達が笑いながら私だけを置いて走って逃げていく…その後ろ姿。


何かを私は間違えたのだろうか?


後から何で私を見て逃げたの?って聞いたら…なんとなく…そう言った。


子供は何となく…そう言ってえげつないことをする。


私の気にしすぎ…最初はそう思った。



でも


その日を境に友達が一人…また一人といなくなってしまった。


そして最後に残った物は…喪失感だった。


一人で登下校をしている時に私は気がついた。


当たり前何て存在しない。


小学生2年生でこんな事を考える何て可愛いげがないと思う存分だろう…けれど身を持って体感してしまった…。


この喪失感を…。


そして私は恐れてしまった…無くなってしまうこの恐怖を…辛さを…寂しさを。


だから私は、必要最低限に人の輪に入る事をしなくなった。


"他人"に迷惑をかけないように、ペアを組むときは最低限の会話と調べる事だけを調べておしまい。



こんな事を1~2年繰り返してた…そして運命のあの日…私の日常が狂った、それは盛大に。


その日は運動会の練習でグランドに出ていた。


私はいつも通り、付かず離れずの微妙な距離を保ちつつ列に並んでいた…が。


練習中の大玉転がしの時、勢い余ったクラスメイトの一人が転んで膝を怪我した。


『痛った!』


転んだクラスメイトとの距離は1メール弱…両膝から血が流れ出ている。


他のクラスメイトは、転んだ少年を心配そうに見守るだけ…心配するんなら保健室に連れていけつうの。


『いったた…うわっ!?』


転んだ少年は流れる血を見て顔をひきつらせる


こんな時に担任は何をやってるのだろうか?


はぁ…


「これ使って…」


『へ…?え、でも…。』


私がハンカチを渡すとは思わなかったのだろう…驚いて目を一瞬見開く少年


「今日はまだ使ってないから安心して」


『…汚れちゃうよ?』


「使ってれば何時かは汚れる…早いか遅いかの違いしかないから、遠慮なく使って」


思った事をそのまま言う


『あ、ありがとう…』


少年はハンカチで傷を抑えた後、ゆっくりと立ち上がる。


『翔大くん!先生呼んできたよ!』


転んだ少年にかなりの確率で一緒にいる女の子が先生と一緒に走って来る。


それから転んだ少年…もとい翔大は保健室に連れていかれて念のため病院に……そしてその日はつつがなく幕を閉じた。


そして次の日、そして事件は起こった…。


いつも通り自分の席…窓側の日当たりのいい席に座り小説を取り出し読み始め止まらなくなる。


けれどいきなり暗くなった…。


おかしい、このタイミングで暗くなるなんて。


カーテンは閉めてない…電気は付いている。


私は恐る恐る顔を上げた…。



『よ、よう!』



昨日ハンカチを渡した少年…確か翔大と言っただろうか?


「………何か…ご用?」


首を傾げ翔大君を見る…すると少しぎょっとし目を反らすと、昨日渡したハンカチをビニール袋に入れて差し出してきた。


『これ、洗ったから返すよ…ありがとう』


思わず固まってしまった。


血が着いたやつを洗ったからと言って返すだろうか?


普通はない、あり得ない…。


けれどここで受け取らないと、相手の行為を無下にするような物…くそっ…。


「……ご丁寧にどうもありがとう…」


なるべく早めに会話を切り上げよう、それが一番。


『いや、此方の方こそ助かったよ!本当にありがとう!』


ふと、昨日怪我をした膝に目が行ってしまった、


「…………膝の調子は?」


『えっ…』


まさか私が聞いてくる何て思わなかったのだろう…返答までに少しの間が開く。


『病院に行ったけど大丈夫だって言われたから、多分大丈夫だよ』


「そう…ならよかった」


沈黙…それは会話の終了の合図。


少なくとも私はそうしてあの時からこうやって会話を終わらせてきた…が。


『鈴原はどうしていっつも本読んでるんだ?』


空気を読んでくれ…翔大くん。


「人と関わらないため」


窓の方を向き景色を見る。


『…どうして?』


言葉に少し詰まったみたいだが聞き返してくる。


「無くなるのが怖いから」


何でこんなことを他人に喋ってるんだろう…。


『無くなるのがこわ『翔大くーん!!みつけたっ!』


私よりややトーンが低いが可愛い声が響く


『うわっ!?見つかった!?』


リィン


顔色が少し悪く見えるのは目の錯覚だろうか?


『ごめん、また今度!』


『待って~!翔大くん!』


怪我をしている筈なのに嵐のように過ぎていった。


リィィン


ああ…久しぶりに一対一で話して疲れた…残りの時間は眠ろう…。


…んっ。




リィィン



パチリ


澄んだ鈴の音で目が覚める…辺りは一面の緑。


…………何か懐かしい夢を見た気がする。



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